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第一章 望まぬ聖女召喚
第四十六話 おかしな城内
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今日は何だか、城の様子がおかしい。
いつもなら朝になれば顔を出すはずのルーナは、カメリさんから病欠だと聞かされてはいるのだが、それはもしかしたら、私を部屋の外に出さないための言い訳なのかもしれないと思えた。
ピアノは現在、調律の予定が入っていて、今日は使えないという話だし、部屋の外に出るのもカメリさんからやんわりと断られてしまった。と、なると、何かあると考えるのが自然だ。
ルーナは、多分大人。というか、少なくとも私よりは年上で、働いている女性だとは思う。
カメリさんが刺繍をしてみないかと勧めるのを首を横に振って断りながら、今、何が起こっているのかを考える。
ルーナに割り振られた仕事は、私の監視と世話係……もし、ルーナに武道の心得があるなら、護衛も兼ねているかもしれないけど、そこら辺を見抜く力まではさすがにないからなぁ。
少なくとも、今の私の側からルーナを外す意味はない。むしろ、彼らは今一番私が心を開いている相手はルーナだと思っているはずだから、引き離すのは悪手だろう。そうなると、そうせざるを得ない何かが起こっているわけで……。
そっと部屋の窓へと視線を向けようとすれば、それを遮るかのように立つカメリさんの姿が目に入る。
「トツキ様? いかがなさいましたか?」
あの日以来、私の名前を呼んでくれるカメリさん。他にも、ルーナやアルヴァンも私の名前を呼んでくれるようになって、それが少しだけ嬉しい。
ただ、今は、何を隠しているのかがとても気になった。
カメリさんの問いかけに反応しないまま、私は窓へと近づいてみる。
カメリさんもさすがにそれを止めることはできないらしく、諦めたように道を譲ってくれた。
……うん、来客、なんだろうね。
窓から見下ろす限り、数人の着飾った男女がどこかへ向かっている姿が見えた。恐らく、彼らは貴族なのだろう。
私は、覚えたての文字を使って、『誰?』という言葉を紙に書き、窓の外に見える貴族達を指差す。
「えぇっと、その、詳しくは存じ上げませんが、きっと、王太子殿下への来客かと……」
困ったようにそう告げるカメリさん。きっと、詳しく知っているだろうに、その反応ということは、教える気はさらさらないのだろう。
と、いうことで、私は標的を護衛の騎士達へと定める。
私が視線を向けると、ビクッと反応をする彼らの姿に、私は意図してニコリと笑いかける。すると、彼らは面白いくらいに青ざめていくので、見ている方としてはとても楽しい。
私は再び、『誰?』と書いた紙を提示して、先程の貴族達へと指差すのだった。
いつもなら朝になれば顔を出すはずのルーナは、カメリさんから病欠だと聞かされてはいるのだが、それはもしかしたら、私を部屋の外に出さないための言い訳なのかもしれないと思えた。
ピアノは現在、調律の予定が入っていて、今日は使えないという話だし、部屋の外に出るのもカメリさんからやんわりと断られてしまった。と、なると、何かあると考えるのが自然だ。
ルーナは、多分大人。というか、少なくとも私よりは年上で、働いている女性だとは思う。
カメリさんが刺繍をしてみないかと勧めるのを首を横に振って断りながら、今、何が起こっているのかを考える。
ルーナに割り振られた仕事は、私の監視と世話係……もし、ルーナに武道の心得があるなら、護衛も兼ねているかもしれないけど、そこら辺を見抜く力まではさすがにないからなぁ。
少なくとも、今の私の側からルーナを外す意味はない。むしろ、彼らは今一番私が心を開いている相手はルーナだと思っているはずだから、引き離すのは悪手だろう。そうなると、そうせざるを得ない何かが起こっているわけで……。
そっと部屋の窓へと視線を向けようとすれば、それを遮るかのように立つカメリさんの姿が目に入る。
「トツキ様? いかがなさいましたか?」
あの日以来、私の名前を呼んでくれるカメリさん。他にも、ルーナやアルヴァンも私の名前を呼んでくれるようになって、それが少しだけ嬉しい。
ただ、今は、何を隠しているのかがとても気になった。
カメリさんの問いかけに反応しないまま、私は窓へと近づいてみる。
カメリさんもさすがにそれを止めることはできないらしく、諦めたように道を譲ってくれた。
……うん、来客、なんだろうね。
窓から見下ろす限り、数人の着飾った男女がどこかへ向かっている姿が見えた。恐らく、彼らは貴族なのだろう。
私は、覚えたての文字を使って、『誰?』という言葉を紙に書き、窓の外に見える貴族達を指差す。
「えぇっと、その、詳しくは存じ上げませんが、きっと、王太子殿下への来客かと……」
困ったようにそう告げるカメリさん。きっと、詳しく知っているだろうに、その反応ということは、教える気はさらさらないのだろう。
と、いうことで、私は標的を護衛の騎士達へと定める。
私が視線を向けると、ビクッと反応をする彼らの姿に、私は意図してニコリと笑いかける。すると、彼らは面白いくらいに青ざめていくので、見ている方としてはとても楽しい。
私は再び、『誰?』と書いた紙を提示して、先程の貴族達へと指差すのだった。
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