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第一章 三団子、異世界に立つ
第十一話 三団子の秘められた力
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その体型はお飾りではないとばかりに、凄まじい暴食ぶりを示した三団子。しかし、それだけでは飽き足らず、まだまだ何かをするつもりらしい。
ただでさえ、あまりの食べっぷりにドン引きなのに、これ以上何をしようと言うのか。少なくとも、そのボヨヨン腹がさらにボヨヨンデップリ腹に変化するようなことであるのは間違いがないだろう。
「こんなに食べ物を出せるなら、お菓子の家とかも作れるんじゃないっ?」
「「それだっ!!」」
……三団子よ。『それだっ!!』ではない。確かに、お菓子の家というのはありがちな夢だろう。
ただし、時と場合を考えてほしいのだ。何が悲しくて、生臭い匂いが立ち込めている大蛇の腹の中に、ファンシーで可愛らしくて甘ーいお菓子の家を作りたいということになるのか。
ただまぁ、三団子の発想は仕方ないものなのかもしれない。だって、三団子の頭の中に、『景観』とか『TPO』とか、そういった単語が入っているとは到底思えない。きっと、その脳味噌に詰まっているのは、『食べ物の名前』がかなりのウェイトを占めているに違いないのだ。それ以外は、糖と脂肪のみに違いない。
「お菓子の家」
「夢にまで見たお菓子の家」
青団子と黃団子が『お菓子の家』というフレーズにジュルリと汚らしく涎を啜る。
「クッキーの壁に、板チョコの扉、飴の窓ガラス」
「マーブルチョコのドアノブに、スポンジケーキのソファー」
「アイスも外したくないよね。クッキーにサンドされたアイスのテーブルに、ビスケットやチョコクッキーで飾り付けも」
見た目だけなら可愛いだろうお菓子の家。ただし、こんな欲望駄々漏れの三団子が想像しているのだと思うと、何となく禍々しくすら感じてしまう。
「「「えへ、えへへへへへぇ」」」
だらしなくモチモチの頬を緩めて、不気味な笑い声を漏らす三団子。
もう、この三団子は危険人物認定で良いだろう。お巡りさん、こいつらです!!
とはいえ、この世界にお巡りさんが居るのかも定かではないし、そもそも、ここには三団子以外に誰も居ない。残念ながら、三団子が牢獄に繋がれる未来は見えそうにない。
「お菓子の家ならぁ」
「大きい方が良いよね!」
「うん、絶対それが良い!」
誰でも良い。誰でも良いから、『ちょっと待て! この脳味噌食欲団子!』と止めてはくれまいかと思うものの、本当に残念ながら、三団子の暴走を止める者は居ない。そして……。
「「「東京タワーくらいでっかいお菓子の家!!」」」
そんな三団子の欲望の叫びは、悲しいことに現実へと変わってしまった。
ただでさえ、あまりの食べっぷりにドン引きなのに、これ以上何をしようと言うのか。少なくとも、そのボヨヨン腹がさらにボヨヨンデップリ腹に変化するようなことであるのは間違いがないだろう。
「こんなに食べ物を出せるなら、お菓子の家とかも作れるんじゃないっ?」
「「それだっ!!」」
……三団子よ。『それだっ!!』ではない。確かに、お菓子の家というのはありがちな夢だろう。
ただし、時と場合を考えてほしいのだ。何が悲しくて、生臭い匂いが立ち込めている大蛇の腹の中に、ファンシーで可愛らしくて甘ーいお菓子の家を作りたいということになるのか。
ただまぁ、三団子の発想は仕方ないものなのかもしれない。だって、三団子の頭の中に、『景観』とか『TPO』とか、そういった単語が入っているとは到底思えない。きっと、その脳味噌に詰まっているのは、『食べ物の名前』がかなりのウェイトを占めているに違いないのだ。それ以外は、糖と脂肪のみに違いない。
「お菓子の家」
「夢にまで見たお菓子の家」
青団子と黃団子が『お菓子の家』というフレーズにジュルリと汚らしく涎を啜る。
「クッキーの壁に、板チョコの扉、飴の窓ガラス」
「マーブルチョコのドアノブに、スポンジケーキのソファー」
「アイスも外したくないよね。クッキーにサンドされたアイスのテーブルに、ビスケットやチョコクッキーで飾り付けも」
見た目だけなら可愛いだろうお菓子の家。ただし、こんな欲望駄々漏れの三団子が想像しているのだと思うと、何となく禍々しくすら感じてしまう。
「「「えへ、えへへへへへぇ」」」
だらしなくモチモチの頬を緩めて、不気味な笑い声を漏らす三団子。
もう、この三団子は危険人物認定で良いだろう。お巡りさん、こいつらです!!
とはいえ、この世界にお巡りさんが居るのかも定かではないし、そもそも、ここには三団子以外に誰も居ない。残念ながら、三団子が牢獄に繋がれる未来は見えそうにない。
「お菓子の家ならぁ」
「大きい方が良いよね!」
「うん、絶対それが良い!」
誰でも良い。誰でも良いから、『ちょっと待て! この脳味噌食欲団子!』と止めてはくれまいかと思うものの、本当に残念ながら、三団子の暴走を止める者は居ない。そして……。
「「「東京タワーくらいでっかいお菓子の家!!」」」
そんな三団子の欲望の叫びは、悲しいことに現実へと変わってしまった。
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