【R18】サキュバスちゃんの純情

千咲

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28.花火と火花(四)

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 鍋に溶き卵を回し入れて、蓋をする。弱火にして、ふぅとため息をつく。
 浴衣に帯に襦袢などはハンガーに吊るしてある。クリーニングに出して、涙と鼻水は綺麗にしてもらわないといけない。手洗いでもいいけど、クリーニングのほうが確実だ。
 今、健吾くんが準備してくれていた長めのTシャツを着て、雑炊を作り終えたところだ。

「……いい匂い」

 脱衣所から出てきた健吾くんは、Tシャツにトランクス。翔吾くんはボクサーパンツ派だから、間違えて履くことはなさそうだ。

「雑炊食べる?」
「……食べる。食べたい」

 コンビニで買ってきたスポーツドリンクを冷蔵庫から出して、健吾くんに手渡す。「ありがと」と礼を言ってから受け取る健吾くんに、何だか不思議な気分になる。
 素直だなぁ。
 器によそって、ネギを散らす。うん、美味しそう。

「はい、どうぞ」

 テーブルの対面に座って、私も雑炊を食べる。うん、美味しい。熱いけど、冷房で冷えた部屋で食べるにはちょうどいい。
 マンションの前の露店で鈴カステラも買ってしまった。これはまた小腹が空いたら、にしよう。

「……美味しい」
「まあまあ、以上の感想だね?」
「この間のご飯、美味しかったよ。味噌汁も玉子焼きも美味しかった」

 す、素直すぎて、調子が狂うんですけど!
 目を丸くしたまま健吾くんを見つめると、フッと視線を外される。照れているみたいだ。

「翔吾の前であかりさんを褒めたくない」
「そういう、もの?」
「そういうもの」

 男心はわからないなぁ。誰か教えてくれるといいんだけど。

「吐き気は?」
「大丈夫。酔いも醒めた……けど、あれは、酔った勢いで言ったんじゃないから」
「わかってるよ」

 セフレになりたい、だなんて、酔っていても普通は言わない。妹尾さんの先輩みたいに「付き合おう!」と軽く言うのが普通の酔っ払いだ。

「……髪、下ろしたの?」
「え? あぁ、浴衣も脱いじゃったしね」
「かわいかったのに」

 えーと、この人、誰? 私の知っている健吾くんじゃないんだけど!

「浴衣もかわいかった。翔吾には見せた?」
「見せてないよ。この間買ったばかりだし」
「じゃあ、俺が最初?」
「そうなる、かなぁ」

 最初、ではないけどね。セフレの中では最初かな。
 見るからに上機嫌で、雑炊をパクパク食べる健吾くん。わかりやすいのはありがたいんだけど、一ヶ月で人ってこんなに変わるもの? ツンケンしていた面影は全くない。

「会社の人と見たんだよね、花火。どうだった?」
「綺麗だったよ。誰かさんのせいで、少ししか見られなかったけど」
「……ごめん」

「誰かさん」は健吾くんではないけど、誤解させておいてもいいだろう。我ながら酷い女だ。

「来週、花火、一緒に行く?」
「へ?」
「今日の埋め合わせ」
「いや、そんな、気を遣わなくても」
「そう? 俺は一緒に行ってみたいけど」

 ……浴衣、クリーニングに出せなくなっちゃうじゃん、それ。
 私一人がどぎまぎしていて、健吾くんは穏やかだ。なんか、それも悔しい。さっきまで慌てていたのは健吾くんのほうだったのに。

「さくらい、直しておいてね。翔吾くんだか健吾くんだか、わかんないよ」
「わかった。……なんで知っていたのか、聞かないの?」
「翔吾くんでしょ、教えたの」
「……あいつ、俺の気持ち知って、あかりさんの連絡先くれたんだ。ほんと、お節介」

 でも、結局、連絡してきたくせに。そこは素直じゃないんだなぁ。
「ご馳走さま」と手を合わせ、健吾くんは「美味しかった」と笑う。口に合ったなら、良かった。
 食器を片付け、水を張っておいた鍋を洗い始める。

「あかりさん」

 後ろから抱きしめられると、ちょっとドキドキする。ふに、と胸を揉んで、健吾くんははぁと溜め息を吐く。未知の感触だもんなぁ。

「やわらかい……」
「ノーブラだもん」
「……もっと触っていい?」
「もう待てないの?」
「待てない」

 するり、と裾から侵入した指が、肌を這う。そうして、柔らかい丘にたどり着いた指が、遠慮がちに触れてくる。くすぐったい。
 手のひらで全体を揉んで、感触を楽しんでいるみたい。手のひらで突起の部分をくるくる優しく転がされると、私も我慢できなくなる、んだけど。

「っ、ん」
「あかりさん、感じてる?」
「そりゃ、まぁ」
「俺の手で?」
「ん、健吾くん以外に、誰が私に触れているの?」

 最後に鍋を水切りカゴに置いて、ふぅと溜め息。すっかり胸を堪能しているおっぱい星人に呆れる。結局、彼は私が洗い物をしている間ずっと揉んでいた。

「健吾くん? ベッドに行く?」
「なんで、こんなに柔らかいんだろ?」
「……もっと柔らかい場所に挿入りたいんじゃないの?」
「……行く」

 素直でよろしい。
 タオルで手を拭いて、健吾くんの頬にキスをする。唇に、とねだられたけど、キスをしたら止められなくなるよと笑って、部屋へと誘導する。

 翔吾くんの部屋には見慣れていたけど、健吾くんの部屋は初めてだ。冷房が効いていて涼しい。
 ベッドに、机に、本棚、クローゼット。翔吾くんの部屋とそう変わらない。サッカーボールがなくて、漫画本が多いくらい。綺麗に保たれているのは、ハウスキーパーさんのおかげだろう。

