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13.迷惑な思惑(一)
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ヴヴヴとカバンの中のスマートフォンが揺れる。バイブの長さからいって、誰かからの着信だ。
「……出ていいよ。持ってきてあげようか?」
「いい。出ない」
「そう? こんなの挿れたまま電話に出るとか、エロいと思うけど」
相馬さんが舌なめずりをして、手を動かす。
「っ、あ、そこ、いいっ」
「うん、ここね。上?」
「んっ、うえ」
温められたローションをまとったシリコン製のバイブは、動いてはいない。相馬さんの手によって、ヌルヌルと動かされているだけだ。
「こっち側にもう少し突起を増やすかなぁ。角度が難しいかも」
「やっ、ダメ、そこっ」
「男なら持てるけど、女の子がこの角度と位置で持つのは難しいな、うん」
「そうま、さんっ」
バイブを小刻みに動かされ、少し奥にあるイイところが切なく疼く。そんなに刺激されたら、達してしまいたくなる。
「涼介でしょ。名前で呼んでくれたら、イカせてあげる」
相馬さんの唇が胸の突起を掠め、胸の膨らみに吸い付く。ちゅうと吸い上げて、キスマークを散らしていく。
「女の子用のバイブを作ったほうがいいかな。でもGスポットは皆違うから、どう動かそうかな」
「っ、中に、螺旋状の、突起を……」
「あー、なるほど。リング状だと部品が多くなりそうだし、螺旋状はいいかも」
バイブの先端が私の最奥へ沈められる。男の人のものとは違う無機質な道具だけれど、開発に余念のない男の手にかかれば、本物以上に快楽がもたらされる。
「ありがとね、あかり」
「やんっ、あ……ひゃあぁっ!」
「あ、こら、暴れないで。痛くなっちゃうよ」
ガシャガシャと手首に繋がれた玩具の手錠が揺れる。相馬さんが脇なんか舐めるから、暴れたくなるんじゃないの、もう!
「じゃ、そろそろ――イク?」
胸の先端が相馬さんの口に覆われて、舌が一番敏感な突起を舐め上げる。待ちに待った刺激に、腰が浮く。ヴィンヴィンと彼の手元のバイブが動き始めて、奥から少し手前を刺激する。さっき彼に教えた箇所だ。
「やっ、あ、んんっ」
「中でイク? クリでイク?」
「この、ままっ、あ!」
一瞬の角度だったのに、相馬さんは私の反応を見逃さない。私が一際大きく啼いた角度をキープして、執拗に攻め立てる。
ほんと、いい性格と、いい笑顔、してる。
「あかり、おいで」
バイブの音。ぐちゅぐちゅと掻き混ぜられる卑猥な音。ベッドに繋がれた手錠の音。相馬さんの唇から漏れる気持ちのいい音。
何もかも――忘れさせて。
「りょーすけっ、イッ、」
「いいよ、おいで」
「ん、っっ!」
シリコンの先端を強く当てられ、乳首を舐られ――その甘い刺激に、強い快楽を感じて、達してしまう。
一度高みへ昇らされたあと、体がゆっくり緊張を解いていく。
「ひあっ!」
スイッチを切ったバイブをずるりと抜いて、相馬さんは笑う。
「コレと俺の、どっちが好き?」
「……涼介の」
「もう。あかりはいつもソレだなぁ。いつになったら、コッチを好きになってくれるのかな」
相馬さんが開発したものでも、気持ち良くさせてくれるものでも、それは偽物だ。
精液、出してくれないんだもの。
「涼介のが好き」
「んもう、かわいい」
玩具の手錠が外されて、「おいで」と微笑む相馬さんの首に抱きつく。寛げられ、既に屹立した雄の先走りを指ですくい、舐め取る。
「おいし。口でする? それとも、このまま?」
「ん、もう限界。中でイカせて」
