ポッチャリ三団子の逆襲 〜異世界で要らないと捨てられました〜

星宮歌

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第二章 三団子、旅をする

第七話 マルマの門番と三団子1

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 ここまでの道中、三団子達は飢饉の深刻さをヒシヒシと感じながら歩いてきた。
 最終的な目的地は隣国ではあるものの、その途中には村も町も、いくつか存在する。

 三団子たちが立ち寄った廃村は、本来のルートでは立ち入る予定のない場所ではあったものの、まともな地図もなく、太陽の方向だけを頼りに歩いていれば、色々とずれた場所に出るのも仕方のないことだった。むしろ、廃村に立ち寄ったことで、改めて正確な方向を確認することができたのは僥倖と言えよう。

 そして、今日、この日、三団子達はようやく隣国に行くまでに辿り着くであろう町、『マルマの町』に到着していた。


「門番さんだぁ」

「初めて見たね!」

「僕達、普通に通してもらえるかな?」


 村には普通、門番などは居ない。居るとすれば、大きな町くらいの規模の場所しかないのだが、今まで三団子はそんな場所に入ることがなかった。もしかしたら、黒の森に追放される前に居た場所には門番も居たのかもしれないが、残念ながらその存在を確認できるような状況ではなかった。

 体臭で任務に忠実な騎士の鼻を完全に殺したり、ギュウギュウの馬車の中で騎士をその弾力のある腹で弾き飛ばしたり、時にはそのまま圧迫したりはしていたが、三団子にはそんなことをした記憶すらない。ただただ、追放されることに怯えていた記憶しかないのだ。

 ……あの時の騎士達の苦労によって、今の三団子があるわけだが、ご愁傷さまという言葉では足りないくらいに彼らは酷い目にあっていた。
 三団子は、次に彼らに会った時は誠心誠意謝罪するべきなのだろうが、この何も覚えていない三団子には言っても無駄というもの。ひとまずは、彼らの鼻が正常になっていることだけを祈っておこう。

 さて、話は戻るが、マルマの町には門番が居る。しかし、その様相はどうにもおかしく見えた。
 まず、門番の格好だが、随分と薄汚れて見える。そして、持っている武器はバラバラで、しかもきちんと手入れされていないのか、刃こぼれしているようなものも存在していた。
 そして、これは完全に見た目の問題ではあるのだが……門番は、二人共かなりの強面だ。


「……もしかしたら、止めた方が良いかもしれません」

「キュン?」


 本来ならば、少し町に寄って、情報収集や買い物を行えたら良いというつもりではあったものの、ロドフは門番の姿を目に収めてからそう言い出す。
 子狼は不思議そうにするものの、ロドフは意見を変えるつもりはなさそうだ。


「「「やっぱり、盗賊?」」」

「はい、そう見えます」


 そう、どこからどう見ても、正規の門番には見えない。
 ただ、三団子もだが、ロドフも気づいた方が良い。多少離れていたとしても、門番の耳が良ければこの会話が聞こえるかもしれないということを。


「どぅあれが盗賊じゃーっ!!」

「「「きゃーっ!!」」」

「うわぁっ!!」

「キャインッ!」


 そして、突如として響き渡った怒声に、三団子は何故か女の子のような気持ち悪い悲鳴を、ロドフと子狼はごく普通の反応をして、顔を引きつらせるのだった。
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