私、異世界で魔族になりました!〜恋愛嫌いなのに、どうしろと?〜

星宮歌

文字の大きさ
上 下
45 / 54
第二章 どうして今更……

第七話 謁見

しおりを挟む
 セバスチャンにクズ魔石と鉱石をあるだけ運んでもらうことに。
 今は夜なので追加でいるなら明日にならないとダメだって言うので市場荒らさない程度に仕入れてほしいとお願いした。

 クズ魔石を溶かして魔力を通して、魔導インクを大量に作って、板状の鋼板に魔法陣を書き込んでいく。
 ほんの少しの魔力を入れれば何日かは暖かさが持つはず。
 長く持たせるならもう少し装置を複雑にしないとだけど緊急事態なので許してほしい。
 
 火の魔石を魔法陣の上に置けば威力が増すから室内ならだいぶ良い。

 あとはカイロもどきを一気に量産して。

 ふと気付いてしまった。私が休まないとニーナたちが休めない。

「ニーナ、アラン、ジェイク、明日も大変だろうから休んできて?私もこれが済んだら寝るから」

「みんなが動いてるんで気になさらなくて良いんですよ。リーシャさまはお身体にためにそれが済んだら絶対おしまいですからね」

 のぉ。念押しされちゃった。

「はぁい」

 ニーナに逆らったらダメ。なのでしおらしくしておきます。

 病人がたくさんなので空気清浄機を作っておきたいの。〈洗浄〉〈清浄〉でわりとなんとかなるだろうけど大広間全体は流石に普通の魔力じゃ厳しいはず。

 ウィルスはなくても綺麗な空気の方が衰弱してるなら安心だろうし。

 風魔法と聖魔法の魔法術式を組み込んで鋼板に魔法陣を書き込んで空調っぽい動作ができるように設計。
 流石に大部屋の分だけ大型五台にしておいた。

 アランとジェイクがマジックバッグに入れて運んでくれるので、私も動作確認がしたいので一緒に向かった。

 未だ新たに運ばれてきてるので一向に休まらないだろうなって状態。

 壁沿いに空気清浄機をセットしていきスイッチを入れれば、ちゃんと稼働したので安心。

 寒さに震えてるような人は居なさそうなので循環させるだけで良いかな。

 ちょうどセバスチャンと遭遇したので、カイロもどきとヒーターがわりの鋼板を渡した。

「あれから数時間でこんなに!?体調は!?」
 肩をガシッとされたので「大丈夫だから早くホーンに配ってあげて」って言って逃げた。

 大きな声が聞こえたのでそっちを覗くとまさに出産中なお部屋ならしい。
 マギー先生のドスの聞いた応援?が迫力だ。
 覗くわけにもいかず「無事に生まれて」ってお祈りして離れる。
 お義母さまが侍女長さんと廊下を早足で歩いていたのでお声を掛けると、
「あら、リーシャちゃん、寝てなくても大丈夫?」
 と心配気に頭を撫でられる。未だに栄養失調な私が目に浮かんでるんだろうな。
「はい、お義母さま。私にも何か出来ますか?」
 お義母さまも少し疲労の色が出てるので早く休んでほしいけど、使用人のみんながフル稼働だからそうも言ってられない。

「そうねぇ、多分最低でも一週間はこの状態になるだろうから交代で休まないとなのよねぇ」
 まぁ吹雪が済むまでとその後の生活の立て直しもあるだろうしすぐには帰せないよね。

「明日にはアンゼリカちゃんたちも来てくれるだろうから休むのはそれからにして今は滋養にいい食べ物をルルゥと相談してくれないかしらぁ?」

 私がお役に立ちたい気持ちを汲んでくれてる気がする。

「でもいっぱい魔力を使ったと聞いたわよぉ~?無理だけはしないでねぇ?」

 ぎゅむっとハグをしてくれてお義母さまは別にお部屋に様子を見に行った。

「ニーナ、無理はしないから厨房に行こう」

 流石にこの状況で寝ろとは言えないらしく超渋い顔で一緒に厨房に向かってもらう。

 お肌ツルツルを喜んでたのが嘘みたいな急展開で、今度は目にクマーを飼う話になりそう。

「あら、リーシャちゃん、ちょうど良かったわ。味見てちょうだい」

 渡されたお椀には甘酒の香りがする穀類がトロトロになったスープ。

「ちょっと甘くなっちゃった気がするのよ?」
「ん、優しい味だし、身体がほかほかになりそうだから良いと思うよ。大人にはちょっとこれを混ぜてみたらどうかな」
 
 私は棚に置いてある生姜の塊を指差した。

「ああ~これは良さそうね」

 あとはたまご粥と味噌をミルクに溶かしてスープにしたのを提案してみた。
 お野菜は全部微塵切り。比較的調子がよさそうなら大きい具とお肉も入れて。

 妊婦さんには湯豆腐や豆腐スープも良いかも?メグミもリーシャも経験がないから臨月の人が何食べたいかわかんないなぁ。とにかく寒さにやられた後だから温かいものを!

