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第九章 邪王討伐
第百六十六話 モフモフの刑(前半ジークフリート、後半ハミルトン視点)
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《下ネタ注意》
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
先に休みが取れたのは、俺の方だった。
ユーカのためを思っていたのだとしても、許されないことを言ってしまった自覚がある俺は、ユーカの言う『モフモフの刑』を甘んじて受けようと、猫姿で籠に入れられ、ララに運んでもらう。
(ユーカはきっと、俺との時間を取りたかったのだろうな)
ユーカが話した『モフモフの刑』は、普段、猫姿で撫でられているのと何ら変わりはないだろう。だから、今回の案は、傷ついたユーカを精一杯癒すためのものだと踏んでいる。
(甘えるのは苦手だが、精一杯ユーカを癒してみせよう)
そう、意気込んだ俺は知らなかった。まさか、『モフモフの刑』があんなにも苦しく、地獄に居るかのような心持ちになるものなのだとは……。
「ニャア」
「おはようございます。くーちゃん」
朝食を終えたばかりのユーカは、俺が来た瞬間、まずは挨拶をしてくれる。
「それじゃあ、まずは初級編でいきましょうか」
「ニャ?」
(初級編?)
何のことだろうかと思っている間に、俺はユーカに抱き上げられ、その膝の上へと乗せられる。途端に強く香るユーカの甘い匂いにクラクラしながら、俺はユーカに撫でられる。
(あぁ、やはり、いつものように撫でたいのだな)
優しく優しく撫でてくれるユーカに、俺は少しすり寄って甘えてみる。
「ふふっ、くーちゃん、今日は甘えん坊ですか? でも、手加減するつもりはありませんよ?」
(手加減?)
いったい、何のことだろうかと思った俺は、すぐに思い知ることとなる。確かに、ユーカは手加減していたのだと。
二時間後……。
「ニャア、ニャアァッ」
「ここが良いですか? あぁ、こっちも良さそうですね」
(何だこれはっ! き、気持ち良いっ! こ、このままでは息子が暴走するっ!)
モフモフモフと体のあちこちを触られている俺は、現在、『中級編』のモフモフを味わっていた。ただ、これはあまりにも気持ち良過ぎる。猫姿では隠せないあらぬところがすぐにでも暴走しそうな気配がある。
「じゃあ、そろそろ『上級編』、いってみましょうか」
「ニャアァァァアッ!」
(や、やめてくれぇぇえっ!)
このままでは、男として、何か大切なものを失ってしまう気がする。そうは思うのだが、ユーカは止まってくれる気配はない。むしろ、嬉々として俺を追い詰めにきている。
(ぬおぉぉぉぉぉおっ!)
もはや、煩悩軍の大暴走に、勝てる見込みなどない。しかし、変化を解くわけにもいかず、暴走は続く。
(そ、そうだっ、空間魔法っ、空間魔法で息子だけでも救出をっ!)
もはや、思考がおかしくなっているのは自覚しているが、とにかくそれをユーカの前で解き放つわけにもいかない俺は、別空間へそれだけを押しやり、結界で守る。そして……。
「ニャアァァァアンッ!」
男としての何かを、その瞬間、失った気がした……。
それからも、何か用事がない限り、延々とモフモフされ続けた俺は、解放された頃にはまともに歩くことすらできず、いつの間にか意識を失い、目が覚めると朝になっていた……。
ジークフリートが先に『モフモフの刑』を受けたらしいけど、なぜか、ジークフリートはその時、何があったのかを語らない。きっと、ユーカと散々イチャイチャしたのだろうと嫉妬したものの、今日はようやく丸一日の休みを獲得できた。今日こそは、ユーカの『モフモフの刑』という名の、僕にとってのご褒美に付き合うことができるのだ。
(これが終わったら、プロポーズの日にちをジークと話し合わないとなぁ)
『モフモフの刑』が終わって解放された後、夜にでも、ジークフリートと話し合おうと考えているうちに、籠に入れられていた僕はユーカの部屋へと辿り着く。
「ニャッ」
「おはようございます。あーちゃん」
今日の目的は、ユーカにたっぷり甘えて、今度こそユーカを一人にしないと伝えることだ。だから、僕はすぐにスルリとユーカの足にじゃれつく。
「ふふふっ、あーちゃん。今日は、頑張ってくださいね?」
「ニャ?」
(頑張る?)
僕が、その言葉の意味を知ったのは、わりとすぐのことだった。
最初から『中級編』と言ったユーカは、『モフモフの刑』という名の通り、僕をモフモフしだした。初めは良かった。僕も余裕があって、ユーカにじゃれつくくらいのことができていたのだから。
それが出来なくなったのは、『中級編』で三十分ほど経った頃だったろうか。
「ニャアンッ」
(どう、して……これ、気持ち、良いっ)
マッサージ的なものだったはずが、なぜか性的な興奮へと変換されて、僕は自分の暴れ馬をどうにかユーカに見せないように必死だった。
「ニャ……」
(ユーカ、もう、やめて……)
瞳を潤ませてユーカを見つめると、次の瞬間、残酷な宣言がなされる。
「じゃあ、『上級編』に入りますね」
そこから先は、ほとんど頭の中が真っ白になっていて、あまり覚えていない。ただ、分かっていることは、どうにか空間を曲げて、僕の暴れ馬の暴走を隠したことと、僕の中の大切な何かが脆くも崩れ去ったことだろうか……。
「ニャアァァァアンッ!」
「それにしても、日本で野良猫にやった時も思いましたが、よっぽど気持ち良いんでしょうね。もう、痙攣してますし」
僕は誓った。二度と、二度と、このお仕置きをされることがないように、約束は必ず守ろうと。
いつの間にか意識を失っていた僕は、目が覚めると客室のベッドの上で、とにかく魂に今日の出来事を刻むのだった。
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先に休みが取れたのは、俺の方だった。
ユーカのためを思っていたのだとしても、許されないことを言ってしまった自覚がある俺は、ユーカの言う『モフモフの刑』を甘んじて受けようと、猫姿で籠に入れられ、ララに運んでもらう。
(ユーカはきっと、俺との時間を取りたかったのだろうな)
ユーカが話した『モフモフの刑』は、普段、猫姿で撫でられているのと何ら変わりはないだろう。だから、今回の案は、傷ついたユーカを精一杯癒すためのものだと踏んでいる。
(甘えるのは苦手だが、精一杯ユーカを癒してみせよう)
そう、意気込んだ俺は知らなかった。まさか、『モフモフの刑』があんなにも苦しく、地獄に居るかのような心持ちになるものなのだとは……。
「ニャア」
「おはようございます。くーちゃん」
朝食を終えたばかりのユーカは、俺が来た瞬間、まずは挨拶をしてくれる。
「それじゃあ、まずは初級編でいきましょうか」
「ニャ?」
(初級編?)
