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19.過日の果実(四)
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「……怖かったんだ。この絵を見て、あかりが俺をどう思うのか、知るのが怖かった」
なるほど。
私が危惧したこと――私の正体に気づかれたのではないかというようなことは、全く関係なかった。湯川先生は、叡心先生の絵のモデルが私であるとは気づいていない。
「あの女の人の身代わりなのではないかと、私に疑われるのが怖かったんだね」
隣で頷く湯川先生に、ほっとする。
「初めてあの絵を見たときから、俺はもうあの裸婦に夢中で……村上叡心の絵が水森の家にあると知ってからは、毎日のようにあいつの家に行って……ずっと眺めていた」
恋い焦がれた絵の人物と、姿形が同じ女が現れたら、運命と思うだろう。
絵の中の女には触れられない。先生は、絵の女の身代わりとして、月野あかりを抱いているような――罪悪感を抱えていた。
そして、絵の存在を月野あかりが知ったとしたら、離れていってしまうのではないかという危機感を募らせた。
「だから、あかりに初めて出会ったときは、運命だと思った。村上叡心の絵の女がきっかけではあるけど、出会うべくして出会ったんだと思った」
「先生は案外ロマンチストなんだ?」
「男は皆ロマンチストだよ」
顔を見合わせて、笑う。この美術館に来て、初めて湯川先生の笑顔を見た。いつも通りの優しい笑顔だ。
「……身代わりじゃない。あかりはあかりだよ。俺が好きなのは、あかりだ」
繋いだ手を強く握られる。とても熱い。けれど、とても優しい。
「俺、ね……あかりに会うまで……できなかったんだ」
「何が?」
先生はあたりを見回して、周りの人には聞こえないように私の耳元で囁く。
「……勃起不全」
誰かに早漏を罵られたことがあるのではないかとは思っていたけど、そもそものセックスができなかったとは……想像以上に深刻でした。
「……精神的な?」
「水森曰く、『絵の女を神格化しすぎていて、彼女以外の裸では勃起できない』んだと。実際、付き合っていた女の裸を前にしても、役に立たなかった」
一人でならイケるのに、と湯川先生は呟く。
まぁ、でも、それも絵の中の私を想像しながらヤッていたんでしょうね。とは、さすがに突っ込めない。
……突っ込めない……まさに。
「あかりは、その……俺と別れる?」
それは湯川先生が一番心配していたことだ。私が別れを切り出すのではないか、と。
「何で?」
「気持ち悪くない?」
「水森さんに気持ち悪いって言われたの?」
「……色々、ね」
「あぁ、元カノ?」
押し黙った湯川先生の態度から、図星だとわかる。勃起不全を気持ち悪いなんて言われたら、それは傷つく。女性不信になっても仕方がないくらいの、酷い言葉だ。
だから、女性を遠ざけて、名医と呼ばれるほどにまで仕事に打ち込んだのだろうと容易に想像がつく。
「望」
湯川先生を見上げる。泣き出しそうな彼の目に、私がぼんやり映る。
「私とセックスをしてくれる限りは、別れないから安心して」
「……する。するよ、いくつになっても!」
「静かに。声が大きい」
「ごめん……」
勃起不全でも、私とセックスしている間は勃つのだし、射精できるのだから、問題はない。今のところ、量も回数も多いくらいだし。先生が衰えるのは、もう少し先の話だろう。
「でも、結婚はしないよ」
「十二年後でも?」
「うん」
「そっか……」
そんなはっきり落胆しなくても。
「そういえば、あかりは、何で泣いたの?」
あー、それよそれ。どう誤魔化そうかなぁ。
叡心先生の絵を久々に見ることができて嬉しかったと言ったら、色々なことがバレてしまうし。
「あ、あのっ」
