ポッチャリ三団子の逆襲 〜異世界で要らないと捨てられました〜

星宮歌

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第一章 三団子、異世界に立つ

第十七話 水浴び中な三団子

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 誰も見たくないであろう三団子の息切れシーンは、ひとまず大幅にカットして、子狼に案内されて三団子が向かった先は、大きな川だった。
 不思議なことに、子狼に案内されている間、他の魔物に襲われることもなかったのだが、それは置いておいて、とにかく川、水だ。これで、三団子も少しは臭いを緩和させたり、服を洗ったりもできるだろう。


「「「川かぁ……」」」


 しかし、どこか不満げな三団子。
 ここに来るまでの道のりをノロノロと歩く三団子に対して、辛抱強く待ちながら案内した子狼に謝ってほしいものだ。


「キャンッ、キャンッ」


 子狼は、楽しそうに水浴びをして遊んでいるが、時折チラチラと三団子へ視線を向けるのは、きっと、その臭気をどうにかしてほしいからだと思われた。


「「「お菓子じゃなかった……」」」


 何がどうして、お菓子の場所に案内してもらえると思ったのか。もし、本当に案内してもらえたのだとしたら、随分とメルヘンな世界観だし、そもそもそんな世界ならもっと安全なような気もする。

 しかし三団子は、先程自分達が臭いと自覚したのを思い出したらしく、おもむろに服を脱ぎ始める。

 ここから先の三団子の水浴びタイムは、誰にとっても害しかなさそうなシーンであるため、この川の説明を中心にしていくとしよう。たまに、三団子の重要そうな会話があればピックアップするのもやぶさかではないが、きっとそんなものが飛び出してくることはないだろう。

 さて、この川は、黒の森の北側に位置する怪山かいざんと呼ばれる山から流れてきており、黒の森から先は、カドック王国へと通じている。
 つまりは、ここで三団子が水浴びをすると、その水がカドック王国の生活用水として使われる可能性もあるわけだが……ひとまず、そのおぞましい可能性に関しては無視が一番だろう。もしかしたら、川が流れる過程で色々と分解されて消えてしまうものかもしれないのだから。


「それにしても、質兄さんがロープを入れてくれてて助かったねぇ」

「うん、おかげで、服も干せた!」

「ロープ、何に使うつもりだったんだろうね?」


 ……今、水浴び中であるため、正確に識別出来ているか定かではないが、大抵の場合、青団子、黃団子、赤団子の順で話していることを思えば、今回も同じなのだろう。

 ちなみに、話題に出ていた長男の謎の荷物、ロープに関しては、山での合宿予定だったことと、山登りの日程もあったことから、きっと命綱としての役割だったのではないかと推測できる。とはいえ、それを自前で準備するというのが普通なのかどうかは不明だが。


「そういえば、ゲームとかでは能力値を見れたりするよねぇ」

「そういえば、そうかも」

「転生とか異世界召喚もののお話とかでも見れるはずだけど、試してみる?」


 そして、三団子は、未だに水浴びをしているのか、川の中でそんな話をする。


「うん、それじゃあ」

「「「ステータス、オープン!! っ!? うわぁぁあっ!!」」」


 その直後、何があったのかは分からないが、派手な水しぶきが三つ上がった。
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