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第一章 三団子、異世界に立つ

第二十五話 分厚い手紙と三団子2

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『戦争犯罪人、というのが、私達に新たに付けられた肩書きでした。

 関わりたくすらなかった戦争に駆り出されて、多くの仲間を失い、命からがら生き残って、それでも、私達が居たから戦争が長引いたのだと、そんな理由で付けられたものでした。

 もちろん、そんなもの受け入れられるものではなく、私達は逃げました。

 そこそこ有用なチートを持っていた私達なら、召喚主さえ居なければ逃げ出すくらいは何とでもなりました。

 ただ、人里に行けば、誰もが私達を犯罪者として見る状態。

 私達は、どうすれば良かったのかも分からないまま、この森へと息を潜めることにしました』


 身勝手な召喚によって、きっとこの人達は手紙に書かれている以上に大変な思いをしている。たった二人で、こんな危険な森で、家を作り、生活基盤を整えるのは並大抵のことではない。


『そもそもの戦争の原因は、この森を巡ってのもの。

 この森でしか採れない素材が、とても貴重だったため、取り合いになった結果があの戦争でした。

 この森でひっそりと隠れたところで、きっと素材を集めるために人の手が入るだろうことは確実で、私達は二人で意見を出し合い、いくつかの呪いを完成させました。

 この森の生き物を巨大化、凶暴化させる呪い。この森のものを持ち出そうとしても、外に出た瞬間に消滅してしまう呪い。異世界から召喚された者以外が森に入ると、徐々に衰弱して死に至る呪い。

 ここまでする必要があるのか、私達も悩みはしました。

 生態系に影響を及ぼすことは確実だし、そんなことをしても見つかるかもしれないとも思いました。

 ですが、またこの森を取り合うために戦争なんてしてほしくないと、また、私達のような人を出してはいけないと、その一心で呪いをかけました。

 ですから、この呪いは、何があろうと永遠に続くように設定してあります』


 そんな文章を読む三団子の表情は、驚愕をあらわにしていた。
 ちゃらんぽらんな三団子と比べれば、どんな人でも偉人になれるのかもしれないが、それにしても、この手紙の主が行ったことは凄まじいことなのだと、三団子の足りない頭でも理解できたのかもしれない。
 それに、この森へ呪いを掛けたとのことだが、きっとその呪いは今もなお続いている。巨大で凶暴な魔物には、三団子とて心当たりはあるのだから、その結論に辿り着くのはごく自然なことだった。

 呪いが上手くいって、こんな家が建っているということは、手紙の主の思惑は上手くいったのだろう。
 そうなれば、特に憂いもなく、手紙を残す必要もなさそうだが、どうやらそうではなかったらしい。
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