話を遮って私と湯川先生の前に立ったのは、事務員のような地味な格好をした女性だ。
「私、この美術館で学芸員をしております、鈴木と申します」
社員証もつけているし、名刺も手渡してくれたので、鈴木さんは学芸員で間違いない。
……あ、まさか。
「あの、失礼かと思いますが……もしかして、村上叡心の絵のモデルをなさっていた方の血縁者の方でいらっしゃいますか?」
展示室に入る際に監視員が慌てていたのは、これか。絵とそっくりの女が現れたのだから、ビックリして責任者を呼びに行くのも当然かもしれない。
……なるほど。
どうやら私はツイているようだ。この話に乗らない手はない。
「……実は昔、母から曾祖母だったか、そのまた祖母だったかが画家と恋をしたようなことを聞いたことがありまして」
湯川先生は目を丸くしている。鈴木さんは「まあ!」と目を輝かせている。水森さんのお祖母様には白を切ったけど、今の窮地を救うためだ。嘘を、つかせてもらおう。
「それはそれは! 是非、お写真を……!」
「いえ、いえ、そんな!」
「是非っ!」
さすがに絵も写真も残ってしまったら、今後の――だいぶ先の生活に支障が出るかもしれないので固辞する。あまり私のことは記録に残したくはないのだ。
「では、せめて、お食事を当館のレストランで召し上がってくださいっ」
鈴木さんの熱意に根負けして、湯川先生を見上げる。先生は苦笑しながら、「昼食にはまだ早いから、カフェにでも行こうか」と助けてくれる。
「じゃあ、カフェで」
「わかりました! ありがとうございます!」
「でも、あと少し、ここで彼女のご先祖様の思い出話をさせてください」
「あ、気が利かずに申し訳ありません! ゆっくり見ていってくださいませ! カフェのほうには話を通しておきますのでっ」
鈴木さんが去っていったあと、湯川先生は空を仰いで、盛大に溜め息を吐き出した。
「あかりのご先祖様、かぁ……」
「……たぶん、ね」
湯川先生のショックは大きかったようで、私の声は届いていないようだ。まぁ、曾祖母をオカズにしていたというのだから、ショックを受けるのも仕方ないのかもしれない。
しかし、これで「あかりはご先祖様の絵を見て泣いた」と思われるだろう。そのほうが都合が良い。
ありがとう、鈴木さん。
「まぁ、そうだよなぁ……年代的にそうだよなぁ」
「いいじゃん。次からおばあちゃんじゃなくて私をオカズにすれば」
「……もうしてるし」
「……望、あとでスマホ見せてね」
墓穴を掘った先生に笑顔で追い打ちをかけて。
結局、その後、先生のスマートフォンの中に隠し撮りしてある私の寝顔や裸の写真を、提出させるのだった。
◆◇◆◇◆
「ん……っ」
今日は美術館巡りをして、旅館に戻った。豪華な夕食を食べ、ようやく温泉に浸かっているところだ。
夜の風はまだ生温い。木々の葉の揺れる音に、私の甘い吐息が重なり、消えていく。
「あかり、好きだよ」
左肩の下あたり――ほくろのあるところを舐めながら、湯川先生は愛おしそうに言葉を零す。浴槽に座った先生の太腿の上に同じように座って、浅い結合を楽しんでいる。
「やっ、せんせ」
「あかりはここが弱いね」
ころころと乳首を指で摘まれ、捏ねられると、どうしようもない。腰が揺れ、奥からまた蜜が溢れ出してくる。
「あかりの背中にほくろを見つけたときは、もう、本当に運命だと思ったよ」
「ん、っあ」
「手放してはいけない、と思った」
先生が激しく腰を動かすから、バシャバシャと波が立つ。照明に照らされたオレンジ色の波が、浴槽から零れて落ちていく。
「あかり、イキたい」
湯川先生が立ち上がるので、私もそうする。浴槽に手をついて、後ろから先生を迎え入れる。熱く滾った杭を穿たれ、嬌声が漏れ出る。
「ああっ、あ、っん」
「あかり、愛してる」
熱い。先生の想いのせいか、温泉のせいか、のぼせてしまいそうなくらい。
「あ、せんせ、ダメっ」
