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40.兄弟の提携(四)
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……朝。朝だと思う。朝、だよね?
薄い掛け布団の向こうに見える光が朝日、だと思うのだけど。
「っあ、やぁっ」
「や、じゃないよね? ここ、好きだよね?」
執拗に穿たれる箇所が気持ち良くて、うんうんと頷く。「いい子」という呟きとともに、再度唇が塞がれる。
昨夜の一回目のセックスのあと私は寝てしまったらしく、大層ヘソを曲げた翔吾くんに寝ていたところを襲われているという状況だ。
朝の生理現象で勃つのは仕方がないとしても、隣でセフレが寝ていたら「そこに突っ込もう」という気分になるのが不思議だ。
……私に安息の時間はないのだろうか。
昨夜だって、しつこくイカされたあとに寝てしまったのだから、「失神した」に近いものがある。体が疲れているのだ、きっと。
「あかり、我慢しないでね」
至近距離で微笑まれると、ドキドキしてしまう。昨日はいっぱいいっぱいで気づかなかったけれど、日に焼けた翔吾くんの顔つきが、たまらなく色っぽい。私の肌を這う指も、いやらしさが増している気がする。白い肌に黒い肌が重なるコントラストは、とても、エロい。
「あっ、ダメ、そこっ」
「いい、の間違いだよね、あかり」
両手を押さえつけられて、自由を奪われて、それでも高められていく体に、私は声を我慢しながら頷くだけ。
「声、出していいよ」
「やっ、あ」
「健吾に聞かせてやればいい」
腰が強く押し付けられ、翔吾くんの先端が深いところに当たる。痛みと激しさに、一際大きな嬌声が零れてしまう。
乳首を吸い上げ、コロコロと転がしながら、翔吾くんは目を細めて笑う。舐めながら上目遣いをされるのは、好き。短い髪を撫でたくなる。
時折、肌を吸い上げられて、赤い痕がつけられていく。昨日と今日とで、かなり数が増えた。見えないところにもきっとつけられているに違いない。
健吾くんは、起きている。少し前に一階に降りてくる足音が聞こえた。わざと大きな音を立てて。今、朝食を作ってくれているはずだ。何かが焼けるいい匂いがしてくる。
翔吾くんがたくさん食料品を買っていたのは、健吾くんの分も含んでいたからだろう。健吾くんが使いそうな食材もあった気がする。それでも買いすぎだけど。
「あかり、かわいい。繋がってるとこ、見える? やらしい音、聞こえる?」
「あっ、ん、やだぁっ、ああっ」
「見てよ、あかり。ね、もっと奥まで犯していい? 中を汚していい? 中を、俺で満たしていい?」
耳元で官能的な言葉を囁かれると、体がピリピリして脳が痺れてしまいそうになる。膣内も頭の中もぐずぐずに蕩かされてしまう。
きゅう、と膣壁が収縮する。大きな波が、やってくる気配がする。
翔吾くんは、私が何に反応するのか、理解しすぎている。
「や、ダメ、イッちゃう……!」
「いいよ、おいで」
「翔吾っ、は? いっ、しょ?」
「ん、一緒にイこ。満たしてあげる」
薄い掛け布団の下で抱き合って、キスをしながら、そのときを迎える。ぎゅうと収縮するのが先か、熱い精液が吐き出されるのが先か、わからなかった。
ほぼ同時に絶頂を迎え、震える体とともに荒い息を吐き出す。収縮を続ける膣内が翔吾くんの精液を搾り取り、ゆっくり弛緩していく。
「っ、あ……」
「同時にイッた、ね?」
「う、ん……気持ちい」
「俺も。気持ち良かった」
離れがたい。お互いの熱をまだ味わっていたい。お互いの体液を感じていたい。
抱き合って、キスをして、繋がったまま、時間だけが過ぎていく――ことが許されるわけもなく。
ヴヴ、とサイドテーブルに置いてあった青いスマートフォンが揺れ、翔吾くんが顔をしかめる。
「……健吾だ」
「朝ごはん?」
