45 / 173
第二章 訪問者
第四十三話 衝撃の事実(メアリー視点)
しおりを挟む
「(アマーリエさんはどうなったの?)」
「アマーリエ様なら、ご自身の国に帰られて、罰として自室に謹慎することとなりましたよ」
リドル様とご一緒にユーカお嬢様を連れて図書室へと向かう途中、ユーカお嬢様は自身に危害を加えかけたアマーリエ様について尋ねてきました。どうやら、ユーカお嬢様はことの重大性を理解しておられないらしく、『罰なんて必要ないのに』とおっしゃっていましたが、そこはリドル様が詳しく説明してくださいました。
魔王の片翼を傷つけようとした時点で、処刑されてもおかしくなかったのだと。
「(処刑!? ダメだよっ! そんなのっ!)」
「今回は、ユーカお嬢様を傷つける意思がなかったことと、ハミルトン様の妹君という立場もあって、自室への謹慎処分となっております。まぁ、その処分に反論する者もございますが……」
ただ、その処分に反対するものは、良からぬことを企んでいることがほぼ確実な者達ばかりなので、その意見が通ることはございません。ユーカお嬢様の望み通り、軽い罰のままですみそうではございました。
「(……アマーリエさんが無事なら、それで良いよ)」
結局のところ、そう妥協したユーカお嬢様は、すぐに図書室が目の前にあることに気づき、顔を上げます。
「(……よしっ)」
小さく握り拳を作って気合いを入れるユーカお嬢様は、大変可愛らしいご様子でした。そして、早速、急ぎ足で図書室内を散策されたユーカお嬢様でしたが……しばらくすると、ほしい本が見当たらないのか、肩を落として帰ってこられました。
「ユーカちゃん、どんな本がほしいのか言ってくれれば、一緒に探すわよ?」
止める間もなく散策に向かってしまったユーカお嬢様。わたくしもリドル様も、微笑ましいとばかりにしばらく観察しておりましたが、何か目的があったのであれば、わたくし達の出番です。
「(えっと、片翼に関する本が読みたいなって……)」
そうおっしゃったユーカお嬢様は、上目遣いで、大変可愛らしいご様子。そして、もしかすると、そのお言葉は、ご主人様を売り込むチャンスをもらったということなのかもしれないと、俄然張り切ります。
「分かりましたっ。わたくしが必ずや、見つけて参りますね」
恋愛小説を片っ端からユーカお嬢様に見せるつもりで、わたくし、すぐに本棚へと急ぎます。
(今度から、恋愛小説は下の段に移動しておきましょう。えぇ、もし、ご主人様が反対されても、押し通してみせましょうっ)
ユーカお嬢様が片翼に関する本を見つけられなかったのも無理はございません。あまりに片翼に拒絶され続けたご主人様は、恋愛小説を見たくもないとばかりに、全て上の段に移動させてしまったのですから、背丈の小さなユーカお嬢様ではタイトルを見ることもできなかったはずです。
わたくしは、軽くジャンプして天井まで伸びている梯子のほぼ天井近くの場所に足をかけると、高い位置にあるそれらの本を次々に引き抜いては片手で抱えます。そしてそれなりに集まると、そのまま飛び降りました。
「メアリー、あんた……それは不味いんじゃないの?」
しかし、そこで、リドル様の声にハッと我に返ったわたくしは、人間にあるまじき身体能力を披露してしまったことに気づいてしまいました。
(あ、あぁぁぁあっ、ど、どうしましょうっ? せっかく、ユーカお嬢様には人間に見せかけることでご安心していただいていたのにっ。これでは、魔族であることがバレてしまいますっ)
角が短くてほとんど見えないからこそ、人間のように振る舞うことで、片翼の方々の警戒心を取り払っていたわたくしは、調子に乗って普段ならあり得ない失敗をしてしまったことに大いに慌てました。これで、今まで積み重ねてきた信頼が、一気に崩れてしまうと思うと、心がヒヤリと冷水を浴びせかけられたようになります。
本を持ったまま固まり、背後に居るユーカお嬢様の方を振り向けないでいると、ふいに、トンッと軽い衝撃とともに、背後から小さな温もりが伝わって参りました。
「ユーカちゃん!?」
リドル様のお言葉を聞くまでもなく、背後に居る人物がユーカお嬢様であることは分かっておりましたが、なぜ、抱きつかれているのかが全く理解できません。
「ユーカ、お嬢様?」
読唇術を使わなければ、ユーカお嬢様のお言葉を知ることもできない。そう思って覚悟を決めて振り返ると……なぜか、ユーカお嬢様の目はとてもキラキラと輝いておりました。
