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第三夜
074.聖女とベアナード
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「ねえ、ベアさん。この格好いつまで続けるの?」
「……納得できるまで」
ベアナードは全裸のわたしをソファに横たえ、ずっと絵を描いている。デッサンというのかな。よくわからないけれど、いろんな角度からわたしの絵を描いている。
たぶん、あれ。セルゲイが依頼したやつ。裸像、だっけ。彫刻になるのかな。木彫り? わかんないや。とにかく、あれの下準備。
「ベアさんは職人なんだねぇ」
あくびをしながらベアナードを見やる。真剣にわたしを見つめているけれど、それは夫としてじゃない。職人としてだ。不思議な感じ。触れてほしいけれど、仕事の邪魔はしたくない。
そんな葛藤をしていたら、めっちゃ眠くなってきた。
ラルスの嘆願書を書くために、アールシュに文字を教えてもらおうと思ったら「あたし、字ぃ汚いわよ」と言った通りの字――ミミズがたくさんいるような字だった。アールシュにも欠点があるんだと感心しちゃった。
まぁでも、全然お手本にならないから、緑の扉を挟んでリヤーフに書いてもらったものを書き写していたんだよね。紙一枚くらいなら扉の隙間からやり取りできるから。リヤーフの字、めっちゃ綺麗。びっくりしちゃった。
わたしが言ったことをリヤーフに書いてもらって、わたしが清書する。リヤーフが書いたものそのままを提出してもいいのだけれど、代筆よりもやっぱり自分で書いておきたかったのだ。
朝から晩まで、ずぅっと文字とにらめっこ。鉛筆も消しゴムもないから、初めてインクとペンを使って文字を書いた。インクが滲むし、変なところにポタポタ落ちるし、乾いてなくて手につくし……結構酷い。慣れるまでこれが続くんだろうね。
だから、くたくた。
「ベアさん、寝ちゃうよー」
「……ああ」
「んもー……おやすみぃ」
一瞬だけ、ベアナードはわたしの頬にキスをして、また定位置に戻った。ランプはもう消さなくても大丈夫になったみたい。
ごめんね、ベアナード! セックスしたくなったら、勝手に体を使ってもらって構わないからね。
でもたぶん、しないだろうなぁ。わたしも、今はあんまりヤル気になれない。変なの。これもあの薬の副作用なのかな。
嘆願書でラルスの罪が減刑されるなら、本当に嬉しい。何日でも、何枚でも書いちゃう。それでも、黒翼地帯への追放が決まったらどうしよう。ラルスが死んじゃう。どうしよう。
そしたら、夫たちには悪いけれど、聖女宮に引きこもってボイコットしようかな。絶対に命の実をつけさせないぞ、夫といちゃいちゃしないぞ、と……そんな子どもじみた作戦で大丈夫なのかわからない。夫たちにも心配かけちゃうだろうし。
何が正解なんだろう。
どうすれば、ラルスが救われるんだろう。
わたしにはわからない。今はただ焦燥感だけで動いてしまっている。ただ、ラルスを助けたい。それだけなのに、本当に、難しいんだ。
ラルスのことを考えると夜も眠れないということはなくて、普通に寝入ってしまう。そんな繊細とは程遠い自分を、ちょっとだけ恨めしく思いながら。
翌朝、目が覚めるとベッドの上にいたのだけれど、ベアナードの姿はなかった。代わりに、朝早くにテレサが朝食を準備してくれていた。
「テレサ、もう大丈夫なの?」
「ええ。ご心配をおかけいたしました」
微笑むテレサはいつも通り。どうやら心臓が弱くなっているみたいだと医者から言われたらしい。「歳ですよ」とテレサは笑う。
「ねぇ、ベアトリーサ」
ソファに座ってテレサを見ると、少し困ったような顔でわたしを見つめている。もう否定はしないようだ。
「青の国出身なのね、テレサ」
「……もう、捨てた名前ですから」
「青の国で、あなたの子どもがあなたを探しているって、夫から聞いたの」
「もう、捨てた過去ですから」
捨てた捨てたって言う割に、コーンスープ、上手によそえていないじゃん。動揺してるじゃん、テレサ。黄色い液体が器の横についてるよ。
「過去ってそんな簡単に捨てられるもの? 子どもって、そんな簡単に忘れられるものなの?」
わたし、元の世界のことを忘れたくても、そこで育ててきてしまった劣等感や自己評価の低さは全然捨てられないんだけど。夫からの好意を素直に受け取ることができなかったんだけど。
忘れられる方法があるのなら、ぜひ教えてもらいたい。どんなコツがあるの? 名前を捨てたら、生まれ変われるものなの?
