ポッチャリ三団子の逆襲 〜異世界で要らないと捨てられました〜

星宮歌

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第二章 三団子、旅をする

第十四話 ご老人と三団子1

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 ご老人の昔話は、お人好しな三団子にとってはとても重いものだった。
 ただでさえ、その体重は誰にも負けないというレベルにまで達しているというのに、さらに重いものを吐き出された三団子は、きっと体重計が物理的に崩壊するレベルの重さになっていることだろう。

 と、冗談はさておき、ご老人の昔話を聞いた三団子の反応は、いつも通りの号泣だ。二目と見られないその様子は、しかし、盲目のご老人からすれば優しい若者を泣かせてしまったというものでしかないようで……。


「あぁっ、すまんのぉっ。泣かせるつもりじゃあなかったんじゃっ」


 見えないままにあたふたとするご老人。

 三団子よ。ご老人に心労をかけるんじゃない。


「グスッ、ううっ、おじいさん、ごめん、ごめんねぇ」

「うぅぅっ、僕達が、先に泣いちゃって……」

「うぇっ、うぇえん、ほ、ほんとは、おじいさんが泣きたいはずなのに……」


 汚い泣き顔をさらす三団子は、途切れ途切れにそう告げる。
 一番辛かったはずの人物は、当然このご老人だ。だからこそ、三団子は泣きたいはずの人が泣けないのに、自分達が泣いてしまっているという現状に謝罪をしているというわけだ。


「っ……本当に、優しい若者じゃのぉ。すまんのぉ、話を聞いてもらっておきながら、ワシには何もないんじゃ」


 ご老人は、三団子に何も渡せる物がないと嘆くが、三団子にお礼など必要ないと断言しよう。三団子はただ、ご老人の話を聞いて泣いただけだし、三団子自身、お礼など求めてはいないのだから。


「きっと、もうすぐお迎えが来る。もう、ワシは立てなくなっておるからのぉ……」


 そう言ったご老人は、確かに、そこから立つ気配はない。そして、その事実が何よりも三団子を打ちのめし……そのまま、その心に火をつけた。


「「「なら、僕達が助ける!」」」

「キャン!?」


 三団子は、そう断言すると、まずは三男の黄団子がスポーツドリンクを、そして末っ子赤団子がりんごを取り出し、それを青団子がリュックの中に入れていたまな板や包丁で切ってすりおろしていく。
 子狼が心配そうに三団子を見ているのだが、三団子はそんなことにも気づかずに、ひたすらにご老人のためにと作業を進める。

 言わずもがな、三団子が出す食事は三団子が想像する効果が付与される。しかも、その効果はあまりにも高い。
 それぞれがそれぞれで、どんなことを願ったのかは分からない。しかし、三団子に勧められてしばらくは頑なに固辞していたご老人も、三団子の意外とカチカチに固い頑固頭を前に折れ、スポーツドリンクを飲み、りんごを食べる。すると……。


「お、おぉっ! 力が、漲る! それに、目が見える!?」


 …………三団子は、恐らくやり過ぎた。
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