「(すごいっ、すごいっ! サーカスみたいだった! 実際には見たことないけれどっ)」
「え、えぇ……そ、う、でしたか?」
「(うんっ! あっ、でも、足が痛かったりしない? 魔法とか使ってたの?)」
なぜかはしゃいでいる様子のユーカお嬢様に、どうやら魔族だとはバレていないらしいと気づき、ホッとしながら話を合わせることと致します。
「足は痛くはございませんよ。ちょっとした魔法です」
まだ魔法を習っていないユーカお嬢様ならば、この答えで満足してくれる可能性が高いという打算の下、使ってもいない魔法をあのジャンプ力の原因として挙げます。すると、ユーカお嬢様の背後にいらっしゃったリドル様も状況を認識してくださったらしく、話を合わせてきます。
「あれは、風魔法で体を浮かせているのよ。慣れてきたら、そこそこの速度で、本当にジャンプだけで移動しているように見せられるものなのよ」
サラリと吐かれた嘘を、ユーカお嬢様は純粋に信じた様子で、また『すごいすごい』と称賛してくださいます。
(……ユーカお嬢様が褒めてくださるなら、これでも良いですね)
嘘を吐いている罪悪感はあれど、魔族だとバレるよりはよっぽどかマシだと、わたくし、そのまま笑いかけて、次の瞬間、固まることとなりました。
「(私はてっきり、メアリーは魔族だから身体能力が人間とは違うのかと思ってたよ)」
(……えっ?)
とってもナチュラルに、魔族だとバレていることを告げられて、私はすぐに言葉が出てきません。
「(ララとリリ以外は皆魔族みたいだけれど……身体能力に違いはないのかなぁ?)」
ついでに、リドル様も魔族だとバレているらしいことに、わたくし、驚きを隠せません。
「メアリー? どうしたの?」
リドル様が固まったわたくしを見て不審げな目を向けてきましたが、今は、それどころではございません。
「ユーカお嬢様? いつから、わたくしやリドル様が魔族だとお気づきになっていたのですか?」
「ちょっと!?」
「(?? だって、皆ことあるごとにしゃがんで目線を合わせてくるから、割りと最初から角があるのは気づいてたよ?)」
そうおっしゃったユーカお嬢様に、わたくし、少々放心してしまいました。まさか、そんなことで小さな角を見つけられてしまっていたとは、思いもしませんでした。
「メアリー? ユーカちゃんは何て?」
そうして、リドル様にもその事実をお伝えすると、わたくしと同じように放心なさって……すぐに正気を取り戻します。
「じゃあ、本気でユーカちゃんは魔族に忌避感がないってことじゃないっ!?」
「はっ、確かに、そうですねっ」
そんな衝撃の事実に雷で打たれたかのような感覚に陥っていると、わたくしに抱きついていたユーカお嬢様が、いつの間にかわたくしの手の上にある本を覗き込んでいました。
「(えっと、メアリー? 私、実用書みたいなのもほしいんだけれど……)」
「はっ、承知致しましたっ! すぐに取って参りますね?」
そう言いながら、わたくしは、魔族に忌避感を持たないというユーカお嬢様のことがとっても気に入りました。今までは、魔族と分かった途端、手のひらを返したように拒絶する方達ばかりでしたが、今回は違います。その事実に、わたくしは大きな期待を抱いて、本を選別するのでした。
「アマーリエ様なら、ご自身の国に帰られて、罰として自室に謹慎することとなりましたよ」
リドル様とご一緒にユーカお嬢様を連れて図書室へと向かう途中、ユーカお嬢様は自身に危害を加えかけたアマーリエ様について尋ねてきました。どうやら、ユーカお嬢様はことの重大性を理解しておられないらしく、『罰なんて必要ないのに』とおっしゃっていましたが、そこはリドル様が詳しく説明してくださいました。
魔王の片翼を傷つけようとした時点で、処刑されてもおかしくなかったのだと。
「(処刑!? ダメだよっ! そんなのっ!)」
「今回は、ユーカお嬢様を傷つける意思がなかったことと、ハミルトン様の妹君という立場もあって、自室への謹慎処分となっております。まぁ、その処分に反論する者もございますが……」
ただ、その処分に反対するものは、良からぬことを企んでいることがほぼ確実な者達ばかりなので、その意見が通ることはございません。ユーカお嬢様の望み通り、軽い罰のままですみそうではございました。
「(……アマーリエさんが無事なら、それで良いよ)」
結局のところ、そう妥協したユーカお嬢様は、すぐに図書室が目の前にあることに気づき、顔を上げます。
「(……よしっ)」
