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03.情事と事情(三)
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結局、ケーキバイキングに荒木さんは誘えなくて、木曜日に休みをもらって一人でホテルまでやってきた。
東京タワーにほど近いホテル。湯川先生と何度か来たことがあるけれど、高級なホテルに属するようで、ドアマンがいたり、大きなシャンデリアがあったり、透明なピアノが置いてあったりして、とにかくキラキラ輝いている。日陰者にとっては眩しい世界だ。
けれど、一応、こういうところに出入りするための服一式は先生から買ってもらっているため、それを着てきた。よくわからないブランドのワンピースだけど、淡いピンクの薄い絹のような手触りの布が幾重にもレイヤードされていて、歩くたびにふわふわ揺れるのが気に入っている。普段はめったに履かないヒールのあるパンプスは、ピカピカの床でカツカツ音を出す。
チケットを確認してから、エレベーターへ乗り込む。ケーキバイキングの会場は三十七階だ。
湯川先生と出会ったのは、入院した課長の見舞いに行ったときだ。心臓を悪くした課長の手術が無事に終わったので、皆で見舞いに行った病室に、担当医として心臓血管外科医の彼がいた。
相性の良さは、実際にセックスをしなくても、一瞬でわかる。サキュバスゆえの性質なのか、単なる一目惚れというものなのかはわからないけれど、それを湯川先生から感じた。
湯川先生も同じだったようで、私をひと目見た瞬間に「抱きたい」と思ってくれたようだ。
帰りに声をかけられて、夕飯に誘われて、そういう関係になった。
先生は最初「結婚を前提に付き合ってほしい」と私に伝えてきたけれど、私は拒否をした。老いることのない私は、人間と同じような生活ができない。いつかは、人間ではないとバレてしまう。
それでもいい、と一緒に生きてくれた人はいた。けれど、自分は老いるのに私は昔のまま。「仲の良い夫婦」が「親子」「祖父と孫」と世間から思われるようになるにつれ、彼は老いる自分を責めた。仕方のないことなのに、彼は自分を追い詰めて、狂って、死んだ。
だから、私は伴侶を必要としない。結婚もしない。精液だけ男から与えてもらって、体だけの関係だと割り切って、そうして、生きていくのだ。
湯川先生には私の考えを伝えてある。けれど、先生は「それでもいい」と、体だけの関係を容認してくれた。他の男の存在も認めてくれた。
ありがたい、存在だ。
ただ、それと恋は別だ。
荒木さんを「いいなぁ」と思うのと、湯川先生を「いいなぁ」と思う気持ちは、違う。
トキメキが圧倒的に違うのだ。
「いらっしゃいませ」と頭を下げるウエイターにチケットを渡す。席まで案内してくれるので、ついていく。
三十七階は、ほぼガラス張りの展望台のような開けた空間で、東京タワーを一望できるようになっている。パーティ会場なのか、披露宴でもできそうなくらいの広さの空間の中央にケーキと飲み物、その周りにテーブル席が並んでいる。平日だが、人は多い。女性だけでなく、男性の姿もある。
「お連れ様はお待ちでございますよ」
「お連れ、さま?」
え、まさか、湯川先生?
甘いもの苦手なのに、来たの?
「どうぞ、こちらです」
しかし、案内された席に座っていたのは、湯川先生ではなかった。スーツを着たサラリーマン風の見たこともない眼鏡の男性だった。
「あぁ、相席ですか、失礼」
テーブルいっぱいに広げた皿を片付けながら、男性はオレンジジュースを飲み干した。ウエイターが皿を下げ、私が正面に座ると、彼は小首を傾げた。
「まだ席は空いてますけど、どうして相席なんでしょうね?」
「お連れ様、と言っていました。もしかして、湯川先生のお知り合いの方ですか?」
椅子はふかふかのソファのような柔らかいもの。座るとズブズブ沈む。気持ちいい。
男性と顔を見合わせると、一瞬の間のあと顔を歪めて「あの野郎」と呟くのが聞こえた。あの湯川先生の野郎の知り合いのようです。
「あー……湯川の同期の水森と言います。あのバカとは高校時代からの腐れ縁で」
「水森、さん……もしかして精神科のお医者様でいらっしゃいますか?」
「あ、はい。湯川から聞いていますか?」
やっぱり。
いい精神科医として手渡された紙に書いてあった名前が、確か水森だった。なるほど、私が連絡するわけがないことを見越して、強引に引き合わせたな、湯川先生め。
「いい精神科医が友人にいると湯川先生から聞いたことがありまして」
「なるほど。じゃあ、あなたが」
水森さんは声のトーンを落として。
「――セックス依存症の、結婚相手」
カニ、やっぱり買ってきてもらおう。
