私、異世界で魔族になりました!〜恋愛嫌いなのに、どうしろと?〜

星宮歌

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第一章 どうして魔族なんかに……

第十話 進展のために(ライト視点)

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 翌日から、僕は、オリアナ様のために贈り物をどんどん贈った。
 花にアクセサリーに髪飾りに、栞にペンに、と、様々なものを、吟味して選んで贈った。


「今のところ、花以外が全滅……」


 しかし、オリアナ様のガードは固く、花だけは日持ちしないからと受け取ってもらえたが、それ以外は軒並み拒否された。かといって、甘いお菓子でも贈ろうかと思えば、デリク様から甘いものを食べているところを見たことがないとの情報をもらって断念した。
 オリアナ様とデートできたら良いなと思いながら訪れた喫茶店で、僕は、ゴツンと机に頭を打ち付ける形で突っ伏す。


「花も、喜んでくれた様子じゃなかったし……。会える時間も限られてる中、どうすれば……」


 きっと、贈り物を贈るだけでは駄目なのだとは理解している。ただ、問題なのが、オリアナ様と会えるのは仕事中しかないということなのだ。


「勝手に調べるわけにもいかないし……。いや、もし調べたとして、それでオリアナ様に気持ち悪いとか思われたら、僕、死ねる……」

「いや、そこは何とか誤魔化せば良いんじゃねぇの?? ていうか、何回目だよ、この『オリアナ様に振り向いてもらうためにどうしたら良いか考える会』とかふざけた名前の会に俺を引っ張り込むのは」

「仕方ないだろ? 頼りになるのは親友の君だけなんだからっ!!」


 ガバッと顔を上げれば、そこには僕と同じ魔族の男が居た。
 サイラス・オードラという名前の男は、紫の髪に、赤い瞳を持つ男で、野生味あふれる男らしい男だと、僕から見てもそう思える人物だ。
 どちらかというと可愛いと言われてしまうことの多い僕と、荒々しく格好いいと言われることの多いサイラス。正反対に見える僕達だが、昔からの幼馴染として、そこそこ仲は良い。


「あのなぁ、俺もそんなに暇じゃねぇの。お前の片翼があの方だったっていうのは、それなりに不憫だとは思うけど、それでお前が参ってどうするよ? お前は、あの方の心を開くために、どんな努力でもするんだろ?」

「当然だよっ。……でも、本当に、これから何をすれば、オリアナ様を振り向かせられるのか分からないんだ……」


 これでも、片翼を得た時のことを色々と想像して、告白が上手くいかなかった時のことも昔から考えてはいた。しかし、そのシチュエーションの中で、ここまで塩対応で、何をすれば良いのか分からなくなるものはなかった。
 要するに、甘えた想像しかしてこなかった、というわけだ。


「あー、そのデリク様って方から、何か有益な情報がないか聞き出してみたら良いんじゃねぇの?」

「もちろん、それはしたよ。でも、デリク様は一昨日から出張で、しばらくこちらには帰ってこられないみたいなんだ」

「……そうなりゃあ、あの方の友人を当たるしかねぇんじゃねぇの? 確か、一人だけ、親友が居るとかいう話は聞いてるぜ?」

「本当に!? じゃあっ、その人の名前をっ、教えて!」

「良いぜ。んでもって、しっかり当たって砕けてこい」


 少しばかり不穏な言葉を吐いたサイラスだが、それが気にならないくらいに、僕は新たな切り口を見つけられたことに興奮していた。


「ありがとう、サイラス!」


 そして、僕は、その名前を聞いた瞬間、なぜ、サイラスがそう言ったのかを理解してしまって、遠い目をすることとなった。
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