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第三章 レイラ
第四十五話
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レイラによる説明は、シェラ達にとってあまりにも規格外と呼ぶべきものだった。
情報記録のためのチートとも呼ぶべき魔法、『記憶の書』。
シェラとレイラの魂分離を可能とした『魂分け』。
亀……というか、第三訓練所をズタボロにするほどの威力を持つ『雷炎地獄道』。
その『雷炎地獄道』すら耐えた亀を死に至らしめた『零刻』。
まだ試していないとはいえ、強力な撃退機能付きの金庫である『万能金庫』。
偵察の魔法にしては攻撃性の高い『ネズミ達の狂乱』。
生涯のうちに、一つか二つの魔法を開発出来れば良い方だと言われているにも関わらず、魔法だけでもこれだけの量だ。
「それ以外に、水、炎、風、大地の魔術はほとんど網羅しているし、転移の魔術も使える。……フィスカ、あなたはレイラにどんな教育をしたのかしら?」
頭を抱えながら問うシェラに、フィスカは必死に否定をする。
「いえっ、わたくしも、こんなに魔法や魔術を使えるとは全く……マディンではありませんか?」
「僕は、あまりレイラに魔法や魔術について話した覚えはないし、もし僕が教えるにしても、それは大地の魔術だけだよっ」
マディンに水を向けたフィスカ。しかし、マディンの否定によって、誰かがレイラに魔術を教えたという線は消える。
「ふゆっ! ちゃんと、本は返したの!!」
「あっ! あの本っすか!?」
「そーなのっ!」
心当たりでもあったのか、モナが声をあげる。そして、それに同意したレイラを見て、シェラ達はどういうことだとモナを見る。
「えっとっすね? レイラは色々な本を持ってるなぁとは思ってたんっす。まだ、短い期間っすけど、見る度に違う本を読んでて、お頭がレイラに渡してるんだと思ってたんっす」
そう告げたモナへ、パーシーはジトッとした目を向ける。
「……モナ、あたしが本を読むように見えるか?」
「……あっ!! すみませんっす!!」
じっと、パーシーの顔を見つめたかと思えば、すぐに謝罪するモナ。
「いや、謝られるのも、割とクルんだけど……」
自分で言っていてダメージを負ったらしいパーシー。しかし、そんな空気を物ともしない者が一人。
「ふゆ? パーシー、本を読まないの? なら、私が本の読み聞かせをするのっ!!」
「……頼む、レイラ。それだけは、止めてくれ」
「ふゆ?」
自覚なしにパーシーを追撃したレイラ。首をかしげたレイラの様子に、パーシーはとにかくうなだれる。
「パーシー、僕が読みやすい本を貸すよ」
笑い混じりにパーシーへ声をかけたのはマディン。そんなマディンの言葉に、パーシーはますます肩を落とす。
「……とにかく、レイラは独学で、魔術も魔法も学んだ、ということね?」
「ふゆっ! そーなの! でも、基礎はお姉ちゃんが教えてくれたものなのっ」
「私が教えたのは、魔術がどんなものか、魔法とどう違うのか程度の知識だったはずだから、やっぱり、レイラの独学ね。……ちなみにレイラ。『記憶の書』というので見ている情報は、どうするつもり?」
「ふゆ? うーん……お姉ちゃん達のために使うつもりだけど、具体的には分からないの」
うさ耳を垂らしたレイラは、上目遣いでシェラを見つめる。
その姿が可愛かったのか、シェラは一瞬、『うっ』と呻いて、首を横に振る。
「分かったわ。そこはレイラを信頼することにするわね」
そうして、ようやくレイラは様々な質問から開放された……はずだった。
情報記録のためのチートとも呼ぶべき魔法、『記憶の書』。
シェラとレイラの魂分離を可能とした『魂分け』。
亀……というか、第三訓練所をズタボロにするほどの威力を持つ『雷炎地獄道』。
その『雷炎地獄道』すら耐えた亀を死に至らしめた『零刻』。
まだ試していないとはいえ、強力な撃退機能付きの金庫である『万能金庫』。
偵察の魔法にしては攻撃性の高い『ネズミ達の狂乱』。
生涯のうちに、一つか二つの魔法を開発出来れば良い方だと言われているにも関わらず、魔法だけでもこれだけの量だ。
「それ以外に、水、炎、風、大地の魔術はほとんど網羅しているし、転移の魔術も使える。……フィスカ、あなたはレイラにどんな教育をしたのかしら?」
頭を抱えながら問うシェラに、フィスカは必死に否定をする。
「いえっ、わたくしも、こんなに魔法や魔術を使えるとは全く……マディンではありませんか?」
「僕は、あまりレイラに魔法や魔術について話した覚えはないし、もし僕が教えるにしても、それは大地の魔術だけだよっ」
マディンに水を向けたフィスカ。しかし、マディンの否定によって、誰かがレイラに魔術を教えたという線は消える。
「ふゆっ! ちゃんと、本は返したの!!」
「あっ! あの本っすか!?」
「そーなのっ!」
心当たりでもあったのか、モナが声をあげる。そして、それに同意したレイラを見て、シェラ達はどういうことだとモナを見る。
「えっとっすね? レイラは色々な本を持ってるなぁとは思ってたんっす。まだ、短い期間っすけど、見る度に違う本を読んでて、お頭がレイラに渡してるんだと思ってたんっす」
そう告げたモナへ、パーシーはジトッとした目を向ける。
「……モナ、あたしが本を読むように見えるか?」
「……あっ!! すみませんっす!!」
じっと、パーシーの顔を見つめたかと思えば、すぐに謝罪するモナ。
「いや、謝られるのも、割とクルんだけど……」
自分で言っていてダメージを負ったらしいパーシー。しかし、そんな空気を物ともしない者が一人。
「ふゆ? パーシー、本を読まないの? なら、私が本の読み聞かせをするのっ!!」
「……頼む、レイラ。それだけは、止めてくれ」
「ふゆ?」
自覚なしにパーシーを追撃したレイラ。首をかしげたレイラの様子に、パーシーはとにかくうなだれる。
「パーシー、僕が読みやすい本を貸すよ」
笑い混じりにパーシーへ声をかけたのはマディン。そんなマディンの言葉に、パーシーはますます肩を落とす。
「……とにかく、レイラは独学で、魔術も魔法も学んだ、ということね?」
「ふゆっ! そーなの! でも、基礎はお姉ちゃんが教えてくれたものなのっ」
「私が教えたのは、魔術がどんなものか、魔法とどう違うのか程度の知識だったはずだから、やっぱり、レイラの独学ね。……ちなみにレイラ。『記憶の書』というので見ている情報は、どうするつもり?」
「ふゆ? うーん……お姉ちゃん達のために使うつもりだけど、具体的には分からないの」
うさ耳を垂らしたレイラは、上目遣いでシェラを見つめる。
その姿が可愛かったのか、シェラは一瞬、『うっ』と呻いて、首を横に振る。
「分かったわ。そこはレイラを信頼することにするわね」
そうして、ようやくレイラは様々な質問から開放された……はずだった。
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