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第五章 戻った日常?
第八十七話 魔力過多症の解決策(ジークフリート視点)
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ぐっすりと眠るユーカを前に、俺はひとまず、専属侍女達に仕事の書類と、机、便箋、魔力過多症について書かれた書物を用意するように告げる。とにかく、一秒でもユーカには悪夢で苦しんでほしくない。だから、ユーカの側で全ての用事をすませるつもりだった。
「机と書類をお持ちしましたっ」
「あぁ、それはこちらに置いてくれ」
リリとメアリーが、机をユーカが眠るベッドの側に配置し、その上に書類を重ねていく。
「残りの書類と、便箋もすぐにお持ちいたしますね」
「あぁ、頼む」
ユーカが眠るベッドの端に腰掛けながら、俺は書類を読み込み、判を押していく。
「残りの書類と、便箋をお持ちしました」
しばらくすれば、またメアリーとリリが書類と便箋を抱えてやってくる。
「あぁ、ならば、便箋をこちらに」
書類に修正を入れていた俺は、先に便箋の方へと手を伸ばす。宛先はもちろん、ハミルトンだ。
「ふむ、隠しだてする必要はないか」
ユーカの体調については、ハミルトンとともに話し合う必要が出てくるため、早めに報告しておいた方が良いだろう。もしかしたら、そのせいで多少仕事が手につかなくなるかもしれないが、そこのところは踏ん張ってもらおう。
ユーカの状態と、今のところは心配はいらないということをしたためると、一人、待機していたリリに手紙を出すよう告げる。
「分かりましたっ。クルッポー速達ですねっ」
「あぁ、それで頼む」
クルッポーという名の魔鳥に手紙を託せば、遅くとも今日の夜にはハミルトンの元に届くはずだ。
「あぁ、そうだった。後、今日のレティシアとの面会は延期ということを伝えなければならないな。ロイドを呼んで来てくれ。使者をたてる」
今日のユーカの様子では、ちゃんと会うことはできないだろう。精霊王の娘であるレティシアに何度も面会の延期を告げるのは気が引けたが、前回も今回もどうしようもない。
そうして、使者をたて、書類仕事に勤しんでいると、ようやく、十冊もの本を抱えたララがやってくる。
「魔力過多症に関する記述がある部分に、栞を挟んでおりますので」
「あぁ、分かった。では、今はとりあえず下がって良いぞ」
「「御意」」
用事を言いつけられても良いように待機していたリリと、本を持ってきたララにそう告げれば、二人とも退出していく。
残ったのは、俺とユーカの二人だけだった。
(……今さらだが、二人っきり、だな……)
仕事を終え、本を手に取ろうとした俺は、ふいにそんなことを意識してしまう。
(いやいや、ユーカは眠っているのだ。邪な考えなど、持ってはいけないっ)
即座に湧き出そうになった煩悩達を追い払うと、俺は本を読み進めていく。
(魔力の相性の良い者は、家族か片翼同士……魔力の多い人間が良く発症するが、魔族でも起こりうる、か……なるほど、睡眠で魔力回復が起こることと、魔力のコントロールが甘くなることが原因か……対処法は……添い寝しかない、と。後、限界まで魔力を使い、気絶すると、症状を悪化させるのか……)
そうして、いくつか書物を読み漁るものの、片翼同士ならば、添い寝が一番ということくらいしか、今のところユーカに試せる方法がないことに気づく。どうやら、薬も、治癒魔法も効かない症状らしい。
「俺が、ユーカと添い寝……」
仕事に没頭することで、考えないようにしていたことでも考えざるを得ない。
後ろを振り向けば、穏やかに眠るユーカがそこに居る。その無防備な表情は、とてもあどけなく、いとおしかった。
「ユーカ……」
「……ん……」
頬に落ちている、さらりとした黒髪を梳くと、ユーカはむずがるように身を縮ませる。
…………煩悩軍が、大反乱を起こしたのを、俺は懸命に蹴散らしていく。
「ぅん……ん……? あれ、私、いつの間に寝て……って、きゃあっ!」
ようやく、煩悩軍の大半を抑え込んだところで、長く眠っていたユーカが目を覚ます。
「ユーカ」
「ジジジジ、ジークさんっ!?」
青くなって、赤くなったユーカの表情に、俺は、最近避けられていたことを思い出しながらも、どうにか会話を試みる。
「ユーカは、リリ達との会話の途中で倒れたんだ。覚えているか?」
涙目にまでなって、どうにか俺から逃れようとしていたユーカは、その質問に動きを止めて、うなずく。
「すみません……ご迷惑をおかけして……」
「迷惑などではない。ユーカが無事なら、それで良いんだ。本当に、無事で良かった」
そうして、ついつい無意識にユーカの頭を撫でると、ユーカはこれでもかというくらいに顔を赤くする。
「えっと、あの、そのっ」
「それでだ。医師に診断してもらったところ、ユーカは魔力過多症というものだということが判明した」