◆◇◆◇◆
イチゴのショートケーキはイチゴがふんだんに使われていて、何とも贅沢だ。無花果のタルトは甘すぎなくて、口当たりも良い。レアチーズケーキもベイクドチーズケーキも、美味しい。
「クレームブリュレは目の前で焦がしてくれますよ」
「わ、それはいいですね」
「抹茶プリンも美味しかったです」
「それは是非取りに行かなければ!」
幸せだ。いやぁ、本当に幸せだ。
本当は荒木さんと一緒に来たかったけれど、水森さんもなかなか甘いものが好きなようで、彼が「美味しい」と言うものにハズレがない。いい舌をしている。
舌は肥えているようなのに、体型はスリム。筋肉質ではない。中肉中背というやつだ。脱がしたらどんな体だろう。引き締まっているといいけど、たるんでいても構わない。
……まぁ、寝ないけど。
「今日はお休みですか?」
「休みを取りました。水森先生は?」
「水森でいいですよ。もともと木曜日は休診日なんです」
なるほど。だから、湯川先生は木曜日のチケットを準備したのか。甘いもの好きの彼なら必ず行くだろうと予測して。
「お仕事は何を?」
「派遣社員です。営業補佐をしています」
「ストレスはありますか?」
「まぁ、多少は」
荒木さんと日向さんのこととか? まぁ、あれは本当に瑣末なストレスでしかないけれど。
水森さんは洋ナシのタルトを食べながら質問を続けてくる。
「今セックスフレンドは何人ですか?」
「四人、です」
「不倫は?」
「したことありません」
「行為後に罪悪感を覚えたことは?」
「さぁ、ありませんけど」
何だか尋問されているかのようだ。診察が始まっているならば、早めに言っておかないと。
「水森さん、私、湯川先生の結婚相手ではありません。診察を受ける予定もありません」
「まぁ、そうでしょうね」
「……え?」
パイナップルジュースを一口飲んで、水森さんは東京タワーを見る。
「湯川はあなたにご執心ですが、あなたはそうではない。四人の中に湯川が含まれるのでしょう?」
「ええ、まあ」
「セックスをストレスの捌け口としているわけでもなく、節度も保っている。罪悪感もない。病気ではなくて、あなたの性質だと思います」
ええ、おっしゃる通りです。ただの性質です。種族的な性質です。
声のトーンは抑えてはいるけれど、初対面の人にこんなに「セックス」を連呼されたのは初めてだ。少し恥ずかしい。周りの人に聞こえてはいないようだけど、私にだって恥じらいはあるのだ。
「例えば、今から僕があなたをベッドに誘ったとしても、あなたはそれを受け入れ、行為後にも何の感情も持たないでしょう?」
「好みはありますけど、誘われたら基本的には断りませんね。既婚者は後が面倒なので断りますが。感情、も、持たないでしょうね」
湯川先生からは「水森とセックスしないでくれ」と言われたけれど、今は食事は週に一度だけだと自制しているだけであって、常に食欲はある。ケーキを食べても満腹にはならない。甘いもので幸せな気持ちは満たされるが、食欲は満たされない。
「月野さん。あなたは残酷な人だ。今、僕はちょっとだけ湯川に同情しましたよ」
残酷な人、か。よく言われる言葉だ。もう慣れたけど。
生クリームたっぷりのフルーツロールケーキを口に運んで、頷く。美味しい。
「あなたにとって、セックスは性欲処理ではないのでは?」
「……と言いますと?」
なんだ、この人。
ただ知的好奇心を満たしたいだけなのだろうが、私をどこまで知りたいのだろう。どこまで私に関わるのだろう。
興味本位で痛い腹を探られるのは、迷惑だ。
私は穏やかに暮らしたいだけなのだから。
「あなたにとってセックスは、例えば、食欲や睡眠欲のようなものでは? なくてはならない、必要不可欠なものなのではありませんか?」
水森さんの眼鏡の奥の目がギラリと光ったような、気がした。
ふぅとため息をついて、フォークを皿に置いて、水森さんを睨みつける。ちょっと腹が立ってきた。
私の人生に深く関わらないのであれば、余計な詮索はしないで欲しい。
「……それを知って、どうするんです? 研究したいなんて言わないですよね?」
「そういう気持ちがない、とは言い切れません。医者は学者でもありますから、好奇心は満たしたい。でも」
……でも?
「サキュバスはさすがに専門外なので」
ドクリと心臓が跳ねる。
「肉体的な性質には興味ありませんが、その生態には興味があります」
どういう思考でその結論にたどり着くのか、本当にわけがわからない。私がずっと隠してきたことを、ものの一時間で理解してしまうような人、今まで出会ったことがない。
なに、この人。何なの?
「僕の好奇心を満たしてくれませんか」
あと少しケーキを食べたかったけれど、無理だ。帰ろう。腹が立って仕方がない。
湯川先生のバカ!
水森のアホ!