 鶏白湯がいいなって思いついて、私は邪魔にならないところで若いコックさんを捕まえて鳥の骨の処理を手伝ってもらう。

 アランとジェイクにはしばらくここにいるから交代で仮眠を取るように伝えた。
 最初は渋っていたけど長丁場なので納得してくれた。コックさんたちの仮眠室を使わせてもらうそうだ。
 ニーナにも言ったんだけど、私と一緒にって言われちゃった。

 魔導コンロだと火力が弱いけどとりあえずやってみる。
 骨と野菜と薬草と漢方系の実を一緒に煮込んで薬膳スープにすることにした。

「向こうのコンロ使ってもいいんじゃないですか?」
 コックさんが言ってくれたけど全部フル稼働だから無理に割り込まなくても良い。順番に仕上がって出していけば。

 スープは煮込むのに時間が掛かるから、合間にミートボールを作ることに。ミンチ肉なら消化もいいし食べやすいはず。

 コックさんたちが使ってくれないミンサーに貯蔵室から運んでもらった魔獣肉を入れまくる。
 ハーブと塩胡椒で味付けをしてだんご状にしていくのをコックさんたちが手伝ってくれた。
 こっちのは鳥でこっちは・・・蛇かも!?んであれはオークだっけ。色合いの違いで多少わかるようになった。

 忙しく働いてくれてるうちの人たちにも力付けてもらわないとだからいっぱいミンチにしちゃうんだ。

 ポムたちがなぜが慌ただしくあっちこっちに動き回ってるけど何してるんだろう?







しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

口は禍の元・・・後悔する王様は王妃様を口説く

ひとみん
恋愛
王命で王太子アルヴィンとの結婚が決まってしまった美しいフィオナ。 逃走すら許さない周囲の鉄壁の護りに諦めた彼女は、偶然王太子の会話を聞いてしまう。 「跡継ぎができれば離縁してもかまわないだろう」「互いの不貞でも理由にすればいい」 誰がこんな奴とやってけるかっ!と怒り炸裂のフィオナ。子供が出来たら即離婚を胸に王太子に言い放った。 「必要最低限の夫婦生活で済ませたいと思います」 だが一目見てフィオナに惚れてしまったアルヴィン。 妻が初恋で絶対に別れたくない夫と、こんなクズ夫とすぐに別れたい妻とのすれ違いラブストーリー。 ご都合主義満載です!

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

【完結】愛されていた。手遅れな程に・・・

月白ヤトヒコ
恋愛
婚約してから長年彼女に酷い態度を取り続けていた。 けれどある日、婚約者の魅力に気付いてから、俺は心を入れ替えた。 謝罪をし、婚約者への態度を改めると誓った。そんな俺に婚約者は怒るでもなく、 「ああ……こんな日が来るだなんてっ……」 謝罪を受け入れた後、涙を浮かべて喜んでくれた。 それからは婚約者を溺愛し、順調に交際を重ね―――― 昨日、式を挙げた。 なのに・・・妻は昨夜。夫婦の寝室に来なかった。 初夜をすっぽかした妻の許へ向かうと、 「王太子殿下と寝所を共にするだなんておぞましい」 という声が聞こえた。 やはり、妻は婚約者時代のことを許してはいなかったのだと思ったが・・・ 「殿下のことを愛していますわ」と言った口で、「殿下と夫婦になるのは無理です」と言う。 なぜだと問い質す俺に、彼女は笑顔で答えてとどめを刺した。 愛されていた。手遅れな程に・・・という、後悔する王太子の話。 シリアス……に見せ掛けて、後半は多分コメディー。 設定はふわっと。

元妻からの手紙

きんのたまご
恋愛
家族との幸せな日常を過ごす私にある日別れた元妻から一通の手紙が届く。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。

音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。 だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。 そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。 そこには匿われていた美少年が棲んでいて……

処理中です...