ポフンッと爆発してしまったユーカに、やり過ぎたことを反省し、渋々手を下ろした俺は、話せることは全て話すつもりで言葉を続ける。
「ただ、これの対処法が……もしかしたら、ユーカの意向に反するかもしれないんだ」
『もしかしたら』なんて言葉は使っているものの、答えは分かりきっている。ユーカは、確実に反対する。そうなった時、俺はどうすれば良いのかという答えをまだ持てていなかった。
「対処法、ですか?」
頭を撫でるのを止めたおかげか、少しは落ち着きを取り戻した様子のユーカは、訝しげに尋ね、すぐに、俺の手元にある本に気づく。
「それに書いてあったりしますか?」
「あ、あぁ。そうだな。読んで確かめた方が良いかもしれない」
そんなのは、ただの逃げだ。ユーカに直接、添い寝が対処法だと言えないがための逃げ。ただ、それでも、本が手元にあったことを俺は感謝する。
そうして、俺から本を渡されたユーカは、魔力過多症の記述を読み進め…………固まった。
「あ……の……何か、添い寝がどうのって、書いてあるんです、けれど……?」
真っ赤な顔で、否定してほしいという願いを込めた様子のユーカに、俺は観念して告げる。
「その通り、らしい。今まで、ユーカが悪夢を見なかったのは、おそらく、そういうことだ」
パクパクと二の句が次げない様子のユーカ。俺は、断られることを、嫌われることを覚悟して、ユーカに提案する。
「俺やハミルは、ユーカのためならいくらでも添い寝しようと思っている。俺達は、ユーカに一秒でもつらい思いをしてほしくない。だから、ユーカ。俺達を縛ってでも良いから、夜、眠る時に側に置いてはくれないか?」
ハミルトンの意思を聞いたわけではないが、間違ってはいないはずだ。
長い、長い沈黙が下りる。頭を下げたまま、ユーカの表情が伺えない俺は、次にどんな言葉が降ってくるのかを何度も予想し、悲観的な気分になる。そして……。
「分かり、ました……」
「……ユーカ?」
ようやく聞こえたユーカの声に、頭を上げると、ユーカは赤い顔のまま、何かを覚悟したような表情だった。
「でも、条件があります」
「あ、あぁ」
どういう方向に話が進むのか分からずにいると、ユーカは少し躊躇った後に、早口で告げる。
「添い寝は、くーちゃんとあーちゃん姿で。しゃべるのは一切なし。目の前での変化をなしでお願いしますっ」
「そ、れは……もしかして……?」
「そこまでが、私にできる妥協点ですっ」
完全に目を逸らしながら告げられた言葉に、理解が追い付かない。しかし、徐々にその言葉の意味を理解した俺は、ユーカを抱き締めたい衝動を必死に抑えてうなずく。
「あぁっ、約束しようっ!」
どうやら、魔力過多症の対処は、しっかりとできるようだった。
「机と書類をお持ちしましたっ」
「あぁ、それはこちらに置いてくれ」
リリとメアリーが、机をユーカが眠るベッドの側に配置し、その上に書類を重ねていく。
「残りの書類と、便箋もすぐにお持ちいたしますね」
「あぁ、頼む」
ユーカが眠るベッドの端に腰掛けながら、俺は書類を読み込み、判を押していく。
「残りの書類と、便箋をお持ちしました」
しばらくすれば、またメアリーとリリが書類と便箋を抱えてやってくる。
「あぁ、ならば、便箋をこちらに」
書類に修正を入れていた俺は、先に便箋の方へと手を伸ばす。宛先はもちろん、ハミルトンだ。
「ふむ、隠しだてする必要はないか」
ユーカの体調については、ハミルトンとともに話し合う必要が出てくるため、早めに報告しておいた方が良いだろう。もしかしたら、そのせいで多少仕事が手につかなくなるかもしれないが、そこのところは踏ん張ってもらおう。
ユーカの状態と、今のところは心配はいらないということをしたためると、一人、待機していたリリに手紙を出すよう告げる。
「分かりましたっ。クルッポー速達ですねっ」
「あぁ、それで頼む」
クルッポーという名の魔鳥に手紙を託せば、遅くとも今日の夜にはハミルトンの元に届くはずだ。
「あぁ、そうだった。後、今日のレティシアとの面会は延期ということを伝えなければならないな。ロイドを呼んで来てくれ。使者をたてる」
今日のユーカの様子では、ちゃんと会うことはできないだろう。精霊王の娘であるレティシアに何度も面会の延期を告げるのは気が引けたが、前回も今回もどうしようもない。
そうして、使者をたて、書類仕事に勤しんでいると、ようやく、十冊もの本を抱えたララがやってくる。
「魔力過多症に関する記述がある部分に、栞を挟んでおりますので」
「あぁ、分かった。では、今はとりあえず下がって良いぞ」
「「御意」」
用事を言いつけられても良いように待機していたリリと、本を持ってきたララにそう告げれば、二人とも退出していく。
残ったのは、俺とユーカの二人だけだった。
(……今さらだが、二人っきり、だな……)
仕事を終え、本を手に取ろうとした俺は、ふいにそんなことを意識してしまう。