耳元で体を求められる快感。首に抱きついたまま、硬い男根の上から少しずつ腰を沈めていく。ローションと愛液でぐちゃぐちゃに濡れた中へ、雄々しく反り立つ凶悪すぎる太さの肉棒を迎え入れていく。
「っ、は……おっきぃ……」
「これだけ濡れてるのに、窮屈だもんな……痛くない? 大丈夫?」
「だい、じょぶ……っふ」
相馬さんの巨根は、本当に困ったもので。どれだけ解しても、普通の愛液だけでは、その太さを受け入れることができない。ローションとバイブで解さなければ、無理なのだ。
それでも、痛いし、圧迫感がスゴい。
「あかり、中が、動いて……っ」
「イッたばかり、だから」
「あ、っ、奥まで……」
相馬さんの陰茎を根元まで咥えて、ゆっくり上下に腰を振る。襞という襞が、相馬さんのものに引っ張られて動く感じ。二人の声とぐちゅぐちゅと淫らな水音だけが部屋に響く。
「胸、やらかい」
「んっ、やっ、だ」
「乳首、かわいい。すぐ起つよね」
「も、りょーすけ」
抱きしめられて、その胸の先端が相馬さんの胸で潰され、捏ねられる。その甘い刺激でさえ、快楽のスパイスになる。
「あかり。限界」
「いいよ、中に、来て」
「っあ、出るっ」
びくん、と肉棒が震えるのさえ、わかる。何度も何度も、震える。奥に吐き出された彼の精は大量で、零れてしまいそうになるのを必死で食い止める。
性器が大きければ、精液も大量。規格外の人だ、本当に。
「あかり……相変わらず、いいね」
「涼介のも、相変わらず太いね」
抱き合ったまま、笑い合う。
バイブやローター、いわゆる「大人の玩具」を作る会社に勤める相馬涼介さんは、私の体を使って改良点などを見つけている。
「モニターになってくれないか」と彼からスカウトされたときに、「じゃあ、あなたとセックスしたい」と持ちかけたのは私。相馬さんは驚いていたけれど、そのあと彼の股間を見て驚いたのも、私だ。
大きめサイズのコンドームすら受け付けない彼の巨根は、それを受け入れる女の子すらいなかった。たいてい、勃起状態の巨根を見て「無理です、壊れます!」と逃げられるのだそうだ。
ゆえに、風俗嬢にお世話になる日々を過ごしてきた彼。何ともかわいそうな話である。
「手錠、痛くなかった?」
「大丈夫だったよ。痛くないけど、拘束されている感じはあったから」
中で小さくなったといえど、結構な太さである。少し腰を揺すると、相馬さんは私の手首を見つめながら、くすぐったそうに笑う。
「良かった。内側に柔らかいシリコンを使ったからね」
「色は銀より黒とか紫とかのビビッドな色と、パステル色があれば女の子も買いやすいかなぁ」
「ジョークグッズとして、ね。あと、音はうるさいかな?」
「ガチャガチャうるさいけど、男の人はそれで興奮するんでしょ? わざと?」
「正解。わざと音が鳴るようにしてある」
「やっぱりね」
よいしょと抜こうとすると、腰を押さえられる。あれ、続けて二回戦かなと相馬さんを見つめると、唇に啄むようなキスが重なる。
「あかり、何から逃げてるの?」
「……え」
「二週続けてうちに来るなんて、今までなかったじゃん。何かあった?」
鋭い。
相馬さんは鋭いなぁ。
今まで、二週続けて会うときは、たいてい宮野さんだったから。
「電話もよく鳴っているし。あれ、他の男でしょ? 出なくていいの?」
「ん……いいの……ほんとは良くないけど」
「ほーら! 良くないんじゃん」
先週は「体調が悪くなっちゃって」と湯川先生に断り、今週も同じ手を使ったら、かなり心配されてしまったのだ。「看病しようか?」と言い出した先生を放置している私は、やはり逃げているのだろう。
