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第一章 三団子、異世界に立つ
第十二話 三団子の脱出
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ところで、皆さんは覚えているだろうか? 三団子が今居る場所は、大蛇の腹の中なのだと。
確かに、大蛇の腹の中は広く、家一軒くらいは建てられそうではあった。
ただし、三団子が願ったのは家一軒どころの面積ではない。どこに、三百メートル超えのお菓子の家を願う馬鹿者が居るのかと言われそうだが、この三団子は、本当に真面目に祈ってしまったのだ。しかも、なぜかそれが叶ってしまう……。
詳細は未だ不明だが、恐らくは、これが異世界召喚された者に備わるチートというものなのだろう。
溜まったものではないのは、三団子という丸々として美味しそうな餌を呑み込んだ大蛇。のんびりと食後の午睡を楽しんでいたところに、急に腹を突き破ってお菓子の家、ではなく、お菓子の塔が建ってしまったのだ。
「ギシャアァァァアッ!!!?」
大蛇は当然、叫んで暴れた。しかし、このお菓子の塔は、土台までしっかりとしていたらしく……つまりは、大蛇の腹の上下を突き破っていたらしく、次第に暴れるだけの体力も失せる。
大蛇が最期に目にしたのは、崩れ落ちるお菓子の塔が、自分の頭に落ちてくる様子だった。
これが、ゲームであれば、死亡ログは『大蛇は、お菓子の塔に貫かれて死んだ』だろうか。
そんな、前代未聞のお菓子の塔に貫かれて死ぬ、などという色々な意味で凄惨な死を大蛇が遂げた頃、三団子はどうしていたのかと言えば、歓喜の声の後、絶望の叫びを上げていた。
「「「お菓子の家がぁぁぁあっ!!!」」」
生成の過程で大蛇の腹を突き破ったお菓子の塔。しかし、所詮お菓子はお菓子。大蛇が暴れれば崩れるというわけで、崩壊したお菓子の塔を前に、三団子はとても悲痛な叫び声を上げる。
それもこれも、全ては三団子が考えなしだっただけのことで、しかもそれに大蛇の尊い命が犠牲になっているのだ。三団子は、土下座して謝るべきだし、大蛇の墓くらいは作るべきだろう。
「何で、あんなタイミング良く地震なんて起きるんだ!」
「おかげでお菓子の家が崩れただろ!」
「僕達の、夢の、お菓子の家がぁぁぁあっ!!」
……いや、そもそも、三団子は目の前に食料があると、何もかもを忘れてしまう脳内構造を持っていたのかもしれない。
大蛇の最期の足掻きを、ただの地震だと断言している時点で、大蛇に呑まれた記憶など、この三団子には残っていなかったに違いない。
憐れ、大蛇。必死に藻掻いたのに、三団子からは忘れ去られていたらしい。
しかし、大蛇が死に、その腹に大穴が空いたということは、三団子にとって朗報ではある。こんな馬鹿げたやり方をした三団子にそれを伝えるのは、恐ろしく癪ではあるものの、きっと誰かから言われずとも気づくことでもある。
「あれ? 兄ちゃん。天井が……」
最初に気づくのは、やはり末っ子赤団子。
「……空?」
「……外?」
遅れて青団子も黄団子も、お菓子の塔によって空けられた巨大な風穴に注目する。
「「「…………外だぁぁぁぁぁあっ!!!」」」
こうして三団子は、大蛇の腹の中から脱出することができたのだった。
確かに、大蛇の腹の中は広く、家一軒くらいは建てられそうではあった。
ただし、三団子が願ったのは家一軒どころの面積ではない。どこに、三百メートル超えのお菓子の家を願う馬鹿者が居るのかと言われそうだが、この三団子は、本当に真面目に祈ってしまったのだ。しかも、なぜかそれが叶ってしまう……。
詳細は未だ不明だが、恐らくは、これが異世界召喚された者に備わるチートというものなのだろう。
溜まったものではないのは、三団子という丸々として美味しそうな餌を呑み込んだ大蛇。のんびりと食後の午睡を楽しんでいたところに、急に腹を突き破ってお菓子の家、ではなく、お菓子の塔が建ってしまったのだ。
「ギシャアァァァアッ!!!?」
大蛇は当然、叫んで暴れた。しかし、このお菓子の塔は、土台までしっかりとしていたらしく……つまりは、大蛇の腹の上下を突き破っていたらしく、次第に暴れるだけの体力も失せる。
大蛇が最期に目にしたのは、崩れ落ちるお菓子の塔が、自分の頭に落ちてくる様子だった。
これが、ゲームであれば、死亡ログは『大蛇は、お菓子の塔に貫かれて死んだ』だろうか。
そんな、前代未聞のお菓子の塔に貫かれて死ぬ、などという色々な意味で凄惨な死を大蛇が遂げた頃、三団子はどうしていたのかと言えば、歓喜の声の後、絶望の叫びを上げていた。
「「「お菓子の家がぁぁぁあっ!!!」」」
生成の過程で大蛇の腹を突き破ったお菓子の塔。しかし、所詮お菓子はお菓子。大蛇が暴れれば崩れるというわけで、崩壊したお菓子の塔を前に、三団子はとても悲痛な叫び声を上げる。
それもこれも、全ては三団子が考えなしだっただけのことで、しかもそれに大蛇の尊い命が犠牲になっているのだ。三団子は、土下座して謝るべきだし、大蛇の墓くらいは作るべきだろう。
「何で、あんなタイミング良く地震なんて起きるんだ!」
「おかげでお菓子の家が崩れただろ!」
「僕達の、夢の、お菓子の家がぁぁぁあっ!!」
……いや、そもそも、三団子は目の前に食料があると、何もかもを忘れてしまう脳内構造を持っていたのかもしれない。
大蛇の最期の足掻きを、ただの地震だと断言している時点で、大蛇に呑まれた記憶など、この三団子には残っていなかったに違いない。
憐れ、大蛇。必死に藻掻いたのに、三団子からは忘れ去られていたらしい。
しかし、大蛇が死に、その腹に大穴が空いたということは、三団子にとって朗報ではある。こんな馬鹿げたやり方をした三団子にそれを伝えるのは、恐ろしく癪ではあるものの、きっと誰かから言われずとも気づくことでもある。
「あれ? 兄ちゃん。天井が……」
最初に気づくのは、やはり末っ子赤団子。
「……空?」
「……外?」
遅れて青団子も黄団子も、お菓子の塔によって空けられた巨大な風穴に注目する。
「「「…………外だぁぁぁぁぁあっ!!!」」」
こうして三団子は、大蛇の腹の中から脱出することができたのだった。
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