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第一章 どうして魔族なんかに……
第二十二話 親友の元へ(二)
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結局のところ、お互いに気が合う者同士だったのか、いつの間にか仲良くなっていて、今ではお互いが唯一無二の親友だ。
「私は平民だっていうのに、あの頃のリリィはとてもしつこかったのを覚えているわ」
「『しつこい』は余計よ」
そんなことを言いながらも、久々の女子会は、最近、モヤモヤしていた私の心を落ち着けるのに十分な役割を果たしてくれる。
「ところで、オリー。最近、あなたに片翼が現れた、なんて噂を聞いたのだけど?」
様々な会話を楽しんでいた私は、そんなリリナローズの指摘にドキッとする。
「そう、ね。……リリィには隠せないわよね……」
「と、いうことは、本当なのね?」
リリナローズは、公爵家として十分な調査能力を有している。だから、ここで言い逃れしたところで、簡単に突き止められてしまうに違いないのだ。それに……。
「……リリィは……その、片翼に出会った時は、どんな感じだったの?」
片翼なんていらない、と言い続けたことによって、私は、あまりにも片翼に関する知識が欠けているということを、最近になって自覚した。
もちろん、受け入れるつもりはないが、知識があるのとないのとでは、何か違うこともあるかもしれない。
そう、思っていたのだが……当のリリナローズは、そうは捉えなかった。
「まぁっ! あのオリーからこんな言葉を聞くなんてっ!! えぇ、分かりましたわっ! わたくしの全ての経験を、考え方を、オリーに伝授してみせますわっ!!」
「えっ? ちょっ!」
「まずは、出会ったその日のことを―――」
その後、私は延々とリリナローズから惚気話を聞かされ、ついでに色々と根掘り葉掘りと聞かれて……今までの女子会にはなかった、凄まじい疲労感を味わう羽目になる。
「アドバイスしておくとしたら一つだけ。魔族の半数以上が直面する問題への答えは、きっとオリーの中にあるわ。だから、それに直面したら、必死に考えて、悩みなさい。それが、後々、自信に繋がるから」
『魔族の半数以上が直面する問題』。それは、あまりにも有名な命題だ。
「片翼は、片翼であるから愛しいのか、それとも、片翼でなくとも愛しいのか、ね……」
獣人も魔族も、似たような修正を持つため、どちらの種族も直面する問題だ。特に、片翼や運命の番とされる者が同じ種族ではなかった場合、それは相手にとっても大きな問題となる。
「今、まさに直面しているのかも、ね……」
そっと、小声で呟く私に、リリナローズはニッコリと笑みを浮かべるのみ。ただ、これで、私のモヤモヤの理由も、分かった気がした。
きっと、片翼だからと迫る彼を、信じられなかったのは、片翼じゃなければどうなるのか、という意識が大きかったからもある、のね。
確かに過去の男運は最悪だ。しかし、それであそこまでライトを避けるのは、きっと、この魔族としての命題が私にものしかかっていたからなのだ。
そうして、リリナローズとの女子会は、私に大きな問題を残して終了することとなった。
「私は平民だっていうのに、あの頃のリリィはとてもしつこかったのを覚えているわ」
「『しつこい』は余計よ」
そんなことを言いながらも、久々の女子会は、最近、モヤモヤしていた私の心を落ち着けるのに十分な役割を果たしてくれる。
「ところで、オリー。最近、あなたに片翼が現れた、なんて噂を聞いたのだけど?」
様々な会話を楽しんでいた私は、そんなリリナローズの指摘にドキッとする。
「そう、ね。……リリィには隠せないわよね……」
「と、いうことは、本当なのね?」
リリナローズは、公爵家として十分な調査能力を有している。だから、ここで言い逃れしたところで、簡単に突き止められてしまうに違いないのだ。それに……。
「……リリィは……その、片翼に出会った時は、どんな感じだったの?」
片翼なんていらない、と言い続けたことによって、私は、あまりにも片翼に関する知識が欠けているということを、最近になって自覚した。
もちろん、受け入れるつもりはないが、知識があるのとないのとでは、何か違うこともあるかもしれない。
そう、思っていたのだが……当のリリナローズは、そうは捉えなかった。
「まぁっ! あのオリーからこんな言葉を聞くなんてっ!! えぇ、分かりましたわっ! わたくしの全ての経験を、考え方を、オリーに伝授してみせますわっ!!」
「えっ? ちょっ!」
「まずは、出会ったその日のことを―――」
その後、私は延々とリリナローズから惚気話を聞かされ、ついでに色々と根掘り葉掘りと聞かれて……今までの女子会にはなかった、凄まじい疲労感を味わう羽目になる。
「アドバイスしておくとしたら一つだけ。魔族の半数以上が直面する問題への答えは、きっとオリーの中にあるわ。だから、それに直面したら、必死に考えて、悩みなさい。それが、後々、自信に繋がるから」
『魔族の半数以上が直面する問題』。それは、あまりにも有名な命題だ。
「片翼は、片翼であるから愛しいのか、それとも、片翼でなくとも愛しいのか、ね……」
獣人も魔族も、似たような修正を持つため、どちらの種族も直面する問題だ。特に、片翼や運命の番とされる者が同じ種族ではなかった場合、それは相手にとっても大きな問題となる。
「今、まさに直面しているのかも、ね……」
そっと、小声で呟く私に、リリナローズはニッコリと笑みを浮かべるのみ。ただ、これで、私のモヤモヤの理由も、分かった気がした。
きっと、片翼だからと迫る彼を、信じられなかったのは、片翼じゃなければどうなるのか、という意識が大きかったからもある、のね。
確かに過去の男運は最悪だ。しかし、それであそこまでライトを避けるのは、きっと、この魔族としての命題が私にものしかかっていたからなのだ。
そうして、リリナローズとの女子会は、私に大きな問題を残して終了することとなった。
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