「たぶん。抜きたくないなぁ。繋がったまま行く?」
翔吾くんの額をペチンと叩いて、苦笑する。確かに私はイッたあとは繋がったままが好きだけど、そうはいかないでしょうが。
「行こ」
「……はーい」
ズルと抜かれた肉棒は、既に萎えて柔らかい。なくなってしまった質量と熱に名残惜しさを感じながら、ベッドの縁まで移動して……立ち上がろうとして「ひあ!」と素っ頓狂な声を上げてしまう。
体がガクリと床に落ちたのだ。足と腰に力が入らない。
「あかり?」
「翔吾くん、ごめん、肩、貸して」
「どしたの?」
「……ヤリすぎたみたい」
床にへたり込んで裸のまま呆然とする私に、ボクサーパンツをはいた翔吾くんは「ごめん」と言いながら近寄ってきて、すぐさまベッドに抱き上げてくれる。
「俺のせいだね。いや、俺たち、か」
「テニス、できるかな?」
「今日はやめておこう。怪我したら大変だし、あかりの体のほうが大事だよ」
手際よくキャリーバッグから下着やら服やらを取り出して、翔吾くんが持って来てくれる。……ショーツとキャミソールだけ、だけど。
「朝食持ってくるから、ゆっくりしてて」
「あの、服は」
「それ着てて。そっちのほうが喜ぶから」
誰が、と聞く間もなく翔吾くんは部屋を出ていってしまう。もう、何となく、意図はわかってしまった。
そして、ティッシュで処理をしてショーツとキャミソールを身に着けた直後に、トレイを持って現れたのは――。
「あかりさん、大丈夫!?」
慌てた様子の、健吾くん、だ。
「足腰立たなくなったって……っわ、わ、なんて格好を!」
なんて格好をさせるの、とはあなたのお兄さんに聞いてください。せめてブラは着けたかったです。
テーブルにいい匂いがする朝食のトレイを置いて、真っ赤になった健吾くんが私に近づいてくる。彼の視線は胸に釘付け。ノーブラには気づいているらしい。おっぱい星人は相変わらずのようだ。
「おはよう、あかりさん」
「おはよ、健吾くん」
「……キス、していい? 触っていい?」
そこのトースト、先に食べてしまいたかったのに。
軽井沢にいる間は、私は二人の玩具か、人形か。
まったく、もう。
苦笑しながら「いいよ」と言って、健吾くんの唇と指を受け入れるのだ。
◆◇◆◇◆
キスと触るだけ――で終わるはずがなかった。脱童貞を果たしたばかりのハタチの性欲は、留まるところを知らない。
キスをしながらキャミソールの紐をずらし、現れた双丘に指を這わせ、揉み、舐める。舐め――!?
「やっ、あ!!」
イッたばかりの体にそれは刺激が強すぎる。気持ち良すぎる。けれど、私の顔を一瞬見ただけで、健吾くんはまた容赦なく突起を口に含む。美味しそうにむしゃぶりついている、という表現が一番正しい。私の乳首は飴じゃない。
「け、健吾、くっ」
「さっき、翔吾としたんだろ? じゃあ、俺もしたい」
「ダメ、ほんと、無理っ!」
既に足腰が立たなくなっているのだから、これ以上の刺激は、本当に死活問題ですっ! 私、今日何もできなくなっちゃう!
「翔吾は良くて俺はダメ?」
そんな、切なそうな顔で見上げてこないで、健吾くん。そんな顔をしたって、無理なものは無理です。
「だから、今は、無理なの」
「今だけ? 昼なら大丈夫? いつになったら、俺はあかりを抱けるの?」
それは、悲鳴を上げている私の体に聞いてください。いつ回復するんですか、と。いつになったらセックスできますか、と。
「……わかった。しんどいなら、今日は、ずっとここにいよう、あかり」
「えっ?」
「一日中、俺たちに抱かれていてよ。世話はするから」
「はっ!?」
普通の思考回路では到底たどり着けないような酷い提案に、私の頭の中は真っ白になる。
全然、わかってない。健吾くん、全く理解していない。
それに、一日中って、監禁しているのと同じじゃないの! それはちょっと、いや、かなり問題じゃない? 問題でしょ!?