小さく握り拳を作って気合いを入れるユーカお嬢様は、大変可愛らしいご様子でした。そして、早速、急ぎ足で図書室内を散策されたユーカお嬢様でしたが……しばらくすると、ほしい本が見当たらないのか、肩を落として帰ってこられました。
「ユーカちゃん、どんな本がほしいのか言ってくれれば、一緒に探すわよ?」
止める間もなく散策に向かってしまったユーカお嬢様。わたくしもリドル様も、微笑ましいとばかりにしばらく観察しておりましたが、何か目的があったのであれば、わたくし達の出番です。
「(えっと、片翼に関する本が読みたいなって……)」
そうおっしゃったユーカお嬢様は、上目遣いで、大変可愛らしいご様子。そして、もしかすると、そのお言葉は、ご主人様を売り込むチャンスをもらったということなのかもしれないと、俄然張り切ります。
「分かりましたっ。わたくしが必ずや、見つけて参りますね」
恋愛小説を片っ端からユーカお嬢様に見せるつもりで、わたくし、すぐに本棚へと急ぎます。
(今度から、恋愛小説は下の段に移動しておきましょう。えぇ、もし、ご主人様が反対されても、押し通してみせましょうっ)
ユーカお嬢様が片翼に関する本を見つけられなかったのも無理はございません。あまりに片翼に拒絶され続けたご主人様は、恋愛小説を見たくもないとばかりに、全て上の段に移動させてしまったのですから、背丈の小さなユーカお嬢様ではタイトルを見ることもできなかったはずです。
わたくしは、軽くジャンプして天井まで伸びている梯子のほぼ天井近くの場所に足をかけると、高い位置にあるそれらの本を次々に引き抜いては片手で抱えます。そしてそれなりに集まると、そのまま飛び降りました。
「メアリー、あんた……それは不味いんじゃないの?」
しかし、そこで、リドル様の声にハッと我に返ったわたくしは、人間にあるまじき身体能力を披露してしまったことに気づいてしまいました。
(あ、あぁぁぁあっ、ど、どうしましょうっ? せっかく、ユーカお嬢様には人間に見せかけることでご安心していただいていたのにっ。これでは、魔族であることがバレてしまいますっ)
角が短くてほとんど見えないからこそ、人間のように振る舞うことで、片翼の方々の警戒心を取り払っていたわたくしは、調子に乗って普段ならあり得ない失敗をしてしまったことに大いに慌てました。これで、今まで積み重ねてきた信頼が、一気に崩れてしまうと思うと、心がヒヤリと冷水を浴びせかけられたようになります。
本を持ったまま固まり、背後に居るユーカお嬢様の方を振り向けないでいると、ふいに、トンッと軽い衝撃とともに、背後から小さな温もりが伝わって参りました。
「ユーカちゃん!?」
リドル様のお言葉を聞くまでもなく、背後に居る人物がユーカお嬢様であることは分かっておりましたが、なぜ、抱きつかれているのかが全く理解できません。
「ユーカ、お嬢様?」
読唇術を使わなければ、ユーカお嬢様のお言葉を知ることもできない。そう思って覚悟を決めて振り返ると……なぜか、ユーカお嬢様の目はとてもキラキラと輝いておりました。
「(すごいっ、すごいっ! サーカスみたいだった! 実際には見たことないけれどっ)」
「え、えぇ……そ、う、でしたか?」
「(うんっ! あっ、でも、足が痛かったりしない? 魔法とか使ってたの?)」
なぜかはしゃいでいる様子のユーカお嬢様に、どうやら魔族だとはバレていないらしいと気づき、ホッとしながら話を合わせることと致します。
「足は痛くはございませんよ。ちょっとした魔法です」
まだ魔法を習っていないユーカお嬢様ならば、この答えで満足してくれる可能性が高いという打算の下、使ってもいない魔法をあのジャンプ力の原因として挙げます。すると、ユーカお嬢様の背後にいらっしゃったリドル様も状況を認識してくださったらしく、話を合わせてきます。
「あれは、風魔法で体を浮かせているのよ。慣れてきたら、そこそこの速度で、本当にジャンプだけで移動しているように見せられるものなのよ」
サラリと吐かれた嘘を、ユーカお嬢様は純粋に信じた様子で、また『すごいすごい』と称賛してくださいます。
(……ユーカお嬢様が褒めてくださるなら、これでも良いですね)
嘘を吐いている罪悪感はあれど、魔族だとバレるよりはよっぽどかマシだと、わたくし、そのまま笑いかけて、次の瞬間、固まることとなりました。
「(私はてっきり、メアリーは魔族だから身体能力が人間とは違うのかと思ってたよ)」
(……えっ?)