「……忘れられたら、良かったのでしょうね」
「まぁ、難しいよね」
「青の国に残してきたのは、わたくしの娘です」
テレサはゆっくり、言葉を選んで喋りだす。
「わたくしは元々は貴族の邸で働いておりました。しかし、その邸の主人が薬だと言ってわたくしに命の実を食べさせ、手をつけたことから……娘を身籠ることになりました」
うわぁ、酷い。同意の上の妊娠じゃなかったってことね? 堕胎薬も使わせてもらえなかったのね? 命の実を隠し持つことができるような人がいる、と言っていたのはラルスだったかな。昔から、そういうことがあったんだなぁ。
「生まれたばかりの娘は奥様に取り上げられ、わたくしは授乳期が終わったら、幾ばくかの手切れ金とともに邸を追い出されました。出産の折に亡くなる女もおりますので、子どもを生むことを恐れる女主人が、使用人に子どもを生ませるということは昔から多く例がございました。わたくしにはどうしようもなかったのです」
怖いなー! 紫の国や茶の国も割と怖いと思っていたけど、青の国も陰湿な風習が残っているんだねぇ。とは言っても、テレサの年齢から考えると……四十、五十年前くらいの話? じゃあ、セルゲイの「大切な人」ってそれくらいの年齢ってことかな?
「娘はイリーナと名づけられ、その貴族の邸で何不自由なく過ごしていたようです。しかし、わたくしが追い出されたあと……没落し、家も取り潰され、一家は離散したと聞いています」
「テレサはイリーナを連れ戻さなかったの?」
「貴族が没落したとき、わたくしは別の国におりました。一家離散を知ったときには、もうイリーナはどこへ行ったのかわからなくなっておりましたので」
「タイミングが悪かったんだねぇ」
イリーナとセルゲイの関係はわからないけれど、もしかしたらイリーナは娼婦になっていたのかもしれない。セルゲイの実家でお世話になっていたのかも。
「わたしは『探して欲しい』って言われただけだから、セルゲイには『見つけたよ』って報告するだけだけど、会いたい、会わせて欲しいって言われたら、どうする?」
テレサは視線をさまよわせる。
自分の手から取り上げられた子どもに会いたいという気持ちはわかる。けれど、同時に恐怖も感じるだろう。罵られるのではないか、憎まれているのではないか、それを受け止められるだけの力がテレサにはあるのかどうか。
「……青の君がなさりたいように、してくださいませ。わたくしには拒否する権利はありません」
「そっか。じゃあ、セルゲイには聞かれるまで黙っておこうか?」
「……え」
「『聞かれなかったので言いませんでした』ってやつ。嘘をつくわけじゃないんだから、別にいいよね」
テレサはわかりやすく動揺している。わたしがそんなことを言い出すとは思わなかったのだろう。
「聖女様、ご夫君を欺くのは感心いたしません」
「じゃあ、テレサ、どうなってもいいのね?」
「はい」
「じゃ、見つけたよって報告しておくね。どうするのかは、セルゲイ次第、イリーナ次第だということで」
テレサは頷く。
たぶん、本当は会いたいんだろうな。罵られても、憎まれてもいいから、子どもの元気な姿を見てみたい。それが親なんだろう。子どものことを忘れたなんて、わたしにそんな見え透いた嘘をつかなくてもいいのに。
「あ、そうだ。この世界の女の人って生理はあるの?」
「せいり……?」
「毎月、血が出ないの?」
「不注意で怪我をすると出ますが」
この反応! どうやら、生理はないみたいだなぁ。命の実を食べたときだけ妊娠する体なんだろう。生理がないなんて羨ましい! わたしもその体が欲しい!