「あかり、挿れさせて」
「ひゃ!」
ズルと抜き取られたショーツ。さっきはいたばかりだったのに、床に落とされる。既に健吾くんはトランクスを脱ぎ捨てている。屹立した肉棒の先、ヌラと光る鈴口が彼の興奮を伝えてくる。
抗議しようとしたら、唇を塞がれ、太腿が持ち上げられる。
「んんっ! んーっ!」
「さっきイッたばかりだろ? 濡れてる。このまま挿れるよ」
「バカッ! 健吾くんの人でなし! ほんとに知らな――っやぁ!」
ズブと遠慮なく隘路を割った肉棒の太さと硬さに、私はただ悲鳴を上げる。濡れた膣内は新たな熱と質量を歓迎しているけれど、今、連続で挿れられるのは本当にしんどいのに。
健吾くんのバカ! 翔吾くんのアホ!
私は性欲処理のための人形じゃない!
「あかり、すごい……絡みついてくる」
「やっ、あっ、んんっ」
「ごめん。イヤだって言われても、止められない」
強く強く私を貪ろうとする健吾くんは、目を細めて私を見下ろす。両手は胸を揉んだままだ。突起を捏ねられると、また高まってきてしまう。挿れられたまま乳首をいじられるのは、好き。
喘ぎ声が翔吾くんに聞こえないよう手で口を塞ぐ。そして、健吾くんを睨む。
本当に、酷い人!
「あかりのその顔、好き」
「……っん!?」
「強がってるのに、気持ち良さそうな顔、好き」
「んんんっ!」
先端に奥を突かれ、その遠慮のない強さに、体が震える。痛い。でも気持ちいい。乱暴にしないで。でももっと奥に欲しい。
私の体で、感じて。
翔吾くんの優しいセックスと、健吾くんの乱暴なセックス。どちらも嫌いじゃないけど、加減というものを知ってほしい。
「っ!? 健吾っ!?」
「今、めっちゃ震えた。やっぱり、挿れたままココ触ると気持ちいい?」
愛液と唾液にまみれた指を肉芽に宛て、健吾くんがニィと笑う。深い抽挿を繰り返すその少し上で、指が拙く肉芽を擦る。
「やだっ! やぁっ!」
「かわいい、あかり。もっと乱れて」
「ひっ、あ……!」
「もっと声聞かせてよ、ねえ、あかり」
敏感なところばかり攻め立ててくる健吾くんに、私の体はもう限界だと訴えてくる。口を押さえていた両手は、既にベッドに落ちた。だらしなく口を開けて、嬌声が漏れ出るのを塞ぐことすらできない。健吾くんを抱きしめたいのに、腕が上がらない。
「けん、ごっ」
「もっと名前、呼んで。あかり、好き」
「け、ご、健吾っ」
「愛してる、あかり。中? 奥? 外? どこに出せばいい? どこを犯せばいい?」
わかってるくせに、意地悪。余裕がないのは健吾くんも一緒なのに、私の痴態を見下ろしながら、薄っすら笑みさえ浮かべている。
「おく、っ、奥がいいっ!」
イキたい。イカせて。
イッて。中に出して。奥を犯して。
もう、げんか――!
「っあ」
小さく喘いで、健吾くんが最奥で精を吐き出す。同時に、私も達してしまう。
体が震え、抽挿が穏やかになる。収縮が徐々におさまっていく。息が上がり、荒い吐息だけが部屋に響く。
もう、無理……もう、ダメ……これ以上は、私が壊れる。
「あかり、大丈夫?」
ぐったりとしたまま動こうとしない私を見下ろして、健吾くんが狼狽える。
今さら労ってくれたって遅い。心配そうに見ないで。慌てないで。バカ健吾。
「ごめん、ヤリすぎた! あかり、大丈夫?」
「……むり」
もう無理です。もう滞在中はセックス禁止にしてやる……!
