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第一章 望まぬ聖女召喚
第十話 支援の騎士(???視点)
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約二十年前から世界を侵食し始めた瘴気。それを止める手立てはなく、それでも、国を治める王族としては、民を見捨てることなどできなかった。
もちろん、全ての国が同じように対応したわけではない。他国では、王族が逃げ出したという話も聞いたし、民を犠牲にしてでも生き残ろうとした王族も居たそうだ。
しかし、そうした国は、今は確認できない。少なくとも、今残っていることが確認できている三国は、全て、王族が民を生かそうと必死に奔走している国々だ。
それは我々、アルトラ王国の王族も同じだ。国王陛下は、瘴気の侵食が確認されて数年後に、民を守るために城の敷地の中に菜園を作ったり、家畜小屋を作ったりした。他にも、農業や牧畜を奨励する政策を次々に発表しており、アルトラ王国では賢王として名高い。
ただ、現在は支援のために向かった先で行方知れずとなっており、ひとまずは王太子だったアルヴァンが国王代理として動いている状態だ。このまま、状況が変わらないままであれば、後数週間でアルヴァンは国王として正式に即位することとなる。
「おーい、こっちにも食料を持ってきてくれ!」
「了解っす! 団長!」
瘴気が侵食してきていても、その場から離れない人や離れられない人は存在する。
離れないと意志を固めている者を説得するのは至難の業だが、何らかの事情で離れられないだけならば、我々がこうして支援することで解決することもある。
この村も、そろそろ瘴気の侵食が進むとされている地域であり、私のような王族が率いる騎士団が支援を担当していた。
今回の村は、単純に食事が足らず、村人の移動が困難だったという状況だったため、ひとまず王宮から持ち込んだ食料を与えて、ほとんどの人間が動けるようになり次第移動を開始するという方向で進んでいる。
「ルヴィ団長! 王宮より、至急の伝令が来ております!」
と、そんな時、私に、第三王子であるルヴィ・アルトラに、伝令の騎士から声がかかる。
「申せ!」
「はっ! 王太子殿下よりの伝令です! 『瘴気に関して伝えたいことがある。ルヴィ・アルトラは至急王宮へ戻ること。また、ルヴィ・アルトラの役割は副団長が引き継ぐこと』とのことです!」
「? 瘴気の動向に異変でもあったか? いや、憶測ではどうにもならんな。副団長! 今のは聞いたな?」
「はっ! 早急に対処致します!」
この場に居るのは、第三王子としてのルヴィではなく、第二騎士団の団長としてのルヴィだ。しかし、こうして呼び出されたからには、第三王子として知らなければならない何かがあったということなのだろう。
「今より、私は第三王子として王宮へ戻る。ここは頼んだぞ?」
いくつかの伝達事項を副団長へと伝えた後、私は黒い愛馬スレーンへ跨がる。
「……頼むから、これ以上の悪化は止めてくれ」
そんな詮無いことを無意識に口にしながら、王宮へと馬を走らせた。
もちろん、全ての国が同じように対応したわけではない。他国では、王族が逃げ出したという話も聞いたし、民を犠牲にしてでも生き残ろうとした王族も居たそうだ。
しかし、そうした国は、今は確認できない。少なくとも、今残っていることが確認できている三国は、全て、王族が民を生かそうと必死に奔走している国々だ。
それは我々、アルトラ王国の王族も同じだ。国王陛下は、瘴気の侵食が確認されて数年後に、民を守るために城の敷地の中に菜園を作ったり、家畜小屋を作ったりした。他にも、農業や牧畜を奨励する政策を次々に発表しており、アルトラ王国では賢王として名高い。
ただ、現在は支援のために向かった先で行方知れずとなっており、ひとまずは王太子だったアルヴァンが国王代理として動いている状態だ。このまま、状況が変わらないままであれば、後数週間でアルヴァンは国王として正式に即位することとなる。
「おーい、こっちにも食料を持ってきてくれ!」
「了解っす! 団長!」
瘴気が侵食してきていても、その場から離れない人や離れられない人は存在する。
離れないと意志を固めている者を説得するのは至難の業だが、何らかの事情で離れられないだけならば、我々がこうして支援することで解決することもある。
この村も、そろそろ瘴気の侵食が進むとされている地域であり、私のような王族が率いる騎士団が支援を担当していた。
今回の村は、単純に食事が足らず、村人の移動が困難だったという状況だったため、ひとまず王宮から持ち込んだ食料を与えて、ほとんどの人間が動けるようになり次第移動を開始するという方向で進んでいる。
「ルヴィ団長! 王宮より、至急の伝令が来ております!」
と、そんな時、私に、第三王子であるルヴィ・アルトラに、伝令の騎士から声がかかる。
「申せ!」
「はっ! 王太子殿下よりの伝令です! 『瘴気に関して伝えたいことがある。ルヴィ・アルトラは至急王宮へ戻ること。また、ルヴィ・アルトラの役割は副団長が引き継ぐこと』とのことです!」
「? 瘴気の動向に異変でもあったか? いや、憶測ではどうにもならんな。副団長! 今のは聞いたな?」
「はっ! 早急に対処致します!」
この場に居るのは、第三王子としてのルヴィではなく、第二騎士団の団長としてのルヴィだ。しかし、こうして呼び出されたからには、第三王子として知らなければならない何かがあったということなのだろう。
「今より、私は第三王子として王宮へ戻る。ここは頼んだぞ?」
いくつかの伝達事項を副団長へと伝えた後、私は黒い愛馬スレーンへ跨がる。
「……頼むから、これ以上の悪化は止めてくれ」
そんな詮無いことを無意識に口にしながら、王宮へと馬を走らせた。
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