「ねぇ、テレサ。命の実って、食べるとセックスしたくなる?」
「セッ……ああ、欲を解放したくなるのか、ということですか?」
「そう、それ!」
テレサは「食べたのは一度きりですから」と断りを入れ、昔のことを思い出しながら答えてくれる。
「言われてみれば、食べたあとはどうしようもなくそういう気分になったような気がします」
「じゃあ、命の実を食べてセックスをすると絶対に子どもができる、っていうシステムなのかな?」
「七聖教の教えでは、命の実を食べる前後での欲の解放は、必ずしも必要ではありません」
「そっか、近くにいればいいんだっけ? でも、遠くにいると妊娠しないんだもんなぁ。半径一メートルの範囲内の卵子と精子をくっつけるとか、そういうものなのかなぁ」
「仰っている意味がよくわかりません」
だよね! わたしもよくわからなくなってきたよ! 夫たちが出している精液の中に、精子がいるのかどうかもわからないんだもん。一応白い体液だけど、あれ精液って呼んでいいのかな。
ほんと、この世界の理屈がわかんないや! 研究者とかいないのかな? 夫と妻の髪色と目の色、それから命の実の色が、子どもにどう影響するのか、とか。めっちゃ組み合わせが気になるじゃん。誰か研究していないのかな?
「そういえば、テレサって綺麗な水色の髪をしていたの?」
「ええ。今はこんなに真っ白になってしまいましたけれど」
「えー、見てみたかったなぁ」
カラフルな髪の色や瞳の色は、見ているだけでとても楽しい。だから、わたしの子どももきっと見ているだけで楽しいんだろう。
子ども、かぁ。
結局、わたしは誰の子どもを最初に生めばいいんだろう? ヒューゴ以外で。
ラルスのことが落ち着いたら、考えよう。今はとにかくラルスのことしか考えらんない。テレサに「紙をいっぱい持ってきて」と頼んで、今日もせっせと文字を書こう。
ラルスが追放されませんように。会えなくてもいいから、これから先もどこかで生きていてくれますように。ただそれだけを祈りながら、書くんだ。
「……納得できるまで」
ベアナードは全裸のわたしをソファに横たえ、ずっと絵を描いている。デッサンというのかな。よくわからないけれど、いろんな角度からわたしの絵を描いている。
たぶん、あれ。セルゲイが依頼したやつ。裸像、だっけ。彫刻になるのかな。木彫り? わかんないや。とにかく、あれの下準備。
「ベアさんは職人なんだねぇ」
あくびをしながらベアナードを見やる。真剣にわたしを見つめているけれど、それは夫としてじゃない。職人としてだ。不思議な感じ。触れてほしいけれど、仕事の邪魔はしたくない。
そんな葛藤をしていたら、めっちゃ眠くなってきた。
ラルスの嘆願書を書くために、アールシュに文字を教えてもらおうと思ったら「あたし、字ぃ汚いわよ」と言った通りの字――ミミズがたくさんいるような字だった。アールシュにも欠点があるんだと感心しちゃった。
まぁでも、全然お手本にならないから、緑の扉を挟んでリヤーフに書いてもらったものを書き写していたんだよね。紙一枚くらいなら扉の隙間からやり取りできるから。リヤーフの字、めっちゃ綺麗。びっくりしちゃった。
わたしが言ったことをリヤーフに書いてもらって、わたしが清書する。リヤーフが書いたものそのままを提出してもいいのだけれど、代筆よりもやっぱり自分で書いておきたかったのだ。
朝から晩まで、ずぅっと文字とにらめっこ。鉛筆も消しゴムもないから、初めてインクとペンを使って文字を書いた。インクが滲むし、変なところにポタポタ落ちるし、乾いてなくて手につくし……結構酷い。慣れるまでこれが続くんだろうね。
だから、くたくた。
「ベアさん、寝ちゃうよー」
「……ああ」
「んもー……おやすみぃ」