「どうしよう」と慌てふためく健吾くんを少し見つめたあと、私はそっと目を閉じた。
「あかり!? あかり、ねえ!」
遠のいていく意識の中で、健吾くんが私の体を揺さぶり、名前を必死で呼んでいたことだけは覚えている。
それ以降の記憶は、ない。
薄い掛け布団の向こうに見える光が朝日、だと思うのだけど。
「っあ、やぁっ」
「や、じゃないよね? ここ、好きだよね?」
執拗に穿たれる箇所が気持ち良くて、うんうんと頷く。「いい子」という呟きとともに、再度唇が塞がれる。
昨夜の一回目のセックスのあと私は寝てしまったらしく、大層ヘソを曲げた翔吾くんに寝ていたところを襲われているという状況だ。
朝の生理現象で勃つのは仕方がないとしても、隣でセフレが寝ていたら「そこに突っ込もう」という気分になるのが不思議だ。
……私に安息の時間はないのだろうか。
昨夜だって、しつこくイカされたあとに寝てしまったのだから、「失神した」に近いものがある。体が疲れているのだ、きっと。
「あかり、我慢しないでね」
至近距離で微笑まれると、ドキドキしてしまう。昨日はいっぱいいっぱいで気づかなかったけれど、日に焼けた翔吾くんの顔つきが、たまらなく色っぽい。私の肌を這う指も、いやらしさが増している気がする。白い肌に黒い肌が重なるコントラストは、とても、エロい。
「あっ、ダメ、そこっ」
「いい、の間違いだよね、あかり」
両手を押さえつけられて、自由を奪われて、それでも高められていく体に、私は声を我慢しながら頷くだけ。
「声、出していいよ」
「やっ、あ」
「健吾に聞かせてやればいい」
腰が強く押し付けられ、翔吾くんの先端が深いところに当たる。痛みと激しさに、一際大きな嬌声が零れてしまう。
乳首を吸い上げ、コロコロと転がしながら、翔吾くんは目を細めて笑う。舐めながら上目遣いをされるのは、好き。短い髪を撫でたくなる。
時折、肌を吸い上げられて、赤い痕がつけられていく。昨日と今日とで、かなり数が増えた。見えないところにもきっとつけられているに違いない。
健吾くんは、起きている。少し前に一階に降りてくる足音が聞こえた。わざと大きな音を立てて。今、朝食を作ってくれているはずだ。何かが焼けるいい匂いがしてくる。
翔吾くんがたくさん食料品を買っていたのは、健吾くんの分も含んでいたからだろう。健吾くんが使いそうな食材もあった気がする。それでも買いすぎだけど。
「あかり、かわいい。繋がってるとこ、見える? やらしい音、聞こえる?」
「あっ、ん、やだぁっ、ああっ」
「見てよ、あかり。ね、もっと奥まで犯していい? 中を汚していい? 中を、俺で満たしていい?」
耳元で官能的な言葉を囁かれると、体がピリピリして脳が痺れてしまいそうになる。膣内も頭の中もぐずぐずに蕩かされてしまう。
きゅう、と膣壁が収縮する。大きな波が、やってくる気配がする。
翔吾くんは、私が何に反応するのか、理解しすぎている。
「や、ダメ、イッちゃう……!」
「いいよ、おいで」
「翔吾っ、は? いっ、しょ?」
「ん、一緒にイこ。満たしてあげる」
薄い掛け布団の下で抱き合って、キスをしながら、そのときを迎える。ぎゅうと収縮するのが先か、熱い精液が吐き出されるのが先か、わからなかった。
ほぼ同時に絶頂を迎え、震える体とともに荒い息を吐き出す。収縮を続ける膣内が翔吾くんの精液を搾り取り、ゆっくり弛緩していく。
「っ、あ……」
「同時にイッた、ね?」
「う、ん……気持ちい」
「俺も。気持ち良かった」
離れがたい。お互いの熱をまだ味わっていたい。お互いの体液を感じていたい。
抱き合って、キスをして、繋がったまま、時間だけが過ぎていく――ことが許されるわけもなく。
ヴヴ、とサイドテーブルに置いてあった青いスマートフォンが揺れ、翔吾くんが顔をしかめる。
「……健吾だ」
「朝ごはん?」