右太腿を掴まれ、浴槽の縁に押し上げられる。左足が床から浮きそうになり、少し怖い。
けれど、狭い膣内の角度が変わり、いつもと違うところに先生の先端を感じる。
「せんせ、深いっ」
「深く繋がるのはイヤ?」
「やじゃ、な……ああっ」
「大丈夫だよ、あかり。おいで」
私が一気に昇り詰めてしまったことを、先生にはすぐに知られてしまう。深く深く抽挿を繰り返されたら、イキたくなるに決まっている。
「せんせ、せんせぇっ」
「あかり、俺も」
一緒に――。
大きな波に飲み込まれるかのように、体が震える。何度も、何度も。お互いの収縮を決して逃さないように、ただ、快楽に身を委ねる。
一緒に達してしまうこの気持ち良さを、充足感を、どう表現すればよいのかわからない。
ザバザバと激しく揺れていた水面がやがて穏やかになる。荒い息が、少しずつ元に戻っていく。
「あかり」
「なぁ、に?」
「あと一回、布団でしたい」
挿れたままおねだりされるとは思わなくて、くったりとしたまま苦笑する。
「まだイケそうなの?」
「あかりの顔を見ながらイキたい」
朝も今も後ろからだったからなぁ、と納得する。律儀に正常位をしなくてもいいのに、先生は不思議だ。
でも、私と出会ってようやく勃起不全が治ったなら、早漏の具合と回数の頻度も頷ける。覚えたて、なのだ。きっと、そういう状態なのだ。
「いいよ。ちょっと休憩してからね」
「体、洗ってあげるよ。汗かいたでしょ」
「だ、大丈夫、自分で洗えるよ」
「洗わせてよ。俺が洗いたいの」
結局、お互いの体を洗い合って、髪を乾かしたり、膝枕をしたりしたあとで、また布団の中でセックスをした。
二人で果てたあと、先生がただ一言で、その充足感に名前をつけてくれた。
「幸せだ……」
そっか、これが、「幸せ」なのか。
まどろみながら、先生と何度もキスをして、肌を抱きしめて、抱きしめ合って、思う。
……まだ、そんな気持ち、残っていたんだ。
なるほど。
私が危惧したこと――私の正体に気づかれたのではないかというようなことは、全く関係なかった。湯川先生は、叡心先生の絵のモデルが私であるとは気づいていない。
「あの女の人の身代わりなのではないかと、私に疑われるのが怖かったんだね」
隣で頷く湯川先生に、ほっとする。
「初めてあの絵を見たときから、俺はもうあの裸婦に夢中で……村上叡心の絵が水森の家にあると知ってからは、毎日のようにあいつの家に行って……ずっと眺めていた」
恋い焦がれた絵の人物と、姿形が同じ女が現れたら、運命と思うだろう。
絵の中の女には触れられない。先生は、絵の女の身代わりとして、月野あかりを抱いているような――罪悪感を抱えていた。
そして、絵の存在を月野あかりが知ったとしたら、離れていってしまうのではないかという危機感を募らせた。
「だから、あかりに初めて出会ったときは、運命だと思った。村上叡心の絵の女がきっかけではあるけど、出会うべくして出会ったんだと思った」
「先生は案外ロマンチストなんだ?」
「男は皆ロマンチストだよ」
顔を見合わせて、笑う。この美術館に来て、初めて湯川先生の笑顔を見た。いつも通りの優しい笑顔だ。
「……身代わりじゃない。あかりはあかりだよ。俺が好きなのは、あかりだ」
繋いだ手を強く握られる。とても熱い。けれど、とても優しい。
「俺、ね……あかりに会うまで……できなかったんだ」
「何が?」
先生はあたりを見回して、周りの人には聞こえないように私の耳元で囁く。
「……勃起不全」
誰かに早漏を罵られたことがあるのではないかとは思っていたけど、そもそものセックスができなかったとは……想像以上に深刻でした。
「……精神的な?」
「水森曰く、『絵の女を神格化しすぎていて、彼女以外の裸では勃起できない』んだと。実際、付き合っていた女の裸を前にしても、役に立たなかった」
