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第一章 保護されました
第十話 弱い私
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「まぁ、少なくとも、殺人未遂の彼女達に明るい未来はないけどね」
そんなケインの言葉の後に、どうやって連絡をしていたのか、先生方がこの場に訪れて、あの三人組は連行されていった。
『そんなつもりじゃなかった!』『本当に弱いなんて、分かるわけないっ』『隠す方がおかしい』などなど、連行される間に騒いでいた彼女達だったが、その後、親が呼ばれてそれ相応の処分は下されたらしい。
ちなみに、彼女達が私に絡んでいた理由だが、いつも私が座学のみは成績トップで、彼女達のリーダー格が二番目だったことで、一方的にライバル視されていたらしい。そして、ライバル視していたからこそ、座学以外の魔法や剣術で最下位の私が許せなかったのだとか。
その話を聞いて思うのは、彼女達は別のクラスの人だったんだ、とか、ライバルと思ってもらえていたのに、名前を見ていなくて悪かったなとか、そういった内容だけだった。
そう、あんなことはあっても、私は彼女達に興味関心を持てなかったのだ。私が目指すものは、オリアナ様達への恩返し。そのための政略結婚なのだから、それ以外は割とどうでも良い。
さすがに、若いのに厳しい処分を受けて可哀想だと思わないでもなかったが、それを表に出すほどではない。そもそも、詳しい内容すらも聞こうと思わなかったのだから、そう思うことすら烏滸がましいのかもしれない。
「でも、弱すぎるのはやっぱり、どうにかすべきよね」
弱すぎて、政略結婚の駒になる前に死亡する、とかは笑えない。重症を負って動けないというのもダメだ。
「ミオ姉、鍛えるのは無しだよ。昔、鍛えようとして倒れたのは覚えてるよね?」
「……むしろ、どうしてケインが覚えてるの? 確か、ケインが三歳くらいの頃の話でしょう?」
そう、確かに、鍛えようとして倒れて、それ以降激しい運動を禁止された記憶がある。今は、剣術の授業などにも参加しているものの、それも全力を出すようなことはしてはいけないとドクターストップがかかっている状態だ。
「ミオ姉のことは、何だって知ってるから」
そう言ってフワリと笑うケインに、私は降参する。きっと、追及したら色々と、墓穴を掘る羽目になりそうだ。
「でも、ミオ姉の身の安全を確保することは最優先だから……腕の立つ護衛でも手配してもらうかな」
「それは大袈裟だと思うけど……」
「大袈裟じゃないよ。ミオ姉は、もう少し自分の身の安全に気を配った方が良い。誰も、迷惑だなんて思わないし、頼られて嬉しいくらいに思うはずだから」
オリアナ様達に迷惑をかけてしまう。そう思ったことを見透かしたような言葉に、私は頷く。ケインがそう言うのであれば、それは信じられると、昔から私は知っているのだから。
「ミオ姉を僕が守れたら、一番良いけど、いつも守れる距離に居られるかは分からないから」
それと同時に、幼い弟にここまで心配されていることが情けなくなる。姉としての威厳が欲しい、とまでは言わないものの、弟に『守る』宣言をされるのは、世の中の姉という立場の者からすると『違う』と断言できるだろう。
「……もうちょっと、自己防衛の道具を充実させるわ」
「うん、明日、良ければ僕も一緒に選びに行くよ」
反論はできないため、私は大人しく、ケインの言葉に従うことにした。
そんなケインの言葉の後に、どうやって連絡をしていたのか、先生方がこの場に訪れて、あの三人組は連行されていった。
『そんなつもりじゃなかった!』『本当に弱いなんて、分かるわけないっ』『隠す方がおかしい』などなど、連行される間に騒いでいた彼女達だったが、その後、親が呼ばれてそれ相応の処分は下されたらしい。
ちなみに、彼女達が私に絡んでいた理由だが、いつも私が座学のみは成績トップで、彼女達のリーダー格が二番目だったことで、一方的にライバル視されていたらしい。そして、ライバル視していたからこそ、座学以外の魔法や剣術で最下位の私が許せなかったのだとか。
その話を聞いて思うのは、彼女達は別のクラスの人だったんだ、とか、ライバルと思ってもらえていたのに、名前を見ていなくて悪かったなとか、そういった内容だけだった。
そう、あんなことはあっても、私は彼女達に興味関心を持てなかったのだ。私が目指すものは、オリアナ様達への恩返し。そのための政略結婚なのだから、それ以外は割とどうでも良い。
さすがに、若いのに厳しい処分を受けて可哀想だと思わないでもなかったが、それを表に出すほどではない。そもそも、詳しい内容すらも聞こうと思わなかったのだから、そう思うことすら烏滸がましいのかもしれない。
「でも、弱すぎるのはやっぱり、どうにかすべきよね」
弱すぎて、政略結婚の駒になる前に死亡する、とかは笑えない。重症を負って動けないというのもダメだ。
「ミオ姉、鍛えるのは無しだよ。昔、鍛えようとして倒れたのは覚えてるよね?」
「……むしろ、どうしてケインが覚えてるの? 確か、ケインが三歳くらいの頃の話でしょう?」
そう、確かに、鍛えようとして倒れて、それ以降激しい運動を禁止された記憶がある。今は、剣術の授業などにも参加しているものの、それも全力を出すようなことはしてはいけないとドクターストップがかかっている状態だ。
「ミオ姉のことは、何だって知ってるから」
そう言ってフワリと笑うケインに、私は降参する。きっと、追及したら色々と、墓穴を掘る羽目になりそうだ。
「でも、ミオ姉の身の安全を確保することは最優先だから……腕の立つ護衛でも手配してもらうかな」
「それは大袈裟だと思うけど……」
「大袈裟じゃないよ。ミオ姉は、もう少し自分の身の安全に気を配った方が良い。誰も、迷惑だなんて思わないし、頼られて嬉しいくらいに思うはずだから」
オリアナ様達に迷惑をかけてしまう。そう思ったことを見透かしたような言葉に、私は頷く。ケインがそう言うのであれば、それは信じられると、昔から私は知っているのだから。
「ミオ姉を僕が守れたら、一番良いけど、いつも守れる距離に居られるかは分からないから」
それと同時に、幼い弟にここまで心配されていることが情けなくなる。姉としての威厳が欲しい、とまでは言わないものの、弟に『守る』宣言をされるのは、世の中の姉という立場の者からすると『違う』と断言できるだろう。
「……もうちょっと、自己防衛の道具を充実させるわ」
「うん、明日、良ければ僕も一緒に選びに行くよ」
反論はできないため、私は大人しく、ケインの言葉に従うことにした。
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