私、異世界で保護されました! 〜やりたいことのために猪突猛進です〜

星宮歌

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第二章 本当の心

第三十七話 報告書

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 その日の夜、私は中々来ない報告に『もう今日は無理かな』と諦めかけていた。
 本来なら、今すぐにでも情報が欲しい。しかし、こういった調査に時間がかかることもよくよく理解していた。

 窓の外を恨めしく見続けるのを止めて、明日に備えてベッドへ向かおうとしたところで、コツンと窓の方から音がした。
 ハッと振り向けば、窓の外には、緊急連絡用の真っ白な伝書魔鳩でんしょまばとが居た。

 この魔鳩は、自分で身体の色を変えることができ、飛んでいる最中は周囲の景色に同化する色へ変わり、届け先へ辿り着くとその身体の色を目立つ色合いへと変えるよう訓練されている。
 夜の帳が下りた時間。真っ白な伝書魔鳩はとても目立っていた。

 すぐに窓を開けて伝書魔鳩を招き入れると、その足に括られている手紙を取り外して読む。


「なっ……」


 そして、書かれていた内容に、私は絶句した。


「どうして、王家が……」


『調査は王家も協力するとのこと』


 その一文は、あまりにも大きかった。ただ、そうなると、私自身の懸念が現実味を帯びてきているということでもある。


「王家はやっぱり、魅了を疑ってる……?」


 恐らく、ロレーヌの家は『魅了』について知らない家なのだろう。もし知っていたのであれば、ロレーヌの身に起きた出来事は魅了を疑ってもおかしくはないのだから。
 私のロットール家は、家格の高くない新興貴族の部類には入るものの、過去に色々とあったらしく、知らされる情報そのものは上級貴族のそれと変わらない。そのため、私も運良く『魅了』の魔法の存在を知っていたのだ。

 報告書を詳しく読み進めると、その女性の調査そのものは、私が調査を依頼する少し前から行われていたらしい。ただ、その女性はロレーヌから片翼を奪って以降、特に魅了の力を使うような素振りが見られず、本当に魅了の力を有しているのかどうか怪しいという状態だったらしい。


「……ロレーヌの懸念も、当たっちゃったわけね」


 ただ、その状況は、ロレーヌに私という友だちが出来たことで動いた。
 ロレーヌに対してどんな感情を抱いているのか定かではないものの、ロレーヌに嫌がらせをするためだけに、私の弟であるケインに接触した可能性が高いとのことで、高確率でケインは魅了魔法にかかっているとまである。そして、最後に……。


「登城、かぁ……」


 近々、登城の命令が私とケイン、ロレーヌの三人に下されるだろうという内容、そして、読み終えたらこの報告書は燃やすようにとの言葉で締め括られていた。


「……………………よし、寝よう」


 寝る前に考えるような内容ではないと判断して、私はさっさと報告書を燃やし、伝書魔鳩に餌をあげて受け取りのサインとなるリボンを足に括り付けてから、自由なタイミングで飛び立てるように窓を少し開いたままベッドへダイブした。
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