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第一章 三団子、異世界に立つ
第三十一話 美味しいお粥と三団子
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結論から言おう。三団子の処置は、どうやら正しかったらしい。いや、具体的には、少しばかり不足があったものの、それも三団子の力で解決できるものだったのだ。
グゥギュルルルルルルゥー。
顔を拭き、水を飲ませた後に盛大に鳴り響いたその音。
三団子は初め、お互いの顔を見合わせたものの、なぜかすぐに違うと気付いたらしく、行き倒れた人物へと視線を向ける。
「「「お腹空いてるの?」」」
「ぅ……」
そんな三団子の身も蓋もない問いかけに、ほとんど聞き取れないくらいのか細い声が届く。それが肯定なのか否定なのか、それすらも定かではなさそうな声であるにもかかわらず、三団子はそれを肯定と取ったらしい。
「確かに、痩せてるもんねぇ」
「何が良いかなぁ?」
「やっぱり、お粥とか、りんごのすりおろしとか?」
末っ子赤団子が言うや否や、次兄青団子がお粥を出していく。しかも、ちゃんと一般的に食べる程度の量にまで抑えられているところを見るに、その辺りのことは考えていたのだろう。
「ご飯だよぉ。さぁ、食べよう」
青団子の声に、行き倒れの人物はそっと美しい翡翠の瞳を覗かせる。かなり薄汚れてはいるものの、恐らく髪の色も緑系の色合いのその人物は、顔立ちが中性的なせいで、男女の区別が未だに分からない状態だ。年齢も、若いだろうということは確認できても、この世界の標準を知らない三団子では予測すら難しい。
ただ、男性であれ、女性であれ、目を覚ました瞬間に見えるのが三団子の姿となれば、『ご愁傷様』としか言いようがない。
さて、そんな彼か彼女か分からない人物は、三団子の姿にギョッとした様子は見せていたものの、すぐにまた、盛大な腹の虫が鳴いたため、食事の方へと意識が優先されたようだった。
青団子と赤団子が横たわっていたその人物の体を起こし、黃団子がスプーンを持ち、お粥をその人物の口元へと運ぶ。
もしも、恋人からの『あーん』に理想とか、夢とか抱いていたのであれば、申し訳ない。本当に、その対象が三団子になってしまっていることは、申し訳ない。
しかし、三団子にも悪気はないのだ。ただただ、善意のみで、その人物へと食事を与えようとしているだけなのだ。そもそも、悪意を持って何かを企むことなど、三団子の糖と脂肪に塗れた頭では不可能なのだから。
幸いにして、この人物にその辺りを考える余裕はなかったようだった。ただひたすらに、『食べたい』という欲求のためにパクリと差し出されたスプーンへと食らいつく。それから、何度かスプーンが差し出されるうちに、体が動くようになってきたのか、黃団子からスプーンを奪い取ってガツガツとお粥をかきこむ。
「良かったぁ。元気になったねぇ」
「うんうん、本当に!」
「こっち、りんごもあるからね!」
いつの間にか、赤団子が用意していたりんごのすりおろしも、その人物は奪い取るようにして食べていく。そして……。
「ありがとうございましたっ」
その人物は、少し低い声で、そうお礼を告げるのだった。
グゥギュルルルルルルゥー。
顔を拭き、水を飲ませた後に盛大に鳴り響いたその音。
三団子は初め、お互いの顔を見合わせたものの、なぜかすぐに違うと気付いたらしく、行き倒れた人物へと視線を向ける。
「「「お腹空いてるの?」」」
「ぅ……」
そんな三団子の身も蓋もない問いかけに、ほとんど聞き取れないくらいのか細い声が届く。それが肯定なのか否定なのか、それすらも定かではなさそうな声であるにもかかわらず、三団子はそれを肯定と取ったらしい。
「確かに、痩せてるもんねぇ」
「何が良いかなぁ?」
「やっぱり、お粥とか、りんごのすりおろしとか?」
末っ子赤団子が言うや否や、次兄青団子がお粥を出していく。しかも、ちゃんと一般的に食べる程度の量にまで抑えられているところを見るに、その辺りのことは考えていたのだろう。
「ご飯だよぉ。さぁ、食べよう」
青団子の声に、行き倒れの人物はそっと美しい翡翠の瞳を覗かせる。かなり薄汚れてはいるものの、恐らく髪の色も緑系の色合いのその人物は、顔立ちが中性的なせいで、男女の区別が未だに分からない状態だ。年齢も、若いだろうということは確認できても、この世界の標準を知らない三団子では予測すら難しい。
ただ、男性であれ、女性であれ、目を覚ました瞬間に見えるのが三団子の姿となれば、『ご愁傷様』としか言いようがない。
さて、そんな彼か彼女か分からない人物は、三団子の姿にギョッとした様子は見せていたものの、すぐにまた、盛大な腹の虫が鳴いたため、食事の方へと意識が優先されたようだった。
青団子と赤団子が横たわっていたその人物の体を起こし、黃団子がスプーンを持ち、お粥をその人物の口元へと運ぶ。
もしも、恋人からの『あーん』に理想とか、夢とか抱いていたのであれば、申し訳ない。本当に、その対象が三団子になってしまっていることは、申し訳ない。
しかし、三団子にも悪気はないのだ。ただただ、善意のみで、その人物へと食事を与えようとしているだけなのだ。そもそも、悪意を持って何かを企むことなど、三団子の糖と脂肪に塗れた頭では不可能なのだから。
幸いにして、この人物にその辺りを考える余裕はなかったようだった。ただひたすらに、『食べたい』という欲求のためにパクリと差し出されたスプーンへと食らいつく。それから、何度かスプーンが差し出されるうちに、体が動くようになってきたのか、黃団子からスプーンを奪い取ってガツガツとお粥をかきこむ。
「良かったぁ。元気になったねぇ」
「うんうん、本当に!」
「こっち、りんごもあるからね!」
いつの間にか、赤団子が用意していたりんごのすりおろしも、その人物は奪い取るようにして食べていく。そして……。
「ありがとうございましたっ」
その人物は、少し低い声で、そうお礼を告げるのだった。
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