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第一章 三団子、異世界に立つ
第三十六話 寂れた村と三団子3
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ひとしきり嘆いた後、ロドフはようやく落ち着きを取り戻した。そして、じっと黙ったまま話を聞いてくれていた三団子や子狼へとお礼を告げる。
「あの、すみません。見苦しいところを見せてしまって」
「大丈夫だよぉ」
「それより、少しは落ち着いた?」
「ひとまず、ご飯にでもしよう。それから、これからのことを考えよう」
「キャンッ」
セリフだけを見るなら、三団子がとてもまともに見える。もちろん、この後出てくる料理の数々はまともな量ではないのだが、ちゃんと気遣いのできる人間に見えていること自体が奇跡のようなものだ。
子狼も子狼で、ロドフの元に擦り寄って、慰めているように見える。本当に、惜しむべくは三団子のビジュアルの悪さだろう。
「あ、ありがとうございます。なら、せっかくなので、リビングに案内しますね」
「「「うん、ありがとー」」」
「キャンッ」
リビング、机はまだしも、椅子は三団子の体重を支えてくれるかどうかが怪しいのだが、きっと、危ないと思えばロドフの重力操作でどうにかなるのだろう。
それから、しっかりと食事をした三団子達。
村で何が起こったのかは未だに分からないものの、これからの行動方針を決めることは重要だった。
「まずは、村で何が起こったのか、それを知るための手掛かりを探してみるのも良いんじゃないかな?」
末っ子赤団子は、やはりしっかりと考えている。確かに、このまま何も分からないよりは、少しでも手掛かりを探して、何が起こったのか知れた方がロドフにとって良いことだろう。
「それは……ですが、俺の事情に皆さんを巻き込むわけには……」
「問題ないよぉ」
「僕達も、そんなに急ぐ予定もないし」
「ロドフ君が気になっていることを解決できた方が、僕達も安心だからね」
「……キャン」
子狼だけは、三団子ののんびり具合に呆れた様子で鳴くものの、それでも誰一人として反対などしなかった。
「皆さん……ありがとうございます。俺、探してみます。もしかしたら、誰かが俺に、何かを残してくれているかもしれませんし」
「それじゃあ、今日はゆっくり休もうねぇ」
「色々あって疲れただろうしね!」
「明日、明るくなってから改めて、探してみると良いよ」
「キャンキャンッ」
もう、日も完全に暮れて、探し物をするには不向きな時間だ。
それは、ロドフ自身も理解していたらしく、素直に三団子の言葉に従う。そして……。
「なら、来客用の布団を準備しますねっ」
そうして、三団子達は、ロドフの家で一晩を明かすのだった。
「あの、すみません。見苦しいところを見せてしまって」
「大丈夫だよぉ」
「それより、少しは落ち着いた?」
「ひとまず、ご飯にでもしよう。それから、これからのことを考えよう」
「キャンッ」
セリフだけを見るなら、三団子がとてもまともに見える。もちろん、この後出てくる料理の数々はまともな量ではないのだが、ちゃんと気遣いのできる人間に見えていること自体が奇跡のようなものだ。
子狼も子狼で、ロドフの元に擦り寄って、慰めているように見える。本当に、惜しむべくは三団子のビジュアルの悪さだろう。
「あ、ありがとうございます。なら、せっかくなので、リビングに案内しますね」
「「「うん、ありがとー」」」
「キャンッ」
リビング、机はまだしも、椅子は三団子の体重を支えてくれるかどうかが怪しいのだが、きっと、危ないと思えばロドフの重力操作でどうにかなるのだろう。
それから、しっかりと食事をした三団子達。
村で何が起こったのかは未だに分からないものの、これからの行動方針を決めることは重要だった。
「まずは、村で何が起こったのか、それを知るための手掛かりを探してみるのも良いんじゃないかな?」
末っ子赤団子は、やはりしっかりと考えている。確かに、このまま何も分からないよりは、少しでも手掛かりを探して、何が起こったのか知れた方がロドフにとって良いことだろう。
「それは……ですが、俺の事情に皆さんを巻き込むわけには……」
「問題ないよぉ」
「僕達も、そんなに急ぐ予定もないし」
「ロドフ君が気になっていることを解決できた方が、僕達も安心だからね」
「……キャン」
子狼だけは、三団子ののんびり具合に呆れた様子で鳴くものの、それでも誰一人として反対などしなかった。
「皆さん……ありがとうございます。俺、探してみます。もしかしたら、誰かが俺に、何かを残してくれているかもしれませんし」
「それじゃあ、今日はゆっくり休もうねぇ」
「色々あって疲れただろうしね!」
「明日、明るくなってから改めて、探してみると良いよ」
「キャンキャンッ」
もう、日も完全に暮れて、探し物をするには不向きな時間だ。
それは、ロドフ自身も理解していたらしく、素直に三団子の言葉に従う。そして……。
「なら、来客用の布団を準備しますねっ」
そうして、三団子達は、ロドフの家で一晩を明かすのだった。
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