「お断りしますっ!」
私は、観察対象でも実験動物でもないの!
東京タワーにほど近いホテル。湯川先生と何度か来たことがあるけれど、高級なホテルに属するようで、ドアマンがいたり、大きなシャンデリアがあったり、透明なピアノが置いてあったりして、とにかくキラキラ輝いている。日陰者にとっては眩しい世界だ。
けれど、一応、こういうところに出入りするための服一式は先生から買ってもらっているため、それを着てきた。よくわからないブランドのワンピースだけど、淡いピンクの薄い絹のような手触りの布が幾重にもレイヤードされていて、歩くたびにふわふわ揺れるのが気に入っている。普段はめったに履かないヒールのあるパンプスは、ピカピカの床でカツカツ音を出す。
チケットを確認してから、エレベーターへ乗り込む。ケーキバイキングの会場は三十七階だ。
湯川先生と出会ったのは、入院した課長の見舞いに行ったときだ。心臓を悪くした課長の手術が無事に終わったので、皆で見舞いに行った病室に、担当医として心臓血管外科医の彼がいた。
相性の良さは、実際にセックスをしなくても、一瞬でわかる。サキュバスゆえの性質なのか、単なる一目惚れというものなのかはわからないけれど、それを湯川先生から感じた。
湯川先生も同じだったようで、私をひと目見た瞬間に「抱きたい」と思ってくれたようだ。
帰りに声をかけられて、夕飯に誘われて、そういう関係になった。
先生は最初「結婚を前提に付き合ってほしい」と私に伝えてきたけれど、私は拒否をした。老いることのない私は、人間と同じような生活ができない。いつかは、人間ではないとバレてしまう。
それでもいい、と一緒に生きてくれた人はいた。けれど、自分は老いるのに私は昔のまま。「仲の良い夫婦」が「親子」「祖父と孫」と世間から思われるようになるにつれ、彼は老いる自分を責めた。仕方のないことなのに、彼は自分を追い詰めて、狂って、死んだ。
だから、私は伴侶を必要としない。結婚もしない。精液だけ男から与えてもらって、体だけの関係だと割り切って、そうして、生きていくのだ。
湯川先生には私の考えを伝えてある。けれど、先生は「それでもいい」と、体だけの関係を容認してくれた。他の男の存在も認めてくれた。
ありがたい、存在だ。
ただ、それと恋は別だ。
荒木さんを「いいなぁ」と思うのと、湯川先生を「いいなぁ」と思う気持ちは、違う。
トキメキが圧倒的に違うのだ。
「いらっしゃいませ」と頭を下げるウエイターにチケットを渡す。席まで案内してくれるので、ついていく。
三十七階は、ほぼガラス張りの展望台のような開けた空間で、東京タワーを一望できるようになっている。パーティ会場なのか、披露宴でもできそうなくらいの広さの空間の中央にケーキと飲み物、その周りにテーブル席が並んでいる。平日だが、人は多い。女性だけでなく、男性の姿もある。
「お連れ様はお待ちでございますよ」
「お連れ、さま?」
え、まさか、湯川先生?
甘いもの苦手なのに、来たの?
「どうぞ、こちらです」
しかし、案内された席に座っていたのは、湯川先生ではなかった。スーツを着たサラリーマン風の見たこともない眼鏡の男性だった。
「あぁ、相席ですか、失礼」
テーブルいっぱいに広げた皿を片付けながら、男性はオレンジジュースを飲み干した。ウエイターが皿を下げ、私が正面に座ると、彼は小首を傾げた。
「まだ席は空いてますけど、どうして相席なんでしょうね?」
「お連れ様、と言っていました。もしかして、湯川先生のお知り合いの方ですか?」
椅子はふかふかのソファのような柔らかいもの。座るとズブズブ沈む。気持ちいい。
男性と顔を見合わせると、一瞬の間のあと顔を歪めて「あの野郎」と呟くのが聞こえた。あの湯川先生の野郎の知り合いのようです。
「あー……湯川の同期の水森と言います。あのバカとは高校時代からの腐れ縁で」
「水森、さん……もしかして精神科のお医者様でいらっしゃいますか?」
「あ、はい。湯川から聞いていますか?」
やっぱり。
いい精神科医として手渡された紙に書いてあった名前が、確か水森だった。なるほど、私が連絡するわけがないことを見越して、強引に引き合わせたな、湯川先生め。
「いい精神科医が友人にいると湯川先生から聞いたことがありまして」
「なるほど。じゃあ、あなたが」
水森さんは声のトーンを落として。
「――セックス依存症の、結婚相手」
カニ、やっぱり買ってきてもらおう。
◆◇◆◇◆
イチゴのショートケーキはイチゴがふんだんに使われていて、何とも贅沢だ。無花果のタルトは甘すぎなくて、口当たりも良い。レアチーズケーキもベイクドチーズケーキも、美味しい。
「クレームブリュレは目の前で焦がしてくれますよ」