「あかりさん」
「うん?」
「好き」

 ベッドに寝転んで、キスをする。温く柔らかい唇を甘く噛んで、少しずつ熱を上げていく。

「舌、挿れても大丈夫?」
「ん、欲しい」

 唇に舌をゆっくり割り入れて、健吾くんの舌を見つける。ゆっくり絡めて、舌ごと唾液を吸う。
 健吾くんはまたTシャツの中に手を入れて、胸を揉む。だいぶ気に入ったようだ。

「んっ、ふ……あ」
「あかりさん、舐めたい」
「え、でも汗臭いよ?」
「いいから」

 私の上に覆いかぶさって、Tシャツをめくり上げて、健吾くんはゆっくり胸に舌を這わせる。拙い舌使いが、もどかしい。頂きに吸い付かれると、下腹部が切なく疼く。

「っあ」

 ビクリと震えた体に、健吾くんが「気持ちいいんだ?」と聞いてくる。うん、と頷くと、健吾くんは嬉しそうに笑う。

「嬉しい。他は、どうすればいいんだ?」
「服、脱ぎたい。裸になろ?」
「脱がせていい?」

 起き上がり、バンザイをしてTシャツを脱がせ合う。ショーツは腰を浮かせて脱がせやすいようにした。
 健吾くんは私の裸を見て真っ赤になっている。グラビアやDVDなんかで見たことあるでしょうに。そんなウブな反応をされたら、私が恥ずかしいでしょうが。
 トランクスを脱がせるついでに、先走りでヌルヌルになった鈴口に舌を這わせ、亀頭を舐ると、健吾くんが悲鳴を上げた。

「やっ、ダメ、あかりさっ」
「舐めただけじゃん」

 真っ赤になって悶えている健吾くんがかわいい。これはいい記録が期待できそうです。

「あかりさん、触っていい?」
「ん、いいよ」

 健吾くんの手を取って、秘所に導く。中指が恐る恐る花弁に触れる。

「……濡れてる?」
「たぶん」

 中指がゆっくり割れ目を移動する。膣口は見つけたらしく、「ここに挿入る、んだよな?」と聞いてくる。つぷりと少しだけ指を挿れて、すぐに指を引く。そのときに指が偶然肉芽を擦り、私の体がビクリと震えた。

「ごめ、痛かった?」
「違うよ。逆。今、どこ触ったかわかる?」
「え? え? ……クリ、トリス?」
「うん、そう。ちょっと、気持ち良かっただけだから」

 キスをして、胸を揉んで、割れ目に指を這わせて……そんなぎこちない愛撫でさえ、私の体を高めていく。

「指、根元まで全部挿れてみる?」
「痛く、ないのか?」
「健吾くん、自分のモノ見てから心配してくれる?」

 明らかに指のほうが細くて短いでしょうが!
 納得したのか、健吾くんの中指がゆっくり挿入ってくる。私のほうは十分濡れているようだ。

「中、ヌルヌル。あったかい……あ、今、締めた?」
「ん、わかった?」
「わかった。でも、中、狭くないか? 本当に挿入るのか、これ」

 だから、挿入るんだってば。
 凶悪な大きさの相馬さんのものだって、ローションを使えば何とか挿入るんだから。
 心配しすぎ。

「試してみる?」
「ため……っ!?」

 明らかに動揺した健吾くん。試すどころか、今から挿れるんだけど。
 ぐ、と中指を押し込んで、膣壁を擦り、具合を確かめている。健吾くんは探検家気取りで「へぇ、ここ硬い」「あ、ここザラザラしてる」といちいち驚いている。
 私はたまにビクと体を揺らしながら、いろいろ、耐えている。笑いも気持ち良さも、今は耐えておこう。

「濡れてる、ってことは、大丈夫、ってことなんだよな?」
「うん。挿れても大丈夫。やめる?」
「やめない」

 即答だ。私はスマートフォンに手を伸ばす。

「え、じゃあ、ゴム……」
「つけなくていいよ」
「いや、でも」
「妊娠しないって、言ったでしょ? 忘れた?」

 確か、初めて会ったときに伝えたはずだ。健吾くんは思い出したのか、頷く。

「あ、そうか……でも、病気とか」
「持ってないから、安心して。ちゃんと検査もしてるから」
「えっ、じゃあ……生で……中出し?」

 ストップウォッチを起動して、そばにおく。
 そして、顔を真っ赤にしている健吾くんを引き倒して、太腿のあたりで馬乗りになる。視界が反転して、健吾くんは「え?」と何が起きるのかわかっていないみたいだ。

「あかりさん?」
「んー、肌、白いね」
「あかりさんも、綺麗だ」

 触ると糸を引くほどの先走りで濡れた亀頭を、ゆっくり指で愛撫して、竿の部分まで指を滑らせる。硬く、雄々しく屹立した肉棒が、大変美味しそうに見える。

「健吾くん」
「は、はい」
「ちから、抜いててね」

 肉棒に手を添えて、私の膣口に押し当てる。愛液とカウパー腺液が混ざるよう花弁で亀頭をいじめると、健吾くんがたまらず声を上げる。

「あ、あかり、さ、っ!」
「ん、気持ちいいね」
「っ、や、ダメ……!」
「はいはい。しょうがないなぁ」

 ここで暴発して出されても二人とも困るだけだから、健吾くんにキスをして、笑う。

「じゃあ、健吾くん」
「はいっ」
「童貞、いただきます」
「お願い、します……っ」

 期待に満ちた視線を私に向けたあと、健吾くんはぎゅっと目を閉じた。
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