「たぶん。抜きたくないなぁ。繋がったまま行く?」
翔吾くんの額をペチンと叩いて、苦笑する。確かに私はイッたあとは繋がったままが好きだけど、そうはいかないでしょうが。
「行こ」
「……はーい」
ズルと抜かれた肉棒は、既に萎えて柔らかい。なくなってしまった質量と熱に名残惜しさを感じながら、ベッドの縁まで移動して……立ち上がろうとして「ひあ!」と素っ頓狂な声を上げてしまう。
体がガクリと床に落ちたのだ。足と腰に力が入らない。
「あかり?」
「翔吾くん、ごめん、肩、貸して」
「どしたの?」
「……ヤリすぎたみたい」
床にへたり込んで裸のまま呆然とする私に、ボクサーパンツをはいた翔吾くんは「ごめん」と言いながら近寄ってきて、すぐさまベッドに抱き上げてくれる。
「俺のせいだね。いや、俺たち、か」
「テニス、できるかな?」
「今日はやめておこう。怪我したら大変だし、あかりの体のほうが大事だよ」
手際よくキャリーバッグから下着やら服やらを取り出して、翔吾くんが持って来てくれる。……ショーツとキャミソールだけ、だけど。
「朝食持ってくるから、ゆっくりしてて」
「あの、服は」
「それ着てて。そっちのほうが喜ぶから」
誰が、と聞く間もなく翔吾くんは部屋を出ていってしまう。もう、何となく、意図はわかってしまった。
そして、ティッシュで処理をしてショーツとキャミソールを身に着けた直後に、トレイを持って現れたのは――。
「あかりさん、大丈夫!?」
慌てた様子の、健吾くん、だ。
「足腰立たなくなったって……っわ、わ、なんて格好を!」
なんて格好をさせるの、とはあなたのお兄さんに聞いてください。せめてブラは着けたかったです。
テーブルにいい匂いがする朝食のトレイを置いて、真っ赤になった健吾くんが私に近づいてくる。彼の視線は胸に釘付け。ノーブラには気づいているらしい。おっぱい星人は相変わらずのようだ。
「おはよう、あかりさん」
「おはよ、健吾くん」
「……キス、していい? 触っていい?」
そこのトースト、先に食べてしまいたかったのに。
軽井沢にいる間は、私は二人の玩具か、人形か。
まったく、もう。
苦笑しながら「いいよ」と言って、健吾くんの唇と指を受け入れるのだ。
◆◇◆◇◆
キスと触るだけ――で終わるはずがなかった。脱童貞を果たしたばかりのハタチの性欲は、留まるところを知らない。
キスをしながらキャミソールの紐をずらし、現れた双丘に指を這わせ、揉み、舐める。舐め――!?
「やっ、あ!!」
イッたばかりの体にそれは刺激が強すぎる。気持ち良すぎる。けれど、私の顔を一瞬見ただけで、健吾くんはまた容赦なく突起を口に含む。美味しそうにむしゃぶりついている、という表現が一番正しい。私の乳首は飴じゃない。
「け、健吾、くっ」
「さっき、翔吾としたんだろ? じゃあ、俺もしたい」
「ダメ、ほんと、無理っ!」
既に足腰が立たなくなっているのだから、これ以上の刺激は、本当に死活問題ですっ! 私、今日何もできなくなっちゃう!
「翔吾は良くて俺はダメ?」
そんな、切なそうな顔で見上げてこないで、健吾くん。そんな顔をしたって、無理なものは無理です。
「だから、今は、無理なの」
「今だけ? 昼なら大丈夫? いつになったら、俺はあかりを抱けるの?」
それは、悲鳴を上げている私の体に聞いてください。いつ回復するんですか、と。いつになったらセックスできますか、と。
「……わかった。しんどいなら、今日は、ずっとここにいよう、あかり」
「えっ?」
「一日中、俺たちに抱かれていてよ。世話はするから」
「はっ!?」
普通の思考回路では到底たどり着けないような酷い提案に、私の頭の中は真っ白になる。
全然、わかってない。健吾くん、全く理解していない。
それに、一日中って、監禁しているのと同じじゃないの! それはちょっと、いや、かなり問題じゃない? 問題でしょ!?
