ポッチャリ三団子の逆襲 〜異世界で要らないと捨てられました〜

星宮歌

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第一章 三団子、異世界に立つ

第十四話 命の危機な三団子

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 三団子、絶体絶命の危機再び。
 足の太さだけでも三団子を上回……りはしないが、それでも通常の狼とは全く異なる大きさだ。その巨大な灰色の狼は、きっと丸呑みなんて食べ方はしない。しっかりと、三団子の肉を噛み締めて、食べ切ってくれることだろう。


「グルルルァッ!!」

「「「ひ、ひぃぃぃいっ!!!」」」


 完全なる命の危機を前に、さすがの三団子もお菓子をむさぼっていた手を止める。そして……。


「お、お菓子あげるから」

「見逃して」

「くれないかなぁ、なんて……」


 ブルブルと身を寄せ合う三団子は、十中八九意味がないであろう命乞いを始める。
 食べ物への執着より、命が大事だという思考だけはあるようで何よりだ。むしろ、それすらなければ誰もが匙を投げただろう。


「グルルァァアッ!!」


 ただし、もう一度言うが、そんな命乞いに意味はない。欠片たりともない。
 巨大狼は、そのまま三団子をガブリといこうと思ったのか、大きな口を開けて三団子へと突進する。


「「「きゃあぁぁぁぁあっ!!」」」


 まるで女子のような悲鳴が丸々デップリな三団子から発せられ、次の瞬間には突進した巨大狼によってその場に土煙が舞う。


「ふぅっ、ふぅっ」

「ひぃっ、ひぃっ」

「ぜぇっ、ぜぇっ」


 しかし、どうやら三団子は奇跡的にそれを回避していた。きっと、十中八九、その巨体でゴロリンゴロリンと転がった結果なのだろうが、それでも巨大狼は目の前だ。
 大蛇が相手の時は、丸呑みにされるまでにたっぷりと遊ばれていた三団子だが、この巨大狼に遊ぼうという気は全くなさそうだった。ギラギラとした目付きで三団子を見る巨大狼には、きっと三団子がご馳走にしか見えていないのだろう。

 未だ、三団子の命は風前の灯火。ここは、三団子に根性を見せてほしいところだが……。


「僕、死ぬの? 死んだの?」

「死にたくないぃい」

「おがあざーんっ!!」


 ……転がって、立ち上がることすらできずにモダモダとしている三団子にそれを求めるのは酷だったようだ。きっと、これで巨大狼の腹が満たされて、めでたしめでたしなのだろう。

 そんな三団子を見ながら、巨大狼は口の中に入ったものをムシャムシャと食べる。
 具体的に何を食べているのかといえば、先程まで三団子が食べていたお菓子達だ。
 魔物とはいえ、狼がそんなものを食べても大丈夫なのかという疑問はあるものの、きっと巨大狼も腹を空かせていたのだろう。それが食べ物だと認識したらしい狼は、ターゲットを三団子からお菓子へと変える。
 三団子にとって、お菓子はデザートだが、狼にとってのデザートは三団子かもしれない状況。それでも、三団子はターゲットが逸れたことに安堵し、ワタワタと逃げ出そうと立ち上がり……。


「「「目が、目がぁぁぁあっ!!!」」」


 直後、何故か辺り一帯が眩い光に包まれた。
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