【R18】肉食聖女と七人のワケあり夫たち

千咲

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第一夜

015.黄の君との初夜(一)

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「わっ、私はヒューゴ。黄の国侯爵家の三男です。ほほ本日は聖女様のおそばにはべられれれ、は、侍られる、こと、畏れ多くも、大変名誉なことと、誠に、存じます」

 グダグダじゃん。ふわふわ癖っ毛の金髪男子、めっちゃグダグダじゃーん。笑うのを我慢したわたしを誰か褒めて。めっちゃ讃えて。ちょー頑張ったよ、わたし。

「わたしは和泉。よろしくね、ヒューゴ」
「イズミ、イズミさん……なんて美しく素晴らしい名前なんでしょう」

 もうね、普通のセックスをするの、早々に諦めたわ。ヒューゴ、確実に童貞でしょ。見りゃわかる。だって、顔は真っ赤だし、右手と右足同時に出てるもん。

「ヒューゴ、そんなに緊張しなくても」
「い、いえ、緊張なんて」
「してない?」
「……して、しています、すみません」

 素直な青年は好きだな。年齢を聞くと、二十一。わたしと一個違いかぁ。オーウェンもセルゲイも少し上だったから、少し親近感。
 廊下を歩きながらちょっと手が触れ合うだけで、顔を真っ赤にしたまま壁にぶつかって挙動不審になるんだもんな。ヒューゴ、可愛いじゃないの。まぁ、わざと触れてみたんだけど。

「黄の国ってカレーって料理ある?」
「華麗? 飾り立てた料理ならありますが」
「スパイスとかは使わないの?」
「香辛料を多く使う料理はあまり聞きませんね。香辛料をよく使うのは、黄の国よりも橙の国です。黄の国はどちらかと言うと、香草を使う料理のほうが多いのです。香草も大変種類が多く」

 ヒューゴは緊張すると饒舌かつ早口になるみたい。香草に関しては興味ないから、適当に相槌を打っておく。
 黄色の国だからと言ってカレーがあるとは限らないらしい。戦隊モノのカラーはあてにならないのね。
 ヒューゴの手を不意打ちで握ってみると、彼はいきなり立ち止まってしまった。しっとりと汗ばんだ手のひら。ランプに照らされた夫の顔は、相変わらず真っ赤だ。

「あっ、あの、イズミさん、私は、その、女の人に大変不慣れなもので、どうしても真っ赤になってしまうものですから、その、不愉快な思いをなさるかと思いますが、決してあなた様が嫌だと言うわけではなく、むしろ好ましく思っているがゆえに」
「はい、はい」
「そうなんです、聖女様の夫に選ばれることは大変名誉なことであり、身に余る光栄なのですが、私はこういう性格なので、何度も見合い相手に逃げられておりまして」
「へーそうなんだぁ」

 わたしは生返事をしながらヒューゴの手を引き、さっさと部屋に入る。それから、隣の支度部屋を通過して、寝室へとたどり着く。

「イ、イズミさ」

 ランプをドアノブに引っ掛けて、ヒューゴをぐいと壁に押し付ける。右手は夫の脇の下で、壁につけている。ふふふ、壁ドンである。一回やってみたかったんだよね、壁ドン。
 そして、戸惑うヒューゴの熱い頬をがっしりと固定して、唇を奪っておく。これで余計なお喋りはできないでしょ。カチンコチンのヒューゴは、わたしが何度も唇を押し当てていると、少しずつ、ぎこちなく、体を弛緩させてきた。

「イズミ、さん」
「口、開けられる?」

 そんなあんぐり開けなくていいんだけど。わたしは苦笑しながら、熱い頬にキスをする。何度も何度も顔にキスをして、ちょっと落ち着いた頃にまた唇にキス。うん、もうカチコチじゃない。
 だらしなく開いた口に舌を侵入させると、ヒューゴの体がビクリと震える。ぎゅうと目を閉じている夫を可愛く思う。恐る恐る応じてきた舌をつつき、ゆっくりと絡め合う。ヒューゴは素直だ。嫌がることもなく、ただ身を任せてくれる。
 わたしは夫の下腹部に膝を押し当てて、それを確認する。こちらは既にカチコチ。大きさも硬さも申し分ない。今夜こそはありつける! 期待しかない。

