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第一章 三団子、異世界に立つ
第四十三話 旅立ちと三団子
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あれから、ロドフはあまり元気が出ないようではあったものの、三団子がのんびりと……それはもう、本当にのんびりと待ったおかげか、今ではもう、元気を取り戻していた。そして……。
「改めて、よろしくお願いします!」
「「「うん、よろしくー」」」
「キャンッ」
当て所のない旅をしていた三団子達と、行き場のなくなったロドフ。彼らは、一緒に旅をすることとなった。
当然、その過程で三団子は自分達のことを話しているし、旅の目的も話してはいる。普通ならば、三団子の無謀を止めると思われるのだが、ロドフはお人好しなのか何なのか、三団子と共に力になろうという方向に振り切れたらしい。
三団子のぽっちゃりポヨポヨ体型にも引かないその精神を見る限り、きっと、ロドフは色々な意味で強い人なのだろう。
「ひとまず、この国から出るのだとすると、マルマの町に行った方が良さそうです」
「そっかぁ。僕達、土地勘が全くないから、そこら辺はお任せするねぇ」
「僕達も、情報を仕入れられるようになったら、色々調べるよ!」
「その町の名物とかも確認したいしね!」
「……キャウ……」
……末っ子赤団子よ。そこそこに頭の回転が良いと思って見直していた人も居たかもしれないのに、今の発言で台無しだ。やはり、赤団子も三団子の一人であることに間違いはない。食欲最優先思考は健在だった。
子狼も、この発言には呆れ返っているようだ、
「ただ、マルマの町に最後に行ったのは二年以上前でして、干ばつの影響がどのくらいあったのか、詳しくは分からない状態です。もしかしたら、向こうも大変な状態かもしれません」
必要な物資をいくつもの鞄やリュックに詰め込んで村を出た三団子達だったが、ロドフの重力操作によってその足取りは快調だ。
しかし、ロドフのその情報に、三団子は目に見えてヘコむ。
「そっかぁ。もしかしたら、町に入らない方が安全かもしれないんだねぇ」
「美味しい料理もないかもしれない……」
「そもそも、食料がないかもしれない……」
「……キャウ……」
安定の三団子の姿に、子狼はため息を吐いているかのように声を出す。
「すみません。俺も、周囲の状況には詳しくなくて……でも、一年前の干ばつは、大飢饉を引き起こしたって話でしたし、影響がないとは思えないんです」
実際、ロドフの言うことは正しい可能性が高い。そもそも、多少歩いたとしても、そこに救いがあったのであれば、ロドフの両親もどうにかそこへ移動していたのではないかと思われる。そうでなかったということは、この村と同じか、それ以上に危機的状況がマルマの町で起こっていてもおかしくはない。
「一応、方角としてはマルマの町を目指します。ですが、状況次第では町に入ることなく通過して、その先を目指そうと思います」
マルマの町を通り過ぎれば、その後は二つの村落があり、それよりさらに先が国境なのだそうだ。
三団子と子狼、そして、狩りの経験はあるというロドフというメンバー。戦闘能力に多大な不安は残るものの、それでも進まないという手はない。
そうして、三団子達の旅は再び始まった。
「改めて、よろしくお願いします!」
「「「うん、よろしくー」」」
「キャンッ」
当て所のない旅をしていた三団子達と、行き場のなくなったロドフ。彼らは、一緒に旅をすることとなった。
当然、その過程で三団子は自分達のことを話しているし、旅の目的も話してはいる。普通ならば、三団子の無謀を止めると思われるのだが、ロドフはお人好しなのか何なのか、三団子と共に力になろうという方向に振り切れたらしい。
三団子のぽっちゃりポヨポヨ体型にも引かないその精神を見る限り、きっと、ロドフは色々な意味で強い人なのだろう。
「ひとまず、この国から出るのだとすると、マルマの町に行った方が良さそうです」
「そっかぁ。僕達、土地勘が全くないから、そこら辺はお任せするねぇ」
「僕達も、情報を仕入れられるようになったら、色々調べるよ!」
「その町の名物とかも確認したいしね!」
「……キャウ……」
……末っ子赤団子よ。そこそこに頭の回転が良いと思って見直していた人も居たかもしれないのに、今の発言で台無しだ。やはり、赤団子も三団子の一人であることに間違いはない。食欲最優先思考は健在だった。
子狼も、この発言には呆れ返っているようだ、
「ただ、マルマの町に最後に行ったのは二年以上前でして、干ばつの影響がどのくらいあったのか、詳しくは分からない状態です。もしかしたら、向こうも大変な状態かもしれません」
必要な物資をいくつもの鞄やリュックに詰め込んで村を出た三団子達だったが、ロドフの重力操作によってその足取りは快調だ。
しかし、ロドフのその情報に、三団子は目に見えてヘコむ。
「そっかぁ。もしかしたら、町に入らない方が安全かもしれないんだねぇ」
「美味しい料理もないかもしれない……」
「そもそも、食料がないかもしれない……」
「……キャウ……」
安定の三団子の姿に、子狼はため息を吐いているかのように声を出す。
「すみません。俺も、周囲の状況には詳しくなくて……でも、一年前の干ばつは、大飢饉を引き起こしたって話でしたし、影響がないとは思えないんです」
実際、ロドフの言うことは正しい可能性が高い。そもそも、多少歩いたとしても、そこに救いがあったのであれば、ロドフの両親もどうにかそこへ移動していたのではないかと思われる。そうでなかったということは、この村と同じか、それ以上に危機的状況がマルマの町で起こっていてもおかしくはない。
「一応、方角としてはマルマの町を目指します。ですが、状況次第では町に入ることなく通過して、その先を目指そうと思います」
マルマの町を通り過ぎれば、その後は二つの村落があり、それよりさらに先が国境なのだそうだ。
三団子と子狼、そして、狩りの経験はあるというロドフというメンバー。戦闘能力に多大な不安は残るものの、それでも進まないという手はない。
そうして、三団子達の旅は再び始まった。
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