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第一章 どうして魔族なんかに……
第七話 頑なに
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「おはようございます!」
いつも通りの道を辿って、いつも通りの職場に到着しかけた時、すでにその予感はあった。
その人を惑わす悪辣な香りに、足が止まりかけたものの、そんな存在のために自分が引く必要はないとばかりに歩を進めて、予想通りにソレと出会す。ついでに……。
「オリアナちゃん、まだ早い時間だし、少しのんびりしておくと良いわよ」
ニヤニヤとしながら、そう言ったデリクさん。
思わず、やっぱりサンドバッグにすべきだったかと思いながら、ソレに視線を向けそうになる自分を抑えて、口を開く。
「必要ありません。それと、部外者は立ち去ってください」
片翼に惹かれる現象については、身をもって理解した。しかし、だからといって、ソレが裏切らないとは限らないし、そうでなくとも面倒事はごめんだ。
「待ってください! 僕の片翼は、貴女なんです!!」
「そうですか。では、失礼します」
「ぼっ、僕の名前は、ライト・ロットールです! お願いします! 話だけでもっ」
止まりそうになる足を必死に動かして、私は、後ろ手に扉を閉める。ここまで来れば、本当に、部外者は立ち入り禁止であり、入ろうとしても弾かれる。ただ、そこには外に居る面々よりも厄介な狸が棲息していて……。
「おや、彼とは話さないのかい?」
情に厚く、優しい反面、宰相としてのその能力は右に出る者は居ないとされる魔族。灰色の髪に、淡い水色の瞳を持つ壮年の優しげな面持ちの男性は、私達の上司だ。
「閣下……」
「エリオだよ、エリオ。そろそろ、閣下以外の呼び方をしてほしいのだが……」
「宰相閣下。くだらないことを話していないで、仕事をしましょう」
「オリアナちゃん、職場には遊び心も必要だよ?」
「遊ぶならお一人でどうぞ」
私の目標は、愛や恋なんていうものに関わらず、平穏な老後を迎えること。そのためには、今のうちにバリバリ働いて、しっかり貯金をしておくことが大切だ。
さっさと自分の席で仕事に取り掛かる私へ、宰相閣下は何度か話しかけてきたものの、取り付く島もないと分かったのか、しばらくすると静かになる。デリクさんもいつの間にか戻ってきて、同じように仕事に加わる。
ただ……。
「……気になるなら、行ってみても良いのよ?」
「失礼しました。少し、気が散っていたようです」
知らず知らずのうちに、扉へと視線を向けていたらしい。
やっぱり、片翼というのは呪いね。
他の同僚にも色々な視線を受けながら、私は全ての業務を終わらせて、さっさと帰ることにした。
何か、対策を考えないと。
片翼に関する情報なら、どこかの図書館で調べればすぐに出てくるはずだ。
魔族に纏わりつかれた片翼が、その魔族を退けた方法もあるかもしれない。
しかし、それを探す前に、私はソレに見つかってしまった。
いつも通りの道を辿って、いつも通りの職場に到着しかけた時、すでにその予感はあった。
その人を惑わす悪辣な香りに、足が止まりかけたものの、そんな存在のために自分が引く必要はないとばかりに歩を進めて、予想通りにソレと出会す。ついでに……。
「オリアナちゃん、まだ早い時間だし、少しのんびりしておくと良いわよ」
ニヤニヤとしながら、そう言ったデリクさん。
思わず、やっぱりサンドバッグにすべきだったかと思いながら、ソレに視線を向けそうになる自分を抑えて、口を開く。
「必要ありません。それと、部外者は立ち去ってください」
片翼に惹かれる現象については、身をもって理解した。しかし、だからといって、ソレが裏切らないとは限らないし、そうでなくとも面倒事はごめんだ。
「待ってください! 僕の片翼は、貴女なんです!!」
「そうですか。では、失礼します」
「ぼっ、僕の名前は、ライト・ロットールです! お願いします! 話だけでもっ」
止まりそうになる足を必死に動かして、私は、後ろ手に扉を閉める。ここまで来れば、本当に、部外者は立ち入り禁止であり、入ろうとしても弾かれる。ただ、そこには外に居る面々よりも厄介な狸が棲息していて……。
「おや、彼とは話さないのかい?」
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「閣下……」
「エリオだよ、エリオ。そろそろ、閣下以外の呼び方をしてほしいのだが……」
「宰相閣下。くだらないことを話していないで、仕事をしましょう」
「オリアナちゃん、職場には遊び心も必要だよ?」
「遊ぶならお一人でどうぞ」
私の目標は、愛や恋なんていうものに関わらず、平穏な老後を迎えること。そのためには、今のうちにバリバリ働いて、しっかり貯金をしておくことが大切だ。
さっさと自分の席で仕事に取り掛かる私へ、宰相閣下は何度か話しかけてきたものの、取り付く島もないと分かったのか、しばらくすると静かになる。デリクさんもいつの間にか戻ってきて、同じように仕事に加わる。
ただ……。
「……気になるなら、行ってみても良いのよ?」
「失礼しました。少し、気が散っていたようです」
知らず知らずのうちに、扉へと視線を向けていたらしい。
やっぱり、片翼というのは呪いね。
他の同僚にも色々な視線を受けながら、私は全ての業務を終わらせて、さっさと帰ることにした。
何か、対策を考えないと。
片翼に関する情報なら、どこかの図書館で調べればすぐに出てくるはずだ。
魔族に纏わりつかれた片翼が、その魔族を退けた方法もあるかもしれない。
しかし、それを探す前に、私はソレに見つかってしまった。
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