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第一章 どうして魔族なんかに……
第二十七話 本当の心
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片翼だからこその想いなのかどうか、それを確かめる手段なんて、本来は存在しない。私も、きっと、こんな特殊な生まれでさえなければ、そう思っていたことだろう。
しかし、私には、前世の記憶がある。つまりは、前世の自分なら、どんな想いを抱くだろうかと、擬似的にでも比較することは可能なのだ。
前世の自分なら、ライトの見た目をどう捉えただろうか。前世の自分なら、ライトの性格をどう評しただろうか。そして、それらを踏まえた上で、ライトのことを、好ましいと思えるだろうか。
もちろん、今の私は前世の私とは違う。それでも、前世の私も今の私も、『私』であることに変わりはない。当然、片翼だからこそ、前世の私の考えだと思ったことが歪んでしまう可能性もあるが、そうなってしまったのであれば、それはもう、どうにもならないことなのだ。
前世の私が、彼を、どう捉えられるのか……。
前世の私が付き合ってきたのは、全て年上の男性だ。しかし、様々なトラウマを植え付けられた記憶があることから、年上ではなく、年下が好ましいと思われる。もしくは、年下のように感じられる相手だ。
そこは、合格、ね。
前世の私は、黒目黒髪の人間の比率が高い場所に居た。しかし、だからといって、元々別の色を持つ人が嫌いというわけでもない。ただし、少し面食いなところはある自覚もある。
となると、見た目も合格。
性格は……これは何ともいえないところではあるものの、少なくとも、浮気をしそうな相手は却下だ。
……彼が、浮気をするとは考えにくい、と思うけど……。
そこのところはどうだろうかと考えて、どうしても止まってしまう。
もちろん、魔族が片翼と離婚する確率はほとんどゼロに等しい。片翼が居る魔族が浮気をする可能性は、ゼロだとすら言われている。それでも、裏切られた記憶が私を臆病にする。
……そっか……私、過去ばかり見て、それに囚われて、これじゃあ、前に進めない。
前世のことが足枷になっているというのは分かっていた。しかし、それをはっきり自覚できていたかと言われると、恐らく違う。なんせ……。
私は、過去に怯えるままは、嫌、なのね。
前世の記憶に苛まれるだけの人生は嫌なのだと、今、はっきりと意識できたのだから。
そこまでの意識ができてしまうと、自然と、今、自分がすべきことが見えてくる。
「失礼します。宰相補佐官のオリアナと申します。ライト・ロットールをお借りしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「へぁっ!? オリアナ様!?」
驚いた顔のライトが愛しい。そう思って、私はつい、微笑みを浮かべた。
しかし、私には、前世の記憶がある。つまりは、前世の自分なら、どんな想いを抱くだろうかと、擬似的にでも比較することは可能なのだ。
前世の自分なら、ライトの見た目をどう捉えただろうか。前世の自分なら、ライトの性格をどう評しただろうか。そして、それらを踏まえた上で、ライトのことを、好ましいと思えるだろうか。
もちろん、今の私は前世の私とは違う。それでも、前世の私も今の私も、『私』であることに変わりはない。当然、片翼だからこそ、前世の私の考えだと思ったことが歪んでしまう可能性もあるが、そうなってしまったのであれば、それはもう、どうにもならないことなのだ。
前世の私が、彼を、どう捉えられるのか……。
前世の私が付き合ってきたのは、全て年上の男性だ。しかし、様々なトラウマを植え付けられた記憶があることから、年上ではなく、年下が好ましいと思われる。もしくは、年下のように感じられる相手だ。
そこは、合格、ね。
前世の私は、黒目黒髪の人間の比率が高い場所に居た。しかし、だからといって、元々別の色を持つ人が嫌いというわけでもない。ただし、少し面食いなところはある自覚もある。
となると、見た目も合格。
性格は……これは何ともいえないところではあるものの、少なくとも、浮気をしそうな相手は却下だ。
……彼が、浮気をするとは考えにくい、と思うけど……。
そこのところはどうだろうかと考えて、どうしても止まってしまう。
もちろん、魔族が片翼と離婚する確率はほとんどゼロに等しい。片翼が居る魔族が浮気をする可能性は、ゼロだとすら言われている。それでも、裏切られた記憶が私を臆病にする。
……そっか……私、過去ばかり見て、それに囚われて、これじゃあ、前に進めない。
前世のことが足枷になっているというのは分かっていた。しかし、それをはっきり自覚できていたかと言われると、恐らく違う。なんせ……。
私は、過去に怯えるままは、嫌、なのね。
前世の記憶に苛まれるだけの人生は嫌なのだと、今、はっきりと意識できたのだから。
そこまでの意識ができてしまうと、自然と、今、自分がすべきことが見えてくる。
「失礼します。宰相補佐官のオリアナと申します。ライト・ロットールをお借りしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「へぁっ!? オリアナ様!?」
驚いた顔のライトが愛しい。そう思って、私はつい、微笑みを浮かべた。
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