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第四章 遠い二人
第七十四話 悪魔との戦い(アルム視点)
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ギースの居場所を突き止めたボクは、早速行動に移った。ギースを乗っ取った悪魔を確実に追い出して仕留めるために、光魔法の使い手で精鋭部隊を結成し、ボク自身も出陣することにしたのだ。
ディークには止められたが、これは、ボクの問題だ。ボク自身の手で決着をつけなければ収まらない。
「はぁ、分かりました。では、私の方は、バルファ商会に手をつけることと致しましょう。セルグ殿のおかげで、引っ立てるための情報は集まっていますからね」
「頼む」
これで、ギースを乗っ取った悪魔さえ退治できれば、全てが終わる。シェイラも戻ってくる。
念のため、悪魔によって何かをされたのであろうと思われるドライムにも監視をつけて、ボク達はその日、ギースが潜伏していると思われる民家へと向かった。
(ここに、ギースが……)
正直、ギースを無事に奪還できるかどうかは不明だ。悪魔がギースを殺して、その体を操っていれば、どうすることもできない。しかし、もしそうでなければ、光魔法で追い立ててやれば、ギースと悪魔を引き剥がすくらいのことは可能なはずだった。
小さな路地の先に見える、掘っ立て小屋にしか見えない建物。そして、ギースの部下の遺体が見つかったとされる建物を前に、ボクはまず、先行部隊へと潜入を命じる。ギースが居ると確認が取れ次第、ここは戦場になるだろう。
そう思いながら、先行部隊から掘っ立て小屋へと視線を移した瞬間だった。
「おや、これはまた、随分と豪勢なお出迎えですね?」
「ギース……いや、悪魔っ」
突然、その場に現れていたギース。その存在に気づけなかったことに愕然としながら、ボクは、予定通り作戦を実行するべく、声を張り上げる。
「一の部隊! 悪魔を取り囲めっ! 二の部隊! 魔法用意!」
「はっ!」
「承知!」
それぞれの部隊長が返事をする中、ボクはボクで、剣を抜いて一気にギースへと肉薄する。
「おっと、ご挨拶ですね」
ヒラリと剣をかわして、腰から短剣を引き抜いたギースは、次の一撃を、その短剣で止めてみせる。
「ギースを元に戻せっ」
「ご冗談を。この体は、案外使い勝手が良いんですよ」
ニヤリと笑うギースに、ボクは、さらに、一撃、二撃と攻撃を加えていく。ギースが生きているかもしれない以上、本気を出すことはできないが、それでもそこそこの力で相手をしていたボクは、背後で呼び掛けられた瞬間、ギースから距離を取る。
「「「尊き光よ。かの者を縛る楔を解き放てっ」」」
その直後、もたらされたのは、眩い光の奔流。全てが光に包まれて、何もかもが見えなくなる。そして……。
「やった、のか?」
光が収まったその場所では、ギースが力なく倒れていたのだった。
ディークには止められたが、これは、ボクの問題だ。ボク自身の手で決着をつけなければ収まらない。
「はぁ、分かりました。では、私の方は、バルファ商会に手をつけることと致しましょう。セルグ殿のおかげで、引っ立てるための情報は集まっていますからね」
「頼む」
これで、ギースを乗っ取った悪魔さえ退治できれば、全てが終わる。シェイラも戻ってくる。
念のため、悪魔によって何かをされたのであろうと思われるドライムにも監視をつけて、ボク達はその日、ギースが潜伏していると思われる民家へと向かった。
(ここに、ギースが……)
正直、ギースを無事に奪還できるかどうかは不明だ。悪魔がギースを殺して、その体を操っていれば、どうすることもできない。しかし、もしそうでなければ、光魔法で追い立ててやれば、ギースと悪魔を引き剥がすくらいのことは可能なはずだった。
小さな路地の先に見える、掘っ立て小屋にしか見えない建物。そして、ギースの部下の遺体が見つかったとされる建物を前に、ボクはまず、先行部隊へと潜入を命じる。ギースが居ると確認が取れ次第、ここは戦場になるだろう。
そう思いながら、先行部隊から掘っ立て小屋へと視線を移した瞬間だった。
「おや、これはまた、随分と豪勢なお出迎えですね?」
「ギース……いや、悪魔っ」
突然、その場に現れていたギース。その存在に気づけなかったことに愕然としながら、ボクは、予定通り作戦を実行するべく、声を張り上げる。
「一の部隊! 悪魔を取り囲めっ! 二の部隊! 魔法用意!」
「はっ!」
「承知!」
それぞれの部隊長が返事をする中、ボクはボクで、剣を抜いて一気にギースへと肉薄する。
「おっと、ご挨拶ですね」
ヒラリと剣をかわして、腰から短剣を引き抜いたギースは、次の一撃を、その短剣で止めてみせる。
「ギースを元に戻せっ」
「ご冗談を。この体は、案外使い勝手が良いんですよ」
ニヤリと笑うギースに、ボクは、さらに、一撃、二撃と攻撃を加えていく。ギースが生きているかもしれない以上、本気を出すことはできないが、それでもそこそこの力で相手をしていたボクは、背後で呼び掛けられた瞬間、ギースから距離を取る。
「「「尊き光よ。かの者を縛る楔を解き放てっ」」」
その直後、もたらされたのは、眩い光の奔流。全てが光に包まれて、何もかもが見えなくなる。そして……。
「やった、のか?」
光が収まったその場所では、ギースが力なく倒れていたのだった。
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