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第一章 神嫌いの最凶神
第五十五話 ルカの外出
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ルカが向かった場所は、神牙の団の本部だ。シグルドは家に居るのになぜ、となるかもしれないが、ルカには、そこへ向かう明確な理由があった。
いつもの狐面をつけたスタイルで、不機嫌モード全開にして歩いていたルカは、道行く神々を失神させながら、そこへ辿り着く。
バンッと音を立て、少し乱暴に扉を開けたルカに、その建物に居た神々のいくらかはルカの方へ注目して……すぐに、慌ただしく二階へと上がっていく。
「ひっ、デビルフォックス!?」
「だ、誰か! 早く団長……は居ないんだった!? 副団長ーっ!!」
「えっ? ちょっ、何でこっちに!? に、逃げろぉおっ!」
何やら妙な通り名がついていることが判明したものの、ルカは、それを気にすることなくズンズンと進み、その場を阿鼻叫喚に陥れる。
「何事だっ! ……え゛? な、なぜ、あなたがここに……?」
恐らくは、しっかりとした説明をされずに急いで降りてきたであろうデルロは、恐ろしく不機嫌なルカを前に硬直する。
「……あぁ、お前か。ちょうど良い。伝えることがある」
「は、はい、何でしょうか……?」
ルカの威圧に青ざめながら、どうにか応答するデルロ。ちなみに、他の神々は、デルロの背後でブルブル震えているところだ。
「お前達の団長は、僕のところに居る。さっさと帰したいところだけど、動こうとしないから、ある程度痛めつけて帰すことにするから」
「え? いや、え? 団長が? ってことは、もしかして、ルカ様の家って「なるほど、お前の入れ知恵だったか」ひっ!?」
ルカの家が、なぜ禁域にあると思ったのか、ルカ自身、疑問ではあったらしい。しかし、この男の入れ知恵だったのであれば話は別だ。恐らくは、あの神獣達が暴れた事件と、ルカがシグルドを憎からず想っているのではないかという考えから、自分の住処の神獣が暴れて、シグルドを傷つけたことに怒ったのではないかと予想を立てたのだろう。実際、その通りでもあるため、それに関する訂正をルカがすることはない。ただ……。
「半殺しが良いかな?」
「な、なぜっ!?」
ルカは、威圧だけでなく、殺意すらもデルロへと向ける。ただ、それだけ苛立つ原因を、ルカが理解できているのかは不明だ。
「なぜ? そりゃあ、迷惑を被ったから? ……まぁ、とりあえず、一発殴らせろ」
「む、無理です! さすがに死にます!」
「加減くらいはしてやる。……多分」
「多分!?」
「よし、二発にしよう」
「ひっ」
その後、神牙の団本部で、重々しい音が二回響いたとか、デルロが両頬を盛大に腫らしていたとかいう話がまことしやかに囁かれたが、誰も、その真相を口にする者は居なかった。
いつもの狐面をつけたスタイルで、不機嫌モード全開にして歩いていたルカは、道行く神々を失神させながら、そこへ辿り着く。
バンッと音を立て、少し乱暴に扉を開けたルカに、その建物に居た神々のいくらかはルカの方へ注目して……すぐに、慌ただしく二階へと上がっていく。
「ひっ、デビルフォックス!?」
「だ、誰か! 早く団長……は居ないんだった!? 副団長ーっ!!」
「えっ? ちょっ、何でこっちに!? に、逃げろぉおっ!」
何やら妙な通り名がついていることが判明したものの、ルカは、それを気にすることなくズンズンと進み、その場を阿鼻叫喚に陥れる。
「何事だっ! ……え゛? な、なぜ、あなたがここに……?」
恐らくは、しっかりとした説明をされずに急いで降りてきたであろうデルロは、恐ろしく不機嫌なルカを前に硬直する。
「……あぁ、お前か。ちょうど良い。伝えることがある」
「は、はい、何でしょうか……?」
ルカの威圧に青ざめながら、どうにか応答するデルロ。ちなみに、他の神々は、デルロの背後でブルブル震えているところだ。
「お前達の団長は、僕のところに居る。さっさと帰したいところだけど、動こうとしないから、ある程度痛めつけて帰すことにするから」
「え? いや、え? 団長が? ってことは、もしかして、ルカ様の家って「なるほど、お前の入れ知恵だったか」ひっ!?」
ルカの家が、なぜ禁域にあると思ったのか、ルカ自身、疑問ではあったらしい。しかし、この男の入れ知恵だったのであれば話は別だ。恐らくは、あの神獣達が暴れた事件と、ルカがシグルドを憎からず想っているのではないかという考えから、自分の住処の神獣が暴れて、シグルドを傷つけたことに怒ったのではないかと予想を立てたのだろう。実際、その通りでもあるため、それに関する訂正をルカがすることはない。ただ……。
「半殺しが良いかな?」
「な、なぜっ!?」
ルカは、威圧だけでなく、殺意すらもデルロへと向ける。ただ、それだけ苛立つ原因を、ルカが理解できているのかは不明だ。
「なぜ? そりゃあ、迷惑を被ったから? ……まぁ、とりあえず、一発殴らせろ」
「む、無理です! さすがに死にます!」
「加減くらいはしてやる。……多分」
「多分!?」
「よし、二発にしよう」
「ひっ」
その後、神牙の団本部で、重々しい音が二回響いたとか、デルロが両頬を盛大に腫らしていたとかいう話がまことしやかに囁かれたが、誰も、その真相を口にする者は居なかった。
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