【R18】肉食聖女と七人のワケあり夫たち

千咲

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第一夜

032.茶の君との初夜(三)

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 目を覚ますと、ベアナードは既に服を着て朝食を食べていた。わたしが目を覚ましたことに気づくと、水やパンを枕元に持ってきてくれる。

「おはよ、ベアさん」
「……ああ。つらくはないか?」
「つらいー! めっちゃしんどかったー!」

 わたしが布団の中でジタバタ暴れると、ベアナードは戸惑った様子で「すまない」と謝る。冗談だよ、と笑いながら、ベアナードの頬に触れる。

「明るいところでキスするのは嫌?」
「……オレは、怖いだろう?」
「どこが? ベアさん、優しいじゃん。顔が怖いってこと? 彫りが深くてめっちゃ格好いいよ。体が大きいなとは思うけど、別に怖くはないよ」

 ベアナードは目を丸くしてわたしを見下ろしている。なるほど、「怖い」と言われすぎて容姿にコンプレックスを抱いているわけね? だから、照れ屋な性格も相まって、容姿が見えない暗闇が大好きってわけね?

「わたし、ベアさんの顔見ながらいちゃいちゃしたいな。暗闇の中でするのも嫌いじゃないけど、できればベアさんの表情を見たい」

 わたし、夫がイッてるときの顔好きなんだよね。我慢している顔も好き。すごくセクシーだもん。わたしの体で気持ち良くなっている姿をずっと見ていたい。

「それに、わたしだけベアさんの体見られないって不公平じゃん。わたしのは見たんでしょ?」
「……ああ」

 ベアナードが真っ赤になっている。褐色の肌なのに、それはわかる。たぶん、朝起きてからめっちゃ見たんだろうな。触れたんだろうな。もう! むっつりスケベアナード! 語呂が良すぎる!

「わたしはベアさんのことが怖くない。だから、ベアさんの顔を見ながら、明るいところでいちゃいちゃしたい。でも、強要はしない。ベアさんがしたいと思ったときに、しよう」

 掛け布団をガバとベアナードの頭にかける。薄暗い中で、夫にキスをする。拒絶はされないので、ベアナードも納得はしているのだろう。

「それに、ベアさんもわたしの裸見たくない?」

 ベアナードの腕を取り、わたしの胸へ導く。

「真っ暗だと揺れてるところとか、挿入ってるところとか、しっかり見られないよね? わたしは見たいな。ベアナードに犯されているところ」

 ベアナードの舌が挿入ってくる。彼の手のひらは胸を揉み、指が頂きを弾く。あ、ダメ、それすぐ気持ち良くなっちゃう。

「……ここ、弱いな」
「ん、好き。舐める?」
「……二つ時に間に合わなくなるぞ」
「うーん、それは困るなぁ」

 薄い掛け布団の下で笑って、キスだけをする。ベアナードの笑顔は、やっぱり全然怖くない。格好いい。

「ベアさん、格好いい」
「……そうか」
「信じてないでしょ? 格好いいよ、めっちゃイケメン」

 照れているベアナードは可愛い。何度も何度もキスをして、戯れる。こういういちゃいちゃは嫌いじゃない。

「あ、でも、一つだけ約束してほしいことがあるんだけど」
「……何だ?」
「次に会うときまで、一人で欲を解放しないで」

 ベアナードが言葉に詰まる。どうやら結構な頻度でやっているみたいね? たぶん、それが遅漏の原因だと思うんだけどな。

「まずは七日、我慢してみて」
「……善処、する」
「ううん、命令。我慢して。わたしの中でイケるようになるまで」

 ベアナードはしばらく無言になり、何度目かのキスでようやく「わかった」と了承した。彼にとっては、禁欲はかなりの負担らしい。そんなに渋るなんて、余程好きなんだなぁ、自慰をするのが。
 中でイッて欲しいと思うのはわたしの我儘だから、難しいようなら昨夜のようなパターンでもいいのだけど。まぁ、この先何年も抱き合うのだから、ちょっとくらい我慢してみるのもアリじゃないかな?

「……イズミ」
「なぁに?」
「少しだけ、指を中に挿れたい。昨夜オレが出したものを、その、見てみたい」

 ベアナードの変態! でも、そういうのは嫌いじゃない。「しょうがないなぁ」と笑って、わたしは寝転がる。そうして、キスをねだりながら、夫の指を咥え込む。
 もちろん、スイッチが入ってしまって、ベアナードに何度かイカされることになるのだけれど。夫は服を脱ぐことも、挿入してくることも、なかった。
 このこだわりを捨てさせるのは、大変かもしれないなぁ。まぁ、今のままでも十分気持ちいいから、ちょっとずつ改善できれば、いいかな。


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