ポッチャリ三団子の逆襲 〜異世界で要らないと捨てられました〜

星宮歌

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第二章 三団子、旅をする

第六話 廃村と三団子

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 種の問題もひとまずは解決し、旅を再開した三団子達。
 ただ、あの盗賊達は、元村人、もしくは元町人だった。そうなると……。


「廃村、ですかね」

「キャン」


 ピタリと立ち止まったロドフが見つめる先には、ロドフの故郷と似たりよったりの状態となった村があった。
 やはり、食料がなかったのか、周囲には草の一本すら生えておらず、まばらに存在する家も随分ボロボロだ。
 しかし、人の気配がなく、ただひたすらに不気味な雰囲気を醸し出すその村は、ロドフの故郷と比べれば、破壊の痕跡が色濃く残っていた。


「これってぇ」

「何かに襲われたとか?」

「そっか、魔物とかも、お腹を空かせたのかも」


 三団子の言う通り、その村は魔物に襲われた果てに滅びた村だった。きっと、詳しく調べれば村人の遺体もそこらに転がっているかもしれない。とはいえ、それはきっと、魔物に食い殺された状態であろうし、人だと判別できるかも定かではないのだが……。


「どうします? 立ち寄りますか?」


 もう、魔物の気配はないものの、好んで滞在したい場所ではない。それでも、何か使えるものがあるかもしれないし、屋根がある場所で休むということも大切なことだ。
 それに、可能性はあまりにも低いが、もしかしたら、この村の生き残りが誰か存在するかもしれない。


「うん、少しだけ、立ち寄ろうかぁ」

「特に必要なものがなければ、一晩だけ泊めさせてもらおう!」

「勝手に持ち出すのも気が引けるし、できるだけ家の中の物には手をつけない方向かな?」


 もしかしたら、あの盗賊達の故郷かもしれない村。そこで、一日だけ休むことにした三団子達は、比較的破壊の痕跡が少ない家を選んで中に入る。
 案の定、そこには誰も居ない。遺体もないが、物ですらもほとんど何もない家だ。


「「「おじゃましまーす」」」

「お、おじゃまします?」

「キャンキャンッ」


 ひとまず声をかけて、家の中へと入る三団子達。前に不法侵入を恐れていたはずの彼らも、完全に滅びていそうな村の家には躊躇うことなく入れるようだ。

 三団子達は、ひとまず荷物の整理と、必要なものの洗い出し、周囲の探索を行うと決め、話し合いながら全ての工程を進めていく。


「衣服は、確かに必要ですね。裁縫道具はひとまず俺の村から持ってきているので、布さえあれば何とかなりますが……」

「「「無かったねぇ」」」

「キュゥン」


 衣食住の内、食は充実しているし、住は現在旅の途中なので野宿が原則となる。そうなると、彼らに必要なのは衣の部分となるのだが、これがそう簡単にはいかない。
 そもそも、三団子のサイズは規格外なのだ。特注で作らなければ、三団子はずっとこの青黃赤の三色団子のままでいるしかないのだ。

 いや、まぁ、見分けやすいという意味ではこのままでも良いかもしれないが、不潔なままというのはよろしくない。その体臭は、三団子の容姿に尻込みしなかったロドフでさえも思わず鼻をつまむほどなのだ。三団子の衣類獲得は、現在、最優先で行うべきこととなっていた。


「……仕方ありません。今日は洗濯して、一晩しっかり乾かしましょう」

「クゥン」


 悲しいかな。衣類の類がなかったせいで、ロドフはそんな悲壮な決断をしなければならなかった。
 ただ、どんなに貧しくとも、全く衣類の欠片も見当たらない家というのは普通は存在しない。きっと、三団子達が来る前に、誰かが根こそぎ持っていったのだろう。

 そうして翌日、出発した三団子達は、とうとう、目指していた町へと到着した。
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