一人でならイケるのに、と湯川先生は呟く。
まぁ、でも、それも絵の中の私を想像しながらヤッていたんでしょうね。とは、さすがに突っ込めない。
……突っ込めない……まさに。
「あかりは、その……俺と別れる?」
それは湯川先生が一番心配していたことだ。私が別れを切り出すのではないか、と。
「何で?」
「気持ち悪くない?」
「水森さんに気持ち悪いって言われたの?」
「……色々、ね」
「あぁ、元カノ?」
押し黙った湯川先生の態度から、図星だとわかる。勃起不全を気持ち悪いなんて言われたら、それは傷つく。女性不信になっても仕方がないくらいの、酷い言葉だ。
だから、女性を遠ざけて、名医と呼ばれるほどにまで仕事に打ち込んだのだろうと容易に想像がつく。
「望」
湯川先生を見上げる。泣き出しそうな彼の目に、私がぼんやり映る。
「私とセックスをしてくれる限りは、別れないから安心して」
「……する。するよ、いくつになっても!」
「静かに。声が大きい」
「ごめん……」
勃起不全でも、私とセックスしている間は勃つのだし、射精できるのだから、問題はない。今のところ、量も回数も多いくらいだし。先生が衰えるのは、もう少し先の話だろう。
「でも、結婚はしないよ」
「十二年後でも?」
「うん」
「そっか……」
そんなはっきり落胆しなくても。
「そういえば、あかりは、何で泣いたの?」
あー、それよそれ。どう誤魔化そうかなぁ。
叡心先生の絵を久々に見ることができて嬉しかったと言ったら、色々なことがバレてしまうし。
「あ、あのっ」
話を遮って私と湯川先生の前に立ったのは、事務員のような地味な格好をした女性だ。
「私、この美術館で学芸員をしております、鈴木と申します」
社員証もつけているし、名刺も手渡してくれたので、鈴木さんは学芸員で間違いない。
……あ、まさか。
「あの、失礼かと思いますが……もしかして、村上叡心の絵のモデルをなさっていた方の血縁者の方でいらっしゃいますか?」
展示室に入る際に監視員が慌てていたのは、これか。絵とそっくりの女が現れたのだから、ビックリして責任者を呼びに行くのも当然かもしれない。
……なるほど。
どうやら私はツイているようだ。この話に乗らない手はない。
「……実は昔、母から曾祖母だったか、そのまた祖母だったかが画家と恋をしたようなことを聞いたことがありまして」
湯川先生は目を丸くしている。鈴木さんは「まあ!」と目を輝かせている。水森さんのお祖母様には白を切ったけど、今の窮地を救うためだ。嘘を、つかせてもらおう。
「それはそれは! 是非、お写真を……!」
「いえ、いえ、そんな!」
「是非っ!」
さすがに絵も写真も残ってしまったら、今後の――だいぶ先の生活に支障が出るかもしれないので固辞する。あまり私のことは記録に残したくはないのだ。
「では、せめて、お食事を当館のレストランで召し上がってくださいっ」
鈴木さんの熱意に根負けして、湯川先生を見上げる。先生は苦笑しながら、「昼食にはまだ早いから、カフェにでも行こうか」と助けてくれる。
「じゃあ、カフェで」
「わかりました! ありがとうございます!」
「でも、あと少し、ここで彼女のご先祖様の思い出話をさせてください」
「あ、気が利かずに申し訳ありません! ゆっくり見ていってくださいませ! カフェのほうには話を通しておきますのでっ」
鈴木さんが去っていったあと、湯川先生は空を仰いで、盛大に溜め息を吐き出した。
「あかりのご先祖様、かぁ……」
「……たぶん、ね」
湯川先生のショックは大きかったようで、私の声は届いていないようだ。まぁ、曾祖母をオカズにしていたというのだから、ショックを受けるのも仕方ないのかもしれない。
しかし、これで「あかりはご先祖様の絵を見て泣いた」と思われるだろう。そのほうが都合が良い。
ありがとう、鈴木さん。
「まぁ、そうだよなぁ……年代的にそうだよなぁ」