「あかりに何人セフレがいるのか知らないけど、ちゃんと皆平等に愛してあげなきゃダメだよ。その愛が、嘘であってもね」
「わかってるんだよ? でも、会うのが怖くて」
「何で怖いの? 暴力でも振るわれた?」
「違う、違うよ。そんなんじゃなくて」
私は何が怖いのか。
わかっている。私は。
「あぁ、愛されるのが怖いの?」
ビクリと体が跳ねたのを見て、相馬さんはすべてを悟ったようだ。
「なるほど。相手が本気になっちゃったかもしれない、と」
「私、体の関係だけでいいのに……」
「あかりは我儘だなぁ」
相馬さんにぎゅうと抱きつく。彼はぽんぽんと頭を軽く叩いて、背中を撫でてくれる。
「長く一緒に過ごせば過ごすほど、離れ難くなるのはわかるでしょ?」
「うん」
「男は独占欲が強いんだから、体を許した時点で心も欲しくなるに決まってる」
「……涼介も?」
相馬さんは笑う。
「世の中のすべての風俗嬢は俺の嫁だ!」
「……涼介だけだよ、そう思うの」
「まぁ、でも、体の関係だけでも恋には落ちるよ。今、俺、リョーコちゃんって子に夢中なの」
相馬さんがよく利用するところのデリヘル嬢さんだろうか。
「うまくいきそう?」
「いや、難しいね。子どもがいるからそっち優先だし、年上ってこと気にしてるし。でも、子どもと一緒にデートするのがとりあえずの目標なんだ」
「……うまくいくといいね」
ありがとーと脳天気に相馬さんは笑う。裏表のない笑顔には本当に癒やされる。
「でも、あかりは何で体だけでいいの? 何で愛されたくないの?」
「それは……」
「その答え、ちゃんと電話の彼に伝えたほうがいいよ。じゃないと、追いかけてくるだけだよ」
佐々木先輩も同じことを言っていた。
やっぱり、誠意を見せるしかないのだろうか。
「絵のモデルは昔の私です。私はサキュバスだから、精液だけが欲しいんです」と答えたら、先生は納得してくれるだろうか。
……するわけないか。
短い梅雨が終わり、夏が始まろうとしている。
「ねぇ、あかり。次はローター試してもらっていい?」
相馬さんの頭の中は、常にピンク色の春真っ盛りだ。
「……出ていいよ。持ってきてあげようか?」
「いい。出ない」
「そう? こんなの挿れたまま電話に出るとか、エロいと思うけど」
相馬さんが舌なめずりをして、手を動かす。
「っ、あ、そこ、いいっ」
「うん、ここね。上?」
「んっ、うえ」
温められたローションをまとったシリコン製のバイブは、動いてはいない。相馬さんの手によって、ヌルヌルと動かされているだけだ。
「こっち側にもう少し突起を増やすかなぁ。角度が難しいかも」
「やっ、ダメ、そこっ」
「男なら持てるけど、女の子がこの角度と位置で持つのは難しいな、うん」
「そうま、さんっ」
バイブを小刻みに動かされ、少し奥にあるイイところが切なく疼く。そんなに刺激されたら、達してしまいたくなる。
「涼介でしょ。名前で呼んでくれたら、イカせてあげる」
相馬さんの唇が胸の突起を掠め、胸の膨らみに吸い付く。ちゅうと吸い上げて、キスマークを散らしていく。
「女の子用のバイブを作ったほうがいいかな。でもGスポットは皆違うから、どう動かそうかな」
「っ、中に、螺旋状の、突起を……」
「あー、なるほど。リング状だと部品が多くなりそうだし、螺旋状はいいかも」
バイブの先端が私の最奥へ沈められる。男の人のものとは違う無機質な道具だけれど、開発に余念のない男の手にかかれば、本物以上に快楽がもたらされる。
「ありがとね、あかり」
「やんっ、あ……ひゃあぁっ!」
「あ、こら、暴れないで。痛くなっちゃうよ」
ガシャガシャと手首に繋がれた玩具の手錠が揺れる。相馬さんが脇なんか舐めるから、暴れたくなるんじゃないの、もう!