 さて、どこでいただこうかしら、と家具の配置を考える。出入り口に一番近いのはソファだけど、童貞くんと交わるにはちょっと向かない。もちろん、今いる壁際は論外。立ったままは難しいでしょ。じゃあ、やっぱりベッドかな。
 決めたらすぐにランプを取り、ヒューゴの手を引く。途中でキスを切り上げられて不満そうな夫は、しかし何も言わずについてくる。彼に靴を脱いでベッドに上がるよう指示すると、その通りに従う。

「あの、イズミさん、私はその、経験が全く」

 お喋りな口を塞ぎ、わたしはヒューゴの上に乗る。ズボンのボタンを外し、布越しに立派な剛直に触れる。既に尖端が濡れたそれに気づき、わたしは笑う。準備は万端の様子だ。
 ショーツの紐を取り払い、ヒューゴの手をわたしの秘部に導く。熱い指先が濡れた割れ目を撫でる。ヒューゴはごくりと喉を鳴らし、ゆっくりと指の腹を往復させ、ぬかるみを確認する。そう、わたしも準備万端なの。

「ヒューゴ、挿れたい?」

 熱杭を取り出し、割れ目に宛てがいながら、意地の悪い問いかけをする。オーウェンは我慢できずに暴発したけれど、ヒューゴはどうだろう。まぁ途中で暴発しても構わない。若いし、二回目もできるでしょ。

「は、はい、はいっ、挿れたい、挿れたいですっ」

 わたしも早く挿れたいな。もう我慢できないもの。期待しすぎて、蜜が奥からどんどん溢れてくる。
 わたしは肉杭の尖端を飲み込み、そっと腰を沈み込ませる。大きすぎず小さすぎず、硬すぎず柔らかすぎないヒューゴの剛直が、隘路を割る。

「あ、っ」

 久しぶりの、待ちわびた感触に、思わず体が震える。油断したらイッちゃいそう。でも、わたしより荒い息をしているのは、夫のほうだ。童貞くんには刺激が強いよね。でも、もっと刺激的なものを見せてあげる。わたしは寝間着の裾を持ち上げ、ヒューゴに見えるように――見せつけるように、ゆっくりと腰を動かす。

「イ、イズミさ、あぁっ、熱くて、柔らかくて、っ」
「実況はしなくてもいいのよ」
「飲み込まれ、っあ、ダメです、これ以上は、っで、出てしま」

 途中で出すより奥のほうがいいのかな? このあたりの男の人の考え方はよくわかんないけど。

「出したい?」
「はい、出したいです、出した、い、っ」
「じゃあ、もう少し我慢ね。奥にたどり着いたら出していいよ」

 うんうんと頷くヒューゴを見下ろして、わたしは笑う。気持ちいい。イケメンを組み伏せ喘がせるのも、奥まで咥え込みたい気持ちを我慢するのも、大変気持ちいい。
 ヒューゴは「まだですか? もう、ダメ、我慢、できません」と情けない声を出している。限界が近いんだろう。初めてなのにあんまり意地悪するのもかわいそうかな。

「見て、ヒューゴ。もうすぐぜんぶ、挿入っちゃう」
「あ……あ、あぁ……っ」
「根元まで、挿入る、かな?」

 夫のものをすべて飲み込む前に、奥のほうに尖端が当たる感触があった。あら、意外と長かったのね。我慢に我慢を重ねていたヒューゴは、そのまま体を震わせ、わたしの最奥に精を放った。
 あと一回くらいはやりたいな、と思っていたわたしだけれど、それは見事に裏切られることとなる。童貞夫の性欲を、甘く見すぎていたのだ。


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