一瞬だけ、ベアナードはわたしの頬にキスをして、また定位置に戻った。ランプはもう消さなくても大丈夫になったみたい。
ごめんね、ベアナード! セックスしたくなったら、勝手に体を使ってもらって構わないからね。
でもたぶん、しないだろうなぁ。わたしも、今はあんまりヤル気になれない。変なの。これもあの薬の副作用なのかな。
嘆願書でラルスの罪が減刑されるなら、本当に嬉しい。何日でも、何枚でも書いちゃう。それでも、黒翼地帯への追放が決まったらどうしよう。ラルスが死んじゃう。どうしよう。
そしたら、夫たちには悪いけれど、聖女宮に引きこもってボイコットしようかな。絶対に命の実をつけさせないぞ、夫といちゃいちゃしないぞ、と……そんな子どもじみた作戦で大丈夫なのかわからない。夫たちにも心配かけちゃうだろうし。
何が正解なんだろう。
どうすれば、ラルスが救われるんだろう。
わたしにはわからない。今はただ焦燥感だけで動いてしまっている。ただ、ラルスを助けたい。それだけなのに、本当に、難しいんだ。
ラルスのことを考えると夜も眠れないということはなくて、普通に寝入ってしまう。そんな繊細とは程遠い自分を、ちょっとだけ恨めしく思いながら。
翌朝、目が覚めるとベッドの上にいたのだけれど、ベアナードの姿はなかった。代わりに、朝早くにテレサが朝食を準備してくれていた。
「テレサ、もう大丈夫なの?」
「ええ。ご心配をおかけいたしました」
微笑むテレサはいつも通り。どうやら心臓が弱くなっているみたいだと医者から言われたらしい。「歳ですよ」とテレサは笑う。
「ねぇ、ベアトリーサ」
ソファに座ってテレサを見ると、少し困ったような顔でわたしを見つめている。もう否定はしないようだ。
「青の国出身なのね、テレサ」
「……もう、捨てた名前ですから」
「青の国で、あなたの子どもがあなたを探しているって、夫から聞いたの」
「もう、捨てた過去ですから」
捨てた捨てたって言う割に、コーンスープ、上手によそえていないじゃん。動揺してるじゃん、テレサ。黄色い液体が器の横についてるよ。
「過去ってそんな簡単に捨てられるもの? 子どもって、そんな簡単に忘れられるものなの?」
わたし、元の世界のことを忘れたくても、そこで育ててきてしまった劣等感や自己評価の低さは全然捨てられないんだけど。夫からの好意を素直に受け取ることができなかったんだけど。
忘れられる方法があるのなら、ぜひ教えてもらいたい。どんなコツがあるの? 名前を捨てたら、生まれ変われるものなの?
「……忘れられたら、良かったのでしょうね」
「まぁ、難しいよね」
「青の国に残してきたのは、わたくしの娘です」
テレサはゆっくり、言葉を選んで喋りだす。
「わたくしは元々は貴族の邸で働いておりました。しかし、その邸の主人が薬だと言ってわたくしに命の実を食べさせ、手をつけたことから……娘を身籠ることになりました」
うわぁ、酷い。同意の上の妊娠じゃなかったってことね? 堕胎薬も使わせてもらえなかったのね? 命の実を隠し持つことができるような人がいる、と言っていたのはラルスだったかな。昔から、そういうことがあったんだなぁ。
「生まれたばかりの娘は奥様に取り上げられ、わたくしは授乳期が終わったら、幾ばくかの手切れ金とともに邸を追い出されました。出産の折に亡くなる女もおりますので、子どもを生むことを恐れる女主人が、使用人に子どもを生ませるということは昔から多く例がございました。わたくしにはどうしようもなかったのです」
怖いなー! 紫の国や茶の国も割と怖いと思っていたけど、青の国も陰湿な風習が残っているんだねぇ。とは言っても、テレサの年齢から考えると……四十、五十年前くらいの話? じゃあ、セルゲイの「大切な人」ってそれくらいの年齢ってことかな?
「娘はイリーナと名づけられ、その貴族の邸で何不自由なく過ごしていたようです。しかし、わたくしが追い出されたあと……没落し、家も取り潰され、一家は離散したと聞いています」
「テレサはイリーナを連れ戻さなかったの?」
「貴族が没落したとき、わたくしは別の国におりました。一家離散を知ったときには、もうイリーナはどこへ行ったのかわからなくなっておりましたので」
「タイミングが悪かったんだねぇ」
イリーナとセルゲイの関係はわからないけれど、もしかしたらイリーナは娼婦になっていたのかもしれない。セルゲイの実家でお世話になっていたのかも。
「わたしは『探して欲しい』って言われただけだから、セルゲイには『見つけたよ』って報告するだけだけど、会いたい、会わせて欲しいって言われたら、どうする?」
テレサは視線をさまよわせる。
自分の手から取り上げられた子どもに会いたいという気持ちはわかる。けれど、同時に恐怖も感じるだろう。罵られるのではないか、憎まれているのではないか、それを受け止められるだけの力がテレサにはあるのかどうか。
「……青の君がなさりたいように、してくださいませ。わたくしには拒否する権利はありません」
「そっか。じゃあ、セルゲイには聞かれるまで黙っておこうか?」
「……え」
「『聞かれなかったので言いませんでした』ってやつ。嘘をつくわけじゃないんだから、別にいいよね」
テレサはわかりやすく動揺している。わたしがそんなことを言い出すとは思わなかったのだろう。
「聖女様、ご夫君を欺くのは感心いたしません」
「じゃあ、テレサ、どうなってもいいのね?」
「はい」
「じゃ、見つけたよって報告しておくね。どうするのかは、セルゲイ次第、イリーナ次第だということで」
テレサは頷く。
たぶん、本当は会いたいんだろうな。罵られても、憎まれてもいいから、子どもの元気な姿を見てみたい。それが親なんだろう。子どものことを忘れたなんて、わたしにそんな見え透いた嘘をつかなくてもいいのに。
「あ、そうだ。この世界の女の人って生理はあるの?」
「せいり……?」
「毎月、血が出ないの?」
「不注意で怪我をすると出ますが」
この反応! どうやら、生理はないみたいだなぁ。命の実を食べたときだけ妊娠する体なんだろう。生理がないなんて羨ましい! わたしもその体が欲しい!
「ねぇ、テレサ。命の実って、食べるとセックスしたくなる?」
「セッ……ああ、欲を解放したくなるのか、ということですか?」
「そう、それ!」
テレサは「食べたのは一度きりですから」と断りを入れ、昔のことを思い出しながら答えてくれる。
「言われてみれば、食べたあとはどうしようもなくそういう気分になったような気がします」
「じゃあ、命の実を食べてセックスをすると絶対に子どもができる、っていうシステムなのかな?」
「七聖教の教えでは、命の実を食べる前後での欲の解放は、必ずしも必要ではありません」
「そっか、近くにいればいいんだっけ? でも、遠くにいると妊娠しないんだもんなぁ。半径一メートルの範囲内の卵子と精子をくっつけるとか、そういうものなのかなぁ」
「仰っている意味がよくわかりません」
だよね! わたしもよくわからなくなってきたよ! 夫たちが出している精液の中に、精子がいるのかどうかもわからないんだもん。一応白い体液だけど、あれ精液って呼んでいいのかな。
ほんと、この世界の理屈がわかんないや! 研究者とかいないのかな? 夫と妻の髪色と目の色、それから命の実の色が、子どもにどう影響するのか、とか。めっちゃ組み合わせが気になるじゃん。誰か研究していないのかな?
「そういえば、テレサって綺麗な水色の髪をしていたの?」
「ええ。今はこんなに真っ白になってしまいましたけれど」
「えー、見てみたかったなぁ」
カラフルな髪の色や瞳の色は、見ているだけでとても楽しい。だから、わたしの子どももきっと見ているだけで楽しいんだろう。
子ども、かぁ。
結局、わたしは誰の子どもを最初に生めばいいんだろう? ヒューゴ以外で。
ラルスのことが落ち着いたら、考えよう。今はとにかくラルスのことしか考えらんない。テレサに「紙をいっぱい持ってきて」と頼んで、今日もせっせと文字を書こう。
ラルスが追放されませんように。会えなくてもいいから、これから先もどこかで生きていてくれますように。ただそれだけを祈りながら、書くんだ。
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