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第一章 三団子、異世界に立つ
第三十四話 寂れた村と三団子1
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やっぱりというか、何というか、三団子の歩みは遅かった。しかし、これまでは子狼だけが付いてきている形だったが、今はロドフが居る。そして、ロドフもスキルは持っているわけで……。
「ロドフ君のスキル、すごいねぇ」
「うんうん、こんなに体が軽いの、初めてだよ!」
「重力操作って、便利だね!」
そう、ロドフのスキルは、重力操作の能力。主に、重い荷物の持ち運びの時に使用していたものだったようだが、今はそれを三団子自身に使っており、三団子の足取りは普段と比べて随分と軽やかだった。
……軽やかな足取りで迫る三団子の姿は、ともすれば恐怖を呼び起こすだろうものだが、今はそれは考えない。村人に『逃げてー』と言いたくとも、きっと三団子が救いになると分かっている以上は、お口にチャックだ。
「俺でも役に立てて良かったです」
そして、ロドフだが、何枚ものタオルを犠牲にして身綺麗にした彼の姿は、とても美しかった。
何でも、ロドフ自身はハーフエルフという種族らしく、翡翠の髪や瞳を持つことが多いとのことだった。ちなみに、エルフはというと、同じく翡翠の髪と瞳ではあるものの、輝き具合が全く違うのだとか。
そんなロドフが暮らしていた村は、ハーフエルフの村なのかといえば、そういうわけでもなく、ごく普通の人間の村らしい。ただし、村人全員の仲が良く、ロドフも口減らしとして出ることにはなったものの、どの村人も謝罪していたとのこと。
「「「良い村なんだねぇ」」」
「はい、それはもう、皆、本当に良くしてくれたんです!」
食料も僅かなのに、口減らしであるはずなのに、それでも何か持たせようとしてくれる村人も多く居たのだと話すロドフ。
しかし、ロドフが村から一日のところで行き倒れたことから分かる通り、本当に、村には余裕などなかった。だから、ロドフは何一つ持たずに、フラフラの体で歩き、這い、もしかしたら、少しでも食料を見つけられないかと探して、そのまま倒れてしまったのだそうだ。
「じゃあ、絶対に助けないとだねぇ」
「うんうん、美味しいもの、しっかり食べてほしいもんね!」
「僕も、ちょっと面白いことを考えたから、上手くいけば今後も困らないかも?」
「キャーンッ」
「本当に、ありがとうございます!!」
ほんのり涙ぐみながら話す三団子に、同じく涙ぐみながら応えるロドフ。
三団子と子狼と美青年。三団子さえいなければ、とても美しい光景だったかもしれないが、残念ながら三団子の存在感が消滅する未来は近場にはない。それに、三団子がいなければ村も救えないので、しばらくは我慢するしかないだろう。
軽い足取りのおかげか、三団子達が村に辿り着いたのは、まだ日が暮れる前だった。そして……その村のあまりにも寂れた様子に、三団子は言葉を失うのだった。
「ロドフ君のスキル、すごいねぇ」
「うんうん、こんなに体が軽いの、初めてだよ!」
「重力操作って、便利だね!」
そう、ロドフのスキルは、重力操作の能力。主に、重い荷物の持ち運びの時に使用していたものだったようだが、今はそれを三団子自身に使っており、三団子の足取りは普段と比べて随分と軽やかだった。
……軽やかな足取りで迫る三団子の姿は、ともすれば恐怖を呼び起こすだろうものだが、今はそれは考えない。村人に『逃げてー』と言いたくとも、きっと三団子が救いになると分かっている以上は、お口にチャックだ。
「俺でも役に立てて良かったです」
そして、ロドフだが、何枚ものタオルを犠牲にして身綺麗にした彼の姿は、とても美しかった。
何でも、ロドフ自身はハーフエルフという種族らしく、翡翠の髪や瞳を持つことが多いとのことだった。ちなみに、エルフはというと、同じく翡翠の髪と瞳ではあるものの、輝き具合が全く違うのだとか。
そんなロドフが暮らしていた村は、ハーフエルフの村なのかといえば、そういうわけでもなく、ごく普通の人間の村らしい。ただし、村人全員の仲が良く、ロドフも口減らしとして出ることにはなったものの、どの村人も謝罪していたとのこと。
「「「良い村なんだねぇ」」」
「はい、それはもう、皆、本当に良くしてくれたんです!」
食料も僅かなのに、口減らしであるはずなのに、それでも何か持たせようとしてくれる村人も多く居たのだと話すロドフ。
しかし、ロドフが村から一日のところで行き倒れたことから分かる通り、本当に、村には余裕などなかった。だから、ロドフは何一つ持たずに、フラフラの体で歩き、這い、もしかしたら、少しでも食料を見つけられないかと探して、そのまま倒れてしまったのだそうだ。
「じゃあ、絶対に助けないとだねぇ」
「うんうん、美味しいもの、しっかり食べてほしいもんね!」
「僕も、ちょっと面白いことを考えたから、上手くいけば今後も困らないかも?」
「キャーンッ」
「本当に、ありがとうございます!!」
ほんのり涙ぐみながら話す三団子に、同じく涙ぐみながら応えるロドフ。
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軽い足取りのおかげか、三団子達が村に辿り着いたのは、まだ日が暮れる前だった。そして……その村のあまりにも寂れた様子に、三団子は言葉を失うのだった。
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