何のことだろうかと思っている間に、俺はユーカに抱き上げられ、その膝の上へと乗せられる。途端に強く香るユーカの甘い匂いにクラクラしながら、俺はユーカに撫でられる。
(あぁ、やはり、いつものように撫でたいのだな)
優しく優しく撫でてくれるユーカに、俺は少しすり寄って甘えてみる。
「ふふっ、くーちゃん、今日は甘えん坊ですか? でも、手加減するつもりはありませんよ?」
(手加減?)
いったい、何のことだろうかと思った俺は、すぐに思い知ることとなる。確かに、ユーカは手加減していたのだと。
二時間後……。
「ニャア、ニャアァッ」
「ここが良いですか? あぁ、こっちも良さそうですね」
(何だこれはっ! き、気持ち良いっ! こ、このままでは息子が暴走するっ!)
モフモフモフと体のあちこちを触られている俺は、現在、『中級編』のモフモフを味わっていた。ただ、これはあまりにも気持ち良過ぎる。猫姿では隠せないあらぬところがすぐにでも暴走しそうな気配がある。
「じゃあ、そろそろ『上級編』、いってみましょうか」
「ニャアァァァアッ!」
(や、やめてくれぇぇえっ!)
このままでは、男として、何か大切なものを失ってしまう気がする。そうは思うのだが、ユーカは止まってくれる気配はない。むしろ、嬉々として俺を追い詰めにきている。
(ぬおぉぉぉぉぉおっ!)
もはや、煩悩軍の大暴走に、勝てる見込みなどない。しかし、変化を解くわけにもいかず、暴走は続く。
(そ、そうだっ、空間魔法っ、空間魔法で息子だけでも救出をっ!)
もはや、思考がおかしくなっているのは自覚しているが、とにかくそれをユーカの前で解き放つわけにもいかない俺は、別空間へそれだけを押しやり、結界で守る。そして……。
「ニャアァァァアンッ!」
男としての何かを、その瞬間、失った気がした……。
それからも、何か用事がない限り、延々とモフモフされ続けた俺は、解放された頃にはまともに歩くことすらできず、いつの間にか意識を失い、目が覚めると朝になっていた……。
ジークフリートが先に『モフモフの刑』を受けたらしいけど、なぜか、ジークフリートはその時、何があったのかを語らない。きっと、ユーカと散々イチャイチャしたのだろうと嫉妬したものの、今日はようやく丸一日の休みを獲得できた。今日こそは、ユーカの『モフモフの刑』という名の、僕にとってのご褒美に付き合うことができるのだ。
(これが終わったら、プロポーズの日にちをジークと話し合わないとなぁ)
『モフモフの刑』が終わって解放された後、夜にでも、ジークフリートと話し合おうと考えているうちに、籠に入れられていた僕はユーカの部屋へと辿り着く。
「ニャッ」
「おはようございます。あーちゃん」
今日の目的は、ユーカにたっぷり甘えて、今度こそユーカを一人にしないと伝えることだ。だから、僕はすぐにスルリとユーカの足にじゃれつく。
「ふふふっ、あーちゃん。今日は、頑張ってくださいね?」
「ニャ?」
(頑張る?)
僕が、その言葉の意味を知ったのは、わりとすぐのことだった。
最初から『中級編』と言ったユーカは、『モフモフの刑』という名の通り、僕をモフモフしだした。初めは良かった。僕も余裕があって、ユーカにじゃれつくくらいのことができていたのだから。
それが出来なくなったのは、『中級編』で三十分ほど経った頃だったろうか。
「ニャアンッ」
(どう、して……これ、気持ち、良いっ)
マッサージ的なものだったはずが、なぜか性的な興奮へと変換されて、僕は自分の暴れ馬をどうにかユーカに見せないように必死だった。
「ニャ……」
(ユーカ、もう、やめて……)
瞳を潤ませてユーカを見つめると、次の瞬間、残酷な宣言がなされる。
「じゃあ、『上級編』に入りますね」
そこから先は、ほとんど頭の中が真っ白になっていて、あまり覚えていない。ただ、分かっていることは、どうにか空間を曲げて、僕の暴れ馬の暴走を隠したことと、僕の中の大切な何かが脆くも崩れ去ったことだろうか……。
「ニャアァァァアンッ!」
「それにしても、日本で野良猫にやった時も思いましたが、よっぽど気持ち良いんでしょうね。もう、痙攣してますし」
僕は誓った。二度と、二度と、このお仕置きをされることがないように、約束は必ず守ろうと。
いつの間にか意識を失っていた僕は、目が覚めると客室のベッドの上で、とにかく魂に今日の出来事を刻むのだった。
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