「あかり、挿れさせて」
「ひゃ!」
ズルと抜き取られたショーツ。さっきはいたばかりだったのに、床に落とされる。既に健吾くんはトランクスを脱ぎ捨てている。屹立した肉棒の先、ヌラと光る鈴口が彼の興奮を伝えてくる。
抗議しようとしたら、唇を塞がれ、太腿が持ち上げられる。
「んんっ! んーっ!」
「さっきイッたばかりだろ? 濡れてる。このまま挿れるよ」
「バカッ! 健吾くんの人でなし! ほんとに知らな――っやぁ!」
ズブと遠慮なく隘路を割った肉棒の太さと硬さに、私はただ悲鳴を上げる。濡れた膣内は新たな熱と質量を歓迎しているけれど、今、連続で挿れられるのは本当にしんどいのに。
健吾くんのバカ! 翔吾くんのアホ!
私は性欲処理のための人形じゃない!
「あかり、すごい……絡みついてくる」
「やっ、あっ、んんっ」
「ごめん。イヤだって言われても、止められない」
強く強く私を貪ろうとする健吾くんは、目を細めて私を見下ろす。両手は胸を揉んだままだ。突起を捏ねられると、また高まってきてしまう。挿れられたまま乳首をいじられるのは、好き。
喘ぎ声が翔吾くんに聞こえないよう手で口を塞ぐ。そして、健吾くんを睨む。
本当に、酷い人!
「あかりのその顔、好き」
「……っん!?」
「強がってるのに、気持ち良さそうな顔、好き」
「んんんっ!」
先端に奥を突かれ、その遠慮のない強さに、体が震える。痛い。でも気持ちいい。乱暴にしないで。でももっと奥に欲しい。
私の体で、感じて。
翔吾くんの優しいセックスと、健吾くんの乱暴なセックス。どちらも嫌いじゃないけど、加減というものを知ってほしい。
「っ!? 健吾っ!?」
「今、めっちゃ震えた。やっぱり、挿れたままココ触ると気持ちいい?」
愛液と唾液にまみれた指を肉芽に宛て、健吾くんがニィと笑う。深い抽挿を繰り返すその少し上で、指が拙く肉芽を擦る。
「やだっ! やぁっ!」
「かわいい、あかり。もっと乱れて」
「ひっ、あ……!」
「もっと声聞かせてよ、ねえ、あかり」
敏感なところばかり攻め立ててくる健吾くんに、私の体はもう限界だと訴えてくる。口を押さえていた両手は、既にベッドに落ちた。だらしなく口を開けて、嬌声が漏れ出るのを塞ぐことすらできない。健吾くんを抱きしめたいのに、腕が上がらない。
「けん、ごっ」
「もっと名前、呼んで。あかり、好き」
「け、ご、健吾っ」
「愛してる、あかり。中? 奥? 外? どこに出せばいい? どこを犯せばいい?」
わかってるくせに、意地悪。余裕がないのは健吾くんも一緒なのに、私の痴態を見下ろしながら、薄っすら笑みさえ浮かべている。
「おく、っ、奥がいいっ!」
イキたい。イカせて。
イッて。中に出して。奥を犯して。
もう、げんか――!
「っあ」
小さく喘いで、健吾くんが最奥で精を吐き出す。同時に、私も達してしまう。
体が震え、抽挿が穏やかになる。収縮が徐々におさまっていく。息が上がり、荒い吐息だけが部屋に響く。
もう、無理……もう、ダメ……これ以上は、私が壊れる。
「あかり、大丈夫?」
ぐったりとしたまま動こうとしない私を見下ろして、健吾くんが狼狽える。
今さら労ってくれたって遅い。心配そうに見ないで。慌てないで。バカ健吾。
「ごめん、ヤリすぎた! あかり、大丈夫?」
「……むり」
もう無理です。もう滞在中はセックス禁止にしてやる……!
「どうしよう」と慌てふためく健吾くんを少し見つめたあと、私はそっと目を閉じた。
「あかり!? あかり、ねえ!」
遠のいていく意識の中で、健吾くんが私の体を揺さぶり、名前を必死で呼んでいたことだけは覚えている。
それ以降の記憶は、ない。
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感想募集中。更新中は励みになりますし、完結後は次回作への糧になります。
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