「わ、それはいいですね」
「抹茶プリンも美味しかったです」
「それは是非取りに行かなければ!」
幸せだ。いやぁ、本当に幸せだ。
本当は荒木さんと一緒に来たかったけれど、水森さんもなかなか甘いものが好きなようで、彼が「美味しい」と言うものにハズレがない。いい舌をしている。
舌は肥えているようなのに、体型はスリム。筋肉質ではない。中肉中背というやつだ。脱がしたらどんな体だろう。引き締まっているといいけど、たるんでいても構わない。
……まぁ、寝ないけど。
「今日はお休みですか?」
「休みを取りました。水森先生は?」
「水森でいいですよ。もともと木曜日は休診日なんです」
なるほど。だから、湯川先生は木曜日のチケットを準備したのか。甘いもの好きの彼なら必ず行くだろうと予測して。
「お仕事は何を?」
「派遣社員です。営業補佐をしています」
「ストレスはありますか?」
「まぁ、多少は」
荒木さんと日向さんのこととか? まぁ、あれは本当に瑣末なストレスでしかないけれど。
水森さんは洋ナシのタルトを食べながら質問を続けてくる。
「今セックスフレンドは何人ですか?」
「四人、です」
「不倫は?」
「したことありません」
「行為後に罪悪感を覚えたことは?」
「さぁ、ありませんけど」
何だか尋問されているかのようだ。診察が始まっているならば、早めに言っておかないと。
「水森さん、私、湯川先生の結婚相手ではありません。診察を受ける予定もありません」
「まぁ、そうでしょうね」
「……え?」
パイナップルジュースを一口飲んで、水森さんは東京タワーを見る。
「湯川はあなたにご執心ですが、あなたはそうではない。四人の中に湯川が含まれるのでしょう?」
「ええ、まあ」
「セックスをストレスの捌け口としているわけでもなく、節度も保っている。罪悪感もない。病気ではなくて、あなたの性質だと思います」
ええ、おっしゃる通りです。ただの性質です。種族的な性質です。
声のトーンは抑えてはいるけれど、初対面の人にこんなに「セックス」を連呼されたのは初めてだ。少し恥ずかしい。周りの人に聞こえてはいないようだけど、私にだって恥じらいはあるのだ。
「例えば、今から僕があなたをベッドに誘ったとしても、あなたはそれを受け入れ、行為後にも何の感情も持たないでしょう?」
「好みはありますけど、誘われたら基本的には断りませんね。既婚者は後が面倒なので断りますが。感情、も、持たないでしょうね」
湯川先生からは「水森とセックスしないでくれ」と言われたけれど、今は食事は週に一度だけだと自制しているだけであって、常に食欲はある。ケーキを食べても満腹にはならない。甘いもので幸せな気持ちは満たされるが、食欲は満たされない。
「月野さん。あなたは残酷な人だ。今、僕はちょっとだけ湯川に同情しましたよ」
残酷な人、か。よく言われる言葉だ。もう慣れたけど。
生クリームたっぷりのフルーツロールケーキを口に運んで、頷く。美味しい。
「あなたにとって、セックスは性欲処理ではないのでは?」
「……と言いますと?」
なんだ、この人。
ただ知的好奇心を満たしたいだけなのだろうが、私をどこまで知りたいのだろう。どこまで私に関わるのだろう。
興味本位で痛い腹を探られるのは、迷惑だ。
私は穏やかに暮らしたいだけなのだから。
「あなたにとってセックスは、例えば、食欲や睡眠欲のようなものでは? なくてはならない、必要不可欠なものなのではありませんか?」
水森さんの眼鏡の奥の目がギラリと光ったような、気がした。
ふぅとため息をついて、フォークを皿に置いて、水森さんを睨みつける。ちょっと腹が立ってきた。
私の人生に深く関わらないのであれば、余計な詮索はしないで欲しい。
「……それを知って、どうするんです? 研究したいなんて言わないですよね?」
「そういう気持ちがない、とは言い切れません。医者は学者でもありますから、好奇心は満たしたい。でも」
……でも?
「サキュバスはさすがに専門外なので」
ドクリと心臓が跳ねる。
「肉体的な性質には興味ありませんが、その生態には興味があります」
どういう思考でその結論にたどり着くのか、本当にわけがわからない。私がずっと隠してきたことを、ものの一時間で理解してしまうような人、今まで出会ったことがない。
なに、この人。何なの?
「僕の好奇心を満たしてくれませんか」
あと少しケーキを食べたかったけれど、無理だ。帰ろう。腹が立って仕方がない。
湯川先生のバカ!
水森のアホ!
「お断りしますっ!」
私は、観察対象でも実験動物でもないの!
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