「じゃ、そろそろ――イク?」
胸の先端が相馬さんの口に覆われて、舌が一番敏感な突起を舐め上げる。待ちに待った刺激に、腰が浮く。ヴィンヴィンと彼の手元のバイブが動き始めて、奥から少し手前を刺激する。さっき彼に教えた箇所だ。
「やっ、あ、んんっ」
「中でイク? クリでイク?」
「この、ままっ、あ!」
一瞬の角度だったのに、相馬さんは私の反応を見逃さない。私が一際大きく啼いた角度をキープして、執拗に攻め立てる。
ほんと、いい性格と、いい笑顔、してる。
「あかり、おいで」
バイブの音。ぐちゅぐちゅと掻き混ぜられる卑猥な音。ベッドに繋がれた手錠の音。相馬さんの唇から漏れる気持ちのいい音。
何もかも――忘れさせて。
「りょーすけっ、イッ、」
「いいよ、おいで」
「ん、っっ!」
シリコンの先端を強く当てられ、乳首を舐られ――その甘い刺激に、強い快楽を感じて、達してしまう。
一度高みへ昇らされたあと、体がゆっくり緊張を解いていく。
「ひあっ!」
スイッチを切ったバイブをずるりと抜いて、相馬さんは笑う。
「コレと俺の、どっちが好き?」
「……涼介の」
「もう。あかりはいつもソレだなぁ。いつになったら、コッチを好きになってくれるのかな」
相馬さんが開発したものでも、気持ち良くさせてくれるものでも、それは偽物だ。
精液、出してくれないんだもの。
「涼介のが好き」
「んもう、かわいい」
玩具の手錠が外されて、「おいで」と微笑む相馬さんの首に抱きつく。寛げられ、既に屹立した雄の先走りを指ですくい、舐め取る。
「おいし。口でする? それとも、このまま?」
「ん、もう限界。中でイカせて」
耳元で体を求められる快感。首に抱きついたまま、硬い男根の上から少しずつ腰を沈めていく。ローションと愛液でぐちゃぐちゃに濡れた中へ、雄々しく反り立つ凶悪すぎる太さの肉棒を迎え入れていく。
「っ、は……おっきぃ……」
「これだけ濡れてるのに、窮屈だもんな……痛くない? 大丈夫?」
「だい、じょぶ……っふ」
相馬さんの巨根は、本当に困ったもので。どれだけ解しても、普通の愛液だけでは、その太さを受け入れることができない。ローションとバイブで解さなければ、無理なのだ。
それでも、痛いし、圧迫感がスゴい。
「あかり、中が、動いて……っ」
「イッたばかり、だから」
「あ、っ、奥まで……」
相馬さんの陰茎を根元まで咥えて、ゆっくり上下に腰を振る。襞という襞が、相馬さんのものに引っ張られて動く感じ。二人の声とぐちゅぐちゅと淫らな水音だけが部屋に響く。
「胸、やらかい」
「んっ、やっ、だ」
「乳首、かわいい。すぐ起つよね」
「も、りょーすけ」
抱きしめられて、その胸の先端が相馬さんの胸で潰され、捏ねられる。その甘い刺激でさえ、快楽のスパイスになる。
「あかり。限界」
「いいよ、中に、来て」
「っあ、出るっ」
びくん、と肉棒が震えるのさえ、わかる。何度も何度も、震える。奥に吐き出された彼の精は大量で、零れてしまいそうになるのを必死で食い止める。
性器が大きければ、精液も大量。規格外の人だ、本当に。
「あかり……相変わらず、いいね」
「涼介のも、相変わらず太いね」
抱き合ったまま、笑い合う。
バイブやローター、いわゆる「大人の玩具」を作る会社に勤める相馬涼介さんは、私の体を使って改良点などを見つけている。
「モニターになってくれないか」と彼からスカウトされたときに、「じゃあ、あなたとセックスしたい」と持ちかけたのは私。相馬さんは驚いていたけれど、そのあと彼の股間を見て驚いたのも、私だ。
大きめサイズのコンドームすら受け付けない彼の巨根は、それを受け入れる女の子すらいなかった。たいてい、勃起状態の巨根を見て「無理です、壊れます!」と逃げられるのだそうだ。
