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姉様の幸せのために(レノ視点)
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僕の姉様は、とても可愛い。それなのに、あまり自信がないらしくて、いつもいつも、セイン義兄さんが来る前は、鏡の前で悩んでいるらしい。
「と、いうわけで、義兄さんには、姉様に自信をつけてもらえるように、これでもかと褒め倒してほしいんですっ」
「なるほど、それは名案ですね!」
セイン義兄さんならば、きっと快諾してくれると思っていた。
そもそも、姉様がこれだけ自信をなくしているのは、あの馬鹿な元婚約者が原因だろうと睨んでいる。
僕が幼い子どもだから、気づかないと思っていたのか、はたまた、僕が見ていることに気づいていなかったのかは定かではないが、姉様は時々、あの愚か者からの手紙を見て苦しそうにしていた。
もっと僕が成長していれば、姉様を守れたかもしれないのにっ。
とはいえ、結局気持ちの悪い虫は姉様から離れて、姉様は晴れて、幸せを掴み取ったのだ。だから、自信を取り戻せるように働きかけてみても構わないはずっ!
そう思って、セイン義兄さんをけしかけてみた結果……。
「リコ、愛しています」
「リコ、可愛いです。可愛過ぎて、俺の心臓が潰れそうですっ」
「あぁっ、リコっ! 俺の女神っ!」
……もしかしたら、けしかけてはいけない人をけしかけてしまったかもしれない。
日々、姉様を褒め倒すセイン義兄さん。日々、甘々な世界を見せつけられる僕達。日々、そんなセイン義兄さんの甘さに顔を真っ赤にする可愛い姉様。
……いや、可愛い姉様が見られるなら、問題はない、か?
自信を取り戻せるかはともかくとして、姉様が幸せそうならそれで良い。
姉様の結婚式では、不覚にも泣いてしまったが、きっと、セイン義兄さんが姉様を幸せにしてくれると信じている。
「姉様、お幸せにっ」
その後、可愛い甥っ子や姪っ子達が五人もできた僕は、その末っ子が運命の番だと知って、四苦八苦することになるのだが、それはまた、別のお話。
「と、いうわけで、義兄さんには、姉様に自信をつけてもらえるように、これでもかと褒め倒してほしいんですっ」
「なるほど、それは名案ですね!」
セイン義兄さんならば、きっと快諾してくれると思っていた。
そもそも、姉様がこれだけ自信をなくしているのは、あの馬鹿な元婚約者が原因だろうと睨んでいる。
僕が幼い子どもだから、気づかないと思っていたのか、はたまた、僕が見ていることに気づいていなかったのかは定かではないが、姉様は時々、あの愚か者からの手紙を見て苦しそうにしていた。
もっと僕が成長していれば、姉様を守れたかもしれないのにっ。
とはいえ、結局気持ちの悪い虫は姉様から離れて、姉様は晴れて、幸せを掴み取ったのだ。だから、自信を取り戻せるように働きかけてみても構わないはずっ!
そう思って、セイン義兄さんをけしかけてみた結果……。
「リコ、愛しています」
「リコ、可愛いです。可愛過ぎて、俺の心臓が潰れそうですっ」
「あぁっ、リコっ! 俺の女神っ!」
……もしかしたら、けしかけてはいけない人をけしかけてしまったかもしれない。
日々、姉様を褒め倒すセイン義兄さん。日々、甘々な世界を見せつけられる僕達。日々、そんなセイン義兄さんの甘さに顔を真っ赤にする可愛い姉様。
……いや、可愛い姉様が見られるなら、問題はない、か?
自信を取り戻せるかはともかくとして、姉様が幸せそうならそれで良い。
姉様の結婚式では、不覚にも泣いてしまったが、きっと、セイン義兄さんが姉様を幸せにしてくれると信じている。
「姉様、お幸せにっ」
その後、可愛い甥っ子や姪っ子達が五人もできた僕は、その末っ子が運命の番だと知って、四苦八苦することになるのだが、それはまた、別のお話。
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