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第一章 三団子、異世界に立つ
第二十一話 三団子と小屋
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子狼が向かった小屋は、掘っ立て小屋といったものではなく、しっかりと作り込まれた木造の小屋だった。しかも、割とおしゃれだ。
赤い屋根の木造の小屋は、全体的に明るい色合いのもので、ベランダもあれば、ウッドデッキまである。明かり取り用の窓は大きなものが正面からでも三枚は見え、屋根には恐らくドーマーと思われるものまで存在している。
壁に使われている木材は、この辺りのものではないのか白っぽく、逆に扉に使われている木材は黒というか焦げ茶というか、といった色合いで、この周囲に生えている木材と似た色のものだった。
サイズとしては、十人くらいの人間が住んでいると言われても納得してしまいそうなほどに大きく、小屋の隣には倉庫らしきものまで鎮座していた。
改めて、誰がどんな目的で建てた小屋なのか、全く理解できない代物だ。
しかし、三団子にそんな怪しさを感知できるような平均的な頭脳は存在しない。ただただ、立派な小屋……いや、むしろ立派な家を前に歓喜する。
「すごいなぁ。こんな森の奥にこんな立派な家が建つなんて」
「そうだよね。でも、魔法とかあるから、案外簡単なのかも?」
「そっか、魔法もスキルもあれば、お菓子の家みたいに、一人で家を建てることもできるのかもっ」
三団子のそれぞれの感想は、他を知らないから仕方のないものではあるものの……それでも、そんなわけがないと誰も突っ込まない環境はきっとよろしくない。誰にとってよろしくないのかといえば、獣であるにもかかわらず、三団子などより余程常識を持っていそうな子狼だ。
現に、子狼は三団子の会話をどこか疲れたように見ている。
実際、三団子のスキルや魔力はあり得ないレベルのもので間違いない。一人でスキルや魔法のみを駆使してこんな家を建てるなど、三団子と同じように異世界から召喚されたチート持ちでも限り無理だろう。
「「「こんにちはー。誰か居ませんかー?」」」
そして、三団子はまたしても暴走する。こんな怪しさ満点の小屋を前に、こんな言葉を吐くのは、馬鹿かアホか考えなしのどれかでしかない。
もし、ここに住む人物が三団子と敵対するような者であれば、三団子は自分の存在を無防備にアピールしてしまったということになる。
ただし、そんな展開には残念ながらならなかった。
しーんと静まり返る周囲。幸か不幸か、小屋の住人は居ないようだった。
ただ外出中なだけなのか、それとも、もう誰も住んでいないのか、真偽は不明だが、どうやら三団子は命拾いをしたらしい。
その後、何度か呼びかけたり扉を叩いて、誰も居ないらしいと確認した三団子は……その場を後にしようとした。
赤い屋根の木造の小屋は、全体的に明るい色合いのもので、ベランダもあれば、ウッドデッキまである。明かり取り用の窓は大きなものが正面からでも三枚は見え、屋根には恐らくドーマーと思われるものまで存在している。
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サイズとしては、十人くらいの人間が住んでいると言われても納得してしまいそうなほどに大きく、小屋の隣には倉庫らしきものまで鎮座していた。
改めて、誰がどんな目的で建てた小屋なのか、全く理解できない代物だ。
しかし、三団子にそんな怪しさを感知できるような平均的な頭脳は存在しない。ただただ、立派な小屋……いや、むしろ立派な家を前に歓喜する。
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そして、三団子はまたしても暴走する。こんな怪しさ満点の小屋を前に、こんな言葉を吐くのは、馬鹿かアホか考えなしのどれかでしかない。
もし、ここに住む人物が三団子と敵対するような者であれば、三団子は自分の存在を無防備にアピールしてしまったということになる。
ただし、そんな展開には残念ながらならなかった。
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ただ外出中なだけなのか、それとも、もう誰も住んでいないのか、真偽は不明だが、どうやら三団子は命拾いをしたらしい。
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