ゆえに、風俗嬢にお世話になる日々を過ごしてきた彼。何ともかわいそうな話である。
「手錠、痛くなかった?」
「大丈夫だったよ。痛くないけど、拘束されている感じはあったから」
中で小さくなったといえど、結構な太さである。少し腰を揺すると、相馬さんは私の手首を見つめながら、くすぐったそうに笑う。
「良かった。内側に柔らかいシリコンを使ったからね」
「色は銀より黒とか紫とかのビビッドな色と、パステル色があれば女の子も買いやすいかなぁ」
「ジョークグッズとして、ね。あと、音はうるさいかな?」
「ガチャガチャうるさいけど、男の人はそれで興奮するんでしょ? わざと?」
「正解。わざと音が鳴るようにしてある」
「やっぱりね」
よいしょと抜こうとすると、腰を押さえられる。あれ、続けて二回戦かなと相馬さんを見つめると、唇に啄むようなキスが重なる。
「あかり、何から逃げてるの?」
「……え」
「二週続けてうちに来るなんて、今までなかったじゃん。何かあった?」
鋭い。
相馬さんは鋭いなぁ。
今まで、二週続けて会うときは、たいてい宮野さんだったから。
「電話もよく鳴っているし。あれ、他の男でしょ? 出なくていいの?」
「ん……いいの……ほんとは良くないけど」
「ほーら! 良くないんじゃん」
先週は「体調が悪くなっちゃって」と湯川先生に断り、今週も同じ手を使ったら、かなり心配されてしまったのだ。「看病しようか?」と言い出した先生を放置している私は、やはり逃げているのだろう。
「あかりに何人セフレがいるのか知らないけど、ちゃんと皆平等に愛してあげなきゃダメだよ。その愛が、嘘であってもね」
「わかってるんだよ? でも、会うのが怖くて」
「何で怖いの? 暴力でも振るわれた?」
「違う、違うよ。そんなんじゃなくて」
私は何が怖いのか。
わかっている。私は。
「あぁ、愛されるのが怖いの?」
ビクリと体が跳ねたのを見て、相馬さんはすべてを悟ったようだ。
「なるほど。相手が本気になっちゃったかもしれない、と」
「私、体の関係だけでいいのに……」
「あかりは我儘だなぁ」
相馬さんにぎゅうと抱きつく。彼はぽんぽんと頭を軽く叩いて、背中を撫でてくれる。
「長く一緒に過ごせば過ごすほど、離れ難くなるのはわかるでしょ?」
「うん」
「男は独占欲が強いんだから、体を許した時点で心も欲しくなるに決まってる」
「……涼介も?」
相馬さんは笑う。
「世の中のすべての風俗嬢は俺の嫁だ!」
「……涼介だけだよ、そう思うの」
「まぁ、でも、体の関係だけでも恋には落ちるよ。今、俺、リョーコちゃんって子に夢中なの」
相馬さんがよく利用するところのデリヘル嬢さんだろうか。
「うまくいきそう?」
「いや、難しいね。子どもがいるからそっち優先だし、年上ってこと気にしてるし。でも、子どもと一緒にデートするのがとりあえずの目標なんだ」
「……うまくいくといいね」
ありがとーと脳天気に相馬さんは笑う。裏表のない笑顔には本当に癒やされる。
「でも、あかりは何で体だけでいいの? 何で愛されたくないの?」
「それは……」
「その答え、ちゃんと電話の彼に伝えたほうがいいよ。じゃないと、追いかけてくるだけだよ」
佐々木先輩も同じことを言っていた。
やっぱり、誠意を見せるしかないのだろうか。
「絵のモデルは昔の私です。私はサキュバスだから、精液だけが欲しいんです」と答えたら、先生は納得してくれるだろうか。
……するわけないか。
短い梅雨が終わり、夏が始まろうとしている。
「ねぇ、あかり。次はローター試してもらっていい?」
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