「いいじゃん。次からおばあちゃんじゃなくて私をオカズにすれば」
「……もうしてるし」
「……望、あとでスマホ見せてね」
墓穴を掘った先生に笑顔で追い打ちをかけて。
結局、その後、先生のスマートフォンの中に隠し撮りしてある私の寝顔や裸の写真を、提出させるのだった。
◆◇◆◇◆
「ん……っ」
今日は美術館巡りをして、旅館に戻った。豪華な夕食を食べ、ようやく温泉に浸かっているところだ。
夜の風はまだ生温い。木々の葉の揺れる音に、私の甘い吐息が重なり、消えていく。
「あかり、好きだよ」
左肩の下あたり――ほくろのあるところを舐めながら、湯川先生は愛おしそうに言葉を零す。浴槽に座った先生の太腿の上に同じように座って、浅い結合を楽しんでいる。
「やっ、せんせ」
「あかりはここが弱いね」
ころころと乳首を指で摘まれ、捏ねられると、どうしようもない。腰が揺れ、奥からまた蜜が溢れ出してくる。
「あかりの背中にほくろを見つけたときは、もう、本当に運命だと思ったよ」
「ん、っあ」
「手放してはいけない、と思った」
先生が激しく腰を動かすから、バシャバシャと波が立つ。照明に照らされたオレンジ色の波が、浴槽から零れて落ちていく。
「あかり、イキたい」
湯川先生が立ち上がるので、私もそうする。浴槽に手をついて、後ろから先生を迎え入れる。熱く滾った杭を穿たれ、嬌声が漏れ出る。
「ああっ、あ、っん」
「あかり、愛してる」
熱い。先生の想いのせいか、温泉のせいか、のぼせてしまいそうなくらい。
「あ、せんせ、ダメっ」
右太腿を掴まれ、浴槽の縁に押し上げられる。左足が床から浮きそうになり、少し怖い。
けれど、狭い膣内の角度が変わり、いつもと違うところに先生の先端を感じる。
「せんせ、深いっ」
「深く繋がるのはイヤ?」
「やじゃ、な……ああっ」
「大丈夫だよ、あかり。おいで」
私が一気に昇り詰めてしまったことを、先生にはすぐに知られてしまう。深く深く抽挿を繰り返されたら、イキたくなるに決まっている。
「せんせ、せんせぇっ」
「あかり、俺も」
一緒に――。
大きな波に飲み込まれるかのように、体が震える。何度も、何度も。お互いの収縮を決して逃さないように、ただ、快楽に身を委ねる。
一緒に達してしまうこの気持ち良さを、充足感を、どう表現すればよいのかわからない。
ザバザバと激しく揺れていた水面がやがて穏やかになる。荒い息が、少しずつ元に戻っていく。
「あかり」
「なぁ、に?」
「あと一回、布団でしたい」
挿れたままおねだりされるとは思わなくて、くったりとしたまま苦笑する。
「まだイケそうなの?」
「あかりの顔を見ながらイキたい」
朝も今も後ろからだったからなぁ、と納得する。律儀に正常位をしなくてもいいのに、先生は不思議だ。
でも、私と出会ってようやく勃起不全が治ったなら、早漏の具合と回数の頻度も頷ける。覚えたて、なのだ。きっと、そういう状態なのだ。
「いいよ。ちょっと休憩してからね」
「体、洗ってあげるよ。汗かいたでしょ」
「だ、大丈夫、自分で洗えるよ」
「洗わせてよ。俺が洗いたいの」
結局、お互いの体を洗い合って、髪を乾かしたり、膝枕をしたりしたあとで、また布団の中でセックスをした。
二人で果てたあと、先生がただ一言で、その充足感に名前をつけてくれた。
「幸せだ……」
そっか、これが、「幸せ」なのか。
まどろみながら、先生と何度もキスをして、肌を抱きしめて、抱きしめ合って、思う。
……まだ、そんな気持ち、残っていたんだ。
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感想募集中。更新中は励みになりますし、完結後は次回作への糧になります。
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