とってもナチュラルに、魔族だとバレていることを告げられて、私はすぐに言葉が出てきません。
「(ララとリリ以外は皆魔族みたいだけれど……身体能力に違いはないのかなぁ?)」
ついでに、リドル様も魔族だとバレているらしいことに、わたくし、驚きを隠せません。
「メアリー? どうしたの?」
リドル様が固まったわたくしを見て不審げな目を向けてきましたが、今は、それどころではございません。
「ユーカお嬢様? いつから、わたくしやリドル様が魔族だとお気づきになっていたのですか?」
「ちょっと!?」
「(?? だって、皆ことあるごとにしゃがんで目線を合わせてくるから、割りと最初から角があるのは気づいてたよ?)」
そうおっしゃったユーカお嬢様に、わたくし、少々放心してしまいました。まさか、そんなことで小さな角を見つけられてしまっていたとは、思いもしませんでした。
「メアリー? ユーカちゃんは何て?」
そうして、リドル様にもその事実をお伝えすると、わたくしと同じように放心なさって……すぐに正気を取り戻します。
「じゃあ、本気でユーカちゃんは魔族に忌避感がないってことじゃないっ!?」
「はっ、確かに、そうですねっ」
そんな衝撃の事実に雷で打たれたかのような感覚に陥っていると、わたくしに抱きついていたユーカお嬢様が、いつの間にかわたくしの手の上にある本を覗き込んでいました。
「(えっと、メアリー? 私、実用書みたいなのもほしいんだけれど……)」
「はっ、承知致しましたっ! すぐに取って参りますね?」
そう言いながら、わたくしは、魔族に忌避感を持たないというユーカお嬢様のことがとっても気に入りました。今までは、魔族と分かった途端、手のひらを返したように拒絶する方達ばかりでしたが、今回は違います。その事実に、わたくしは大きな期待を抱いて、本を選別するのでした。
83
お気に入り登録や感想を、ありがとうございます。これを励みに楽しく更新していきますね。
お気に入りに追加
8,219
あなたにおすすめの小説

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。


おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23

転生先は男女比50:1の世界!?
4036(シクミロ)
恋愛
男女比50:1の世界に転生した少女。
「まさか、男女比がおかしな世界とは・・・」
デブで自己中心的な女性が多い世界で、ひとり異質な少女は・・
どうなる!?学園生活!!

私、確かおばさんだったはずなんですが
花野はる
恋愛
不憫系男子をこよなく愛するヒロインの恋愛ストーリーです。
私は確か、日本人のおばさんだったはずなんですが、気がついたら西洋風異世界の貴族令嬢になっていました。
せっかく美しく若返ったのだから、人生勝ち組で楽しんでしまいましょう。
そう思っていたのですが、自分らしき令嬢の日記を見ると、クラスメイトの男の子をいじめていた事が分かって……。
正義感強いおばさんなめんな!
その男の子に謝って、きっとお友達になってみせましょう!
画像はフリー素材のとくだ屋さんからお借りしました。

異世界に行った、そのあとで。
神宮寺 あおい
恋愛
新海なつめ三十五歳。
ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。
当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。
おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。
いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。
『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』
そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。
そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!
目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
楠ノ木雫
恋愛
病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。
病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。
元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!
でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?
※他の投稿サイトにも掲載しています。

転生した世界のイケメンが怖い
祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。
第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。
わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。
でもわたしは彼らが怖い。
わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。
彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。
2024/10/06 IF追加
小説を読もう!にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる