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第二夜
054.茶の君との第二夜(二)
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相変わらず、太くて硬い、なかなかのモノ。オーウェンのものとそう変わらない。けれど、難なく飲み込めてしまうのは、中がぐずぐずにとろけてしまっているから。
「あぁ、っベア、ナード」
「……イズミ、すまない。長くはもたない」
大丈夫、遅漏よりも早漏のほうが好きだよ。ベアナードは十分気持ち良くさせてくれるし。七日分の精液は想像つかないけれど。
「……あぁ、こんなに……」
「気持ち、いい?」
「ああ。吸い付いてくる」
「ベアナードが、イカせてくれた、おかげ、っだよ」
じわじわ奥を目指してくる熱杭が憎い。ひと思いに奥まで貫いてもらいたいのに。まぁ、ベアナードが色っぽく溜め息をついてくれるから、いいか。我慢しているんだなぁ。
「ベアナード、奥まで来て」
「……ああ。動くぞ」
余裕がないんだと、すぐにわかる。前はこんなに強く擦って来なかった。こんなに強く揺さぶられなかった。丁寧さと優しさがほんの少しどこかへ行っちゃったみたい。ちょっと痛いけど、気持ちいい。
「……イズミ」
「ベアさん、気持ち、いっ……あ、あぁ」
「そんなに締めると出てしまう」
出していいんだよ。七日ぶりなんだもの。遠慮しないで。
わたしはベアナードの腕にしがみつく。太くて、少し汗ばんだ腕に顔を寄せる。
「ベアナード、好き」
びくんと夫の体が揺れた。「あぁ」という色っぽい声が落ちてくる。尖端が最奥を何度も穿ち、夫が果てたことを知らせてくれる。
夫はどうやら「好き」でイッちゃったみたい。今夜はそんなに言葉攻めしていないのになぁ。可愛い。
ベアナードがゆっくり腰を引いていく。中から熱がなくなるのは寂しい。けれど、尖端が膣口から引き抜かれると同時に、尋常じゃないほどの精液がどろどろと零れ出る気配がある。
……あぁ、七日分、ね。
「いっぱい出たねぇ」
「……見てみたい」
割とベアナードもド変態だね。いそいそとランプカバーを外し、わたしの下腹部のあたりに持ってくる。もちろん、恥ずかしいなんていう気持ちはない。開脚したままちょっとお腹に力を入れると、どろりと精液が漏れ出る。夫は何が楽しいのかそれをしばらく眺めている。
「七日ぶりは気持ちよかった?」
「……ああ。しかし、こんなに出るものだとは」
薄明かりのランプに照らされた夫の優しげな顔と、鍛え抜かれた体。と、胸に浮かび上がる黒いもの。タトゥーのような模様に見える。
触れようとすると、ベアナードは慌ててランプをテーブルに置く。見られてはいけないものだったのか、わたしに背を向けて服を着始める。
「ベアナード」
「……すまない。恐ろしいものを見せてしまった」
「何、それ」
「……昔の、ものだ」
ベアナードの力には敵わない。けれど、フットワークの軽さを侮ってはいけない。ちょっと! 見せて!
わたしがうろちょろして邪魔だったのか、ベアナードは観念してこちらを向いてくれた。その胸に刻まれていた真っ黒なものを、わたしは知っている。五つの花弁のある、花。
「聖樹の花?」
「……ああ」
「なんで、逆さまなの?」
「……烙印。不貞の証だ」
一夫一婦制の茶の国では、不義の子に逆さの花の印を刻むのだそうだ。家督を継ぐことができないように。
「子どもだけ?」
「ああ」
焼印ではないみたいだけれど、タトゥーを彫るのは痛いはず。なんで、そんな酷い印を子どもに刻むのだろう。意味がわからない。
「怖いか?」
「全然。だから、隠さなくてもいいよ」
「……そう、か」
ベアナードの唇が優しくわたしの頬に触れる。夫の太腿に跨がり、キスをする。明かりは消えていない。恥ずかしがり屋の夫は、どうやら納得するような答えを手に入れたようだ。せっかくカバー作ったんだけど、もう使わないかな。必要がなくなったなら、いいや。
「そういう風習があるの、茶の国だけ?」
「……わからん。これは、母が後妻として迎えられた家のものに刻まれたものだ。だから、正確に言うと、オレは……不貞行為でできた子ではない」
にもかかわらず、生まれた子どもにそういうことしちゃうんだ? やだやだ、怖い! 茶の国、意外と陰険じゃないの! ベアナードが結婚できなかったのって、顔が怖いからとかじゃなくて、そういう風習が残っていたからなんじゃないの?
「わ、わたし、ベアナードの子どもには絶対そんなことしないからね!」
一妻多夫制だから、関係ないよね!? ベアナードが「彫る」と言っても、全力で止めるからね!
「……子ども」
「わたし、聖女だからそんなことしなくてもいいよね? 子どもが自分からやりたいって言うならまだしも、大人が勝手にやらせるのは、ちが――」
ぐるん、と視界が回転する。いつの間にか、ベアナードが上になっている。……マジか。第二ラウンド? すぐ出るわけ……ないよね? 一回出しちゃったもんね。耐えられるかなー、わたし。
「……望んで、くれるのか? オレの子を」
「えっ、うん。ベアナードが嫌じゃなければ、いつか」
何度も、唇が落ちてくる。薄暗い中でのキス。ごつごつとした褐色の指が、わたしの肌の上を滑る。そのコントラストが、すごく、卑猥。
「イズミ」
「はい」
「……オレは、自分の子を持てないのだと、ずっと思っていた。こんなオレを、求めてくれる人など、いないと……イズミは、望んでくれるのか?」
「ん、いいよ」
知ってる。自分を受け入れてくれる人がいるって、気持ちがいいことだよね。知ってる。
「……嫌じゃない。一番に、とも言わない。だから」
だから、に続く言葉はわかっている。けれど、言わせたい。わたしはそれを待つ。ベアナードの言葉を待つ。彼の勇気を待ちたい。
「……いつか、オレの子を、生んでほしい」
気持ちいいんだよ。自分を受け入れてくれる人がいるって。心が震えるほどに、気持ちいい。本当に。
「いいよ」
ぎゅうぎゅうと抱きしめられながら、わたしは笑う。気持ちよすぎて、求められているのがわたしなのか聖女なのか、どうでもよくなっちゃう。きっと、どうでもよくないのに。
でも、やっぱり、どっちかなんて怖くて聞けない。ヘタレだなぁ、わたし。ダメだなぁ。
「あぁ、っベア、ナード」
「……イズミ、すまない。長くはもたない」
大丈夫、遅漏よりも早漏のほうが好きだよ。ベアナードは十分気持ち良くさせてくれるし。七日分の精液は想像つかないけれど。
「……あぁ、こんなに……」
「気持ち、いい?」
「ああ。吸い付いてくる」
「ベアナードが、イカせてくれた、おかげ、っだよ」
じわじわ奥を目指してくる熱杭が憎い。ひと思いに奥まで貫いてもらいたいのに。まぁ、ベアナードが色っぽく溜め息をついてくれるから、いいか。我慢しているんだなぁ。
「ベアナード、奥まで来て」
「……ああ。動くぞ」
余裕がないんだと、すぐにわかる。前はこんなに強く擦って来なかった。こんなに強く揺さぶられなかった。丁寧さと優しさがほんの少しどこかへ行っちゃったみたい。ちょっと痛いけど、気持ちいい。
「……イズミ」
「ベアさん、気持ち、いっ……あ、あぁ」
「そんなに締めると出てしまう」
出していいんだよ。七日ぶりなんだもの。遠慮しないで。
わたしはベアナードの腕にしがみつく。太くて、少し汗ばんだ腕に顔を寄せる。
「ベアナード、好き」
びくんと夫の体が揺れた。「あぁ」という色っぽい声が落ちてくる。尖端が最奥を何度も穿ち、夫が果てたことを知らせてくれる。
夫はどうやら「好き」でイッちゃったみたい。今夜はそんなに言葉攻めしていないのになぁ。可愛い。
ベアナードがゆっくり腰を引いていく。中から熱がなくなるのは寂しい。けれど、尖端が膣口から引き抜かれると同時に、尋常じゃないほどの精液がどろどろと零れ出る気配がある。
……あぁ、七日分、ね。
「いっぱい出たねぇ」
「……見てみたい」
割とベアナードもド変態だね。いそいそとランプカバーを外し、わたしの下腹部のあたりに持ってくる。もちろん、恥ずかしいなんていう気持ちはない。開脚したままちょっとお腹に力を入れると、どろりと精液が漏れ出る。夫は何が楽しいのかそれをしばらく眺めている。
「七日ぶりは気持ちよかった?」
「……ああ。しかし、こんなに出るものだとは」
薄明かりのランプに照らされた夫の優しげな顔と、鍛え抜かれた体。と、胸に浮かび上がる黒いもの。タトゥーのような模様に見える。
触れようとすると、ベアナードは慌ててランプをテーブルに置く。見られてはいけないものだったのか、わたしに背を向けて服を着始める。
「ベアナード」
「……すまない。恐ろしいものを見せてしまった」
「何、それ」
「……昔の、ものだ」
ベアナードの力には敵わない。けれど、フットワークの軽さを侮ってはいけない。ちょっと! 見せて!
わたしがうろちょろして邪魔だったのか、ベアナードは観念してこちらを向いてくれた。その胸に刻まれていた真っ黒なものを、わたしは知っている。五つの花弁のある、花。
「聖樹の花?」
「……ああ」
「なんで、逆さまなの?」
「……烙印。不貞の証だ」
一夫一婦制の茶の国では、不義の子に逆さの花の印を刻むのだそうだ。家督を継ぐことができないように。
「子どもだけ?」
「ああ」
焼印ではないみたいだけれど、タトゥーを彫るのは痛いはず。なんで、そんな酷い印を子どもに刻むのだろう。意味がわからない。
「怖いか?」
「全然。だから、隠さなくてもいいよ」
「……そう、か」
ベアナードの唇が優しくわたしの頬に触れる。夫の太腿に跨がり、キスをする。明かりは消えていない。恥ずかしがり屋の夫は、どうやら納得するような答えを手に入れたようだ。せっかくカバー作ったんだけど、もう使わないかな。必要がなくなったなら、いいや。
「そういう風習があるの、茶の国だけ?」
「……わからん。これは、母が後妻として迎えられた家のものに刻まれたものだ。だから、正確に言うと、オレは……不貞行為でできた子ではない」
にもかかわらず、生まれた子どもにそういうことしちゃうんだ? やだやだ、怖い! 茶の国、意外と陰険じゃないの! ベアナードが結婚できなかったのって、顔が怖いからとかじゃなくて、そういう風習が残っていたからなんじゃないの?
「わ、わたし、ベアナードの子どもには絶対そんなことしないからね!」
一妻多夫制だから、関係ないよね!? ベアナードが「彫る」と言っても、全力で止めるからね!
「……子ども」
「わたし、聖女だからそんなことしなくてもいいよね? 子どもが自分からやりたいって言うならまだしも、大人が勝手にやらせるのは、ちが――」
ぐるん、と視界が回転する。いつの間にか、ベアナードが上になっている。……マジか。第二ラウンド? すぐ出るわけ……ないよね? 一回出しちゃったもんね。耐えられるかなー、わたし。
「……望んで、くれるのか? オレの子を」
「えっ、うん。ベアナードが嫌じゃなければ、いつか」
何度も、唇が落ちてくる。薄暗い中でのキス。ごつごつとした褐色の指が、わたしの肌の上を滑る。そのコントラストが、すごく、卑猥。
「イズミ」
「はい」
「……オレは、自分の子を持てないのだと、ずっと思っていた。こんなオレを、求めてくれる人など、いないと……イズミは、望んでくれるのか?」
「ん、いいよ」
知ってる。自分を受け入れてくれる人がいるって、気持ちがいいことだよね。知ってる。
「……嫌じゃない。一番に、とも言わない。だから」
だから、に続く言葉はわかっている。けれど、言わせたい。わたしはそれを待つ。ベアナードの言葉を待つ。彼の勇気を待ちたい。
「……いつか、オレの子を、生んでほしい」
気持ちいいんだよ。自分を受け入れてくれる人がいるって。心が震えるほどに、気持ちいい。本当に。
「いいよ」
ぎゅうぎゅうと抱きしめられながら、わたしは笑う。気持ちよすぎて、求められているのがわたしなのか聖女なのか、どうでもよくなっちゃう。きっと、どうでもよくないのに。
でも、やっぱり、どっちかなんて怖くて聞けない。ヘタレだなぁ、わたし。ダメだなぁ。
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感想募集中。更新中は励みになりますし、完結後は次回作への糧になります。
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