私、異世界で魔族になりました!〜恋愛嫌いなのに、どうしろと?〜

星宮歌

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第二章 どうして今更……

第十一話 破格の条件

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 じっとジークフリート魔王陛下を見つめれば、魔王陛下は観念したようにうなずく。


「その通りだ。片翼が居る魔族というのは、何においても片翼を優先する。ゆえに、選択肢を与えないわけにはいかなかったのだが……」


 『こんな選択肢しか与えられず、申し訳ない』と謝罪を口にした魔王陛下に、私達は慌てる。


「いえっ、どうか、お気になさらずっ」

「そういう話であれば、選択肢が少ないことも理解できますので、問題ありません」


 ライトさん、私の順にそう言えば、魔王陛下も顔を上げてくださる。


「そう言ってもらえると助かる。便宜はこちらでできるだけ図ろうと思っている。ハリオールの名前を変え、ロットール公爵家、としても構わないし、社交が面倒ならば、そういったものに参加する義務は課さないこととする。また、反対に社交会に積極的に出たいということであれば、私や王妃が後ろ盾となろう」


 提示される条件は全て破格のもの。しかも……。


「その他にも、何でも言ってみてほしい。後継者として引き受けてくれるのであれば、それ以外の義務など課さないことも可能だ」


 ライトさんであれば危険はない。問題なのは、ハリオール家という家だけなので、ライトさんが新たな名前で貴族となるのであれば、後継者とはいえ、ハリオール家を継いだということにはならないだろう。
 そもそも、引き受けなかった場合のデメリットが大き過ぎて、引き受ける以外の選択肢を取れない。


「分かりました。引き受けさせていただきます」


 そうして、魔王陛下と細かく便宜を図ってもらう内容を決めた私達は、ようやく、王宮から解放された。
 魔王陛下のおかげで、ハリオール家とはまた別の家となることも、公爵家などではなく、侯爵家(本当は、男爵家のままにしたかったのだが、さすがに爵位が低過ぎて、色々と便宜を図ると妬まれたり探られたりされかねないので)に後々上がっていくことも決まった。
 ハリオール家のお嬢様のこの先に関する話は何もなかったが、ライトさんが封印を受け継げば問題はないはずだ。

 そう、問題は、ないはず、だった……。
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