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第一章 三団子、異世界に立つ
第一話 お腹の中の三団子
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大蛇に呑まれてさようなら……では、さすがに物語が終わってしまうため、一応、まだ三団子へと視点を移さねばなるまい。たとえそれが、どんなにみっともなくとも、三団子には三団子の物語がある。と、いうわけで……。
「ぴぇぇえっ! 食べられたぁぁあっ!」
「いやぁぁあっ! 死ぬぅぅうっ!!」
「おがぁざぁぁんっ!!」
……いや、本当に三団子に焦点を当てる必要があるのかどうかを疑問に思われるのは当然だ。そこは、大蛇の口の中をちょっと過ぎたところ。しかし、大蛇は大蛇であるがゆえに、丸呑みされた三団子はまだ無傷であり、コロコロと転がる余裕も十分にある空間で叫んでいる。と、いうか、普通に家を建てることができそうなくらいに広い空間だ。
「うっ、うぅ……あ、あれ? 僕ら、生きてる……?」
「えっ……? そ、そういえば?」
「生きて……じゃあ、蛇に食べられたのは、夢!?」
顔や体型だけで見分けることは不可能ではあれど、彼らは幸い、色違いのシャツを着用している。青、黄色、赤という信号色。本来の色よりも、汗と涙と何か分からない分泌液でグッショリ濡れたせいで濃くなってはいるものの、ちゃんと色の判別はつく。きっと、これがあれば見分けることも可能だ。
最後の赤シャツ団子の言葉で、彼らは互いにモタモタしながら起き上がり、顔を見合わせる。そして、唐突に、互いの頬へ手を伸ばし、ギュッとつねり上げる。
「「「いひゃいっ!!」」」
アホなことをしているなどと言うことなかれ。何せ、三団子にとって、これは現実かを疑いたくなる事態なのだ。
三団子……正式な名前を、椎名実、椎名剛、椎名健という青、黄、赤の面々は、一応、日本人であり、同じ大学に通う三つ子だった。
名前負け? まぁ、『実』以外は負けているのかもしれない。だって、『剛』なんていう強さや硬さを表しそうな名前の彼は、ポッチャリポヨポヨで頼りない。『健』は、きっと健康に育ってほしいとかいう意味でつけられたのだろうが、明らかに生活習慣病予備軍である。甘い物も油物も大好物で、糖尿病も高血圧も、高速で迫ってきているはずだ。ただ一人、三つ子の中の長男、実は、体が必要以上に実ったという見方はできるだろう。もちろん、彼の両親がそんな意図で名付けたはずはないのだが、実ってしまったものは仕方がない。
そんなわけで、互いに右の頬を赤くした三団子は、現実に直面していた。
「ぴぇぇえっ! 食べられたぁぁあっ!」
「いやぁぁあっ! 死ぬぅぅうっ!!」
「おがぁざぁぁんっ!!」
……いや、本当に三団子に焦点を当てる必要があるのかどうかを疑問に思われるのは当然だ。そこは、大蛇の口の中をちょっと過ぎたところ。しかし、大蛇は大蛇であるがゆえに、丸呑みされた三団子はまだ無傷であり、コロコロと転がる余裕も十分にある空間で叫んでいる。と、いうか、普通に家を建てることができそうなくらいに広い空間だ。
「うっ、うぅ……あ、あれ? 僕ら、生きてる……?」
「えっ……? そ、そういえば?」
「生きて……じゃあ、蛇に食べられたのは、夢!?」
顔や体型だけで見分けることは不可能ではあれど、彼らは幸い、色違いのシャツを着用している。青、黄色、赤という信号色。本来の色よりも、汗と涙と何か分からない分泌液でグッショリ濡れたせいで濃くなってはいるものの、ちゃんと色の判別はつく。きっと、これがあれば見分けることも可能だ。
最後の赤シャツ団子の言葉で、彼らは互いにモタモタしながら起き上がり、顔を見合わせる。そして、唐突に、互いの頬へ手を伸ばし、ギュッとつねり上げる。
「「「いひゃいっ!!」」」
アホなことをしているなどと言うことなかれ。何せ、三団子にとって、これは現実かを疑いたくなる事態なのだ。
三団子……正式な名前を、椎名実、椎名剛、椎名健という青、黄、赤の面々は、一応、日本人であり、同じ大学に通う三つ子だった。
名前負け? まぁ、『実』以外は負けているのかもしれない。だって、『剛』なんていう強さや硬さを表しそうな名前の彼は、ポッチャリポヨポヨで頼りない。『健』は、きっと健康に育ってほしいとかいう意味でつけられたのだろうが、明らかに生活習慣病予備軍である。甘い物も油物も大好物で、糖尿病も高血圧も、高速で迫ってきているはずだ。ただ一人、三つ子の中の長男、実は、体が必要以上に実ったという見方はできるだろう。もちろん、彼の両親がそんな意図で名付けたはずはないのだが、実ってしまったものは仕方がない。
そんなわけで、互いに右の頬を赤くした三団子は、現実に直面していた。
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