(いやいや、ユーカは眠っているのだ。邪な考えなど、持ってはいけないっ)
即座に湧き出そうになった煩悩達を追い払うと、俺は本を読み進めていく。
(魔力の相性の良い者は、家族か片翼同士……魔力の多い人間が良く発症するが、魔族でも起こりうる、か……なるほど、睡眠で魔力回復が起こることと、魔力のコントロールが甘くなることが原因か……対処法は……添い寝しかない、と。後、限界まで魔力を使い、気絶すると、症状を悪化させるのか……)
そうして、いくつか書物を読み漁るものの、片翼同士ならば、添い寝が一番ということくらいしか、今のところユーカに試せる方法がないことに気づく。どうやら、薬も、治癒魔法も効かない症状らしい。
「俺が、ユーカと添い寝……」
仕事に没頭することで、考えないようにしていたことでも考えざるを得ない。
後ろを振り向けば、穏やかに眠るユーカがそこに居る。その無防備な表情は、とてもあどけなく、いとおしかった。
「ユーカ……」
「……ん……」
頬に落ちている、さらりとした黒髪を梳くと、ユーカはむずがるように身を縮ませる。
…………煩悩軍が、大反乱を起こしたのを、俺は懸命に蹴散らしていく。
「ぅん……ん……? あれ、私、いつの間に寝て……って、きゃあっ!」
ようやく、煩悩軍の大半を抑え込んだところで、長く眠っていたユーカが目を覚ます。
「ユーカ」
「ジジジジ、ジークさんっ!?」
青くなって、赤くなったユーカの表情に、俺は、最近避けられていたことを思い出しながらも、どうにか会話を試みる。
「ユーカは、リリ達との会話の途中で倒れたんだ。覚えているか?」
涙目にまでなって、どうにか俺から逃れようとしていたユーカは、その質問に動きを止めて、うなずく。
「すみません……ご迷惑をおかけして……」
「迷惑などではない。ユーカが無事なら、それで良いんだ。本当に、無事で良かった」
そうして、ついつい無意識にユーカの頭を撫でると、ユーカはこれでもかというくらいに顔を赤くする。
「えっと、あの、そのっ」
「それでだ。医師に診断してもらったところ、ユーカは魔力過多症というものだということが判明した」
ポフンッと爆発してしまったユーカに、やり過ぎたことを反省し、渋々手を下ろした俺は、話せることは全て話すつもりで言葉を続ける。
「ただ、これの対処法が……もしかしたら、ユーカの意向に反するかもしれないんだ」
『もしかしたら』なんて言葉は使っているものの、答えは分かりきっている。ユーカは、確実に反対する。そうなった時、俺はどうすれば良いのかという答えをまだ持てていなかった。
「対処法、ですか?」
頭を撫でるのを止めたおかげか、少しは落ち着きを取り戻した様子のユーカは、訝しげに尋ね、すぐに、俺の手元にある本に気づく。
「それに書いてあったりしますか?」
「あ、あぁ。そうだな。読んで確かめた方が良いかもしれない」
そんなのは、ただの逃げだ。ユーカに直接、添い寝が対処法だと言えないがための逃げ。ただ、それでも、本が手元にあったことを俺は感謝する。
そうして、俺から本を渡されたユーカは、魔力過多症の記述を読み進め…………固まった。
「あ……の……何か、添い寝がどうのって、書いてあるんです、けれど……?」
真っ赤な顔で、否定してほしいという願いを込めた様子のユーカに、俺は観念して告げる。
「その通り、らしい。今まで、ユーカが悪夢を見なかったのは、おそらく、そういうことだ」
パクパクと二の句が次げない様子のユーカ。俺は、断られることを、嫌われることを覚悟して、ユーカに提案する。
「俺やハミルは、ユーカのためならいくらでも添い寝しようと思っている。俺達は、ユーカに一秒でもつらい思いをしてほしくない。だから、ユーカ。俺達を縛ってでも良いから、夜、眠る時に側に置いてはくれないか?」
ハミルトンの意思を聞いたわけではないが、間違ってはいないはずだ。
長い、長い沈黙が下りる。頭を下げたまま、ユーカの表情が伺えない俺は、次にどんな言葉が降ってくるのかを何度も予想し、悲観的な気分になる。そして……。
「分かり、ました……」
「……ユーカ?」
ようやく聞こえたユーカの声に、頭を上げると、ユーカは赤い顔のまま、何かを覚悟したような表情だった。
「でも、条件があります」
「あ、あぁ」
どういう方向に話が進むのか分からずにいると、ユーカは少し躊躇った後に、早口で告げる。
「添い寝は、くーちゃんとあーちゃん姿で。しゃべるのは一切なし。目の前での変化をなしでお願いしますっ」
「そ、れは……もしかして……?」
「そこまでが、私にできる妥協点ですっ」
完全に目を逸らしながら告げられた言葉に、理解が追い付かない。しかし、徐々にその言葉の意味を理解した俺は、ユーカを抱き締めたい衝動を必死に抑えてうなずく。
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