26 / 34
026.「早く諦めてくれたらいいのに」
しおりを挟む
食事は二回、朝と夕方。夕方もピアが運んできた。他にもメイドはいるだろうが、彼女が係となっているようだ。牢屋に人を閉じ込めていることなど、大勢の使用人に知られたくはないのだろう。
しかし、一度心を許した中年メイドは、サリタによく話しかけてくる。それを悪いことだとは思っていない様子なので、利用しない手はない。
「ロランド様ですか? しばらくお見かけしておりませんねぇ」
どうやらロランドはメイドたちに見つかる前に、この邸から追い出されたようだ。あのあと、おそらくブロテ領に連れ戻されたのだろう。サリタのように牢屋に閉じ込められてはいないのだろう。
「侯爵はよくお出でになられるようね」
「ええ。侯爵様とエドガルド様は義理の兄弟ですし、邸も近いですから」
サリタはパンを口に運ぶ手を止める。
侯爵の邸はブロテ領にあるはずだ。ここは王都に近い場所ではなかったのか。サリタはピアに動揺を悟られないように、必要な情報を引き出す。
「ここは、王都に近い場所ではないの?」
「あら。あなた、流行病で頭がおかしくなってしまったのですか? ここはブロテ領、エドガルド様の邸ですよ。元々は先代侯爵様の別荘ではございますけれど」
木箱の中に閉じ込められていた間に、何日も過ぎていたのだろうか。「違うわね」とサリタは呟く。おそらく、あの聖獣モタビリーの力なのだろう。馬車ごと移動させることなど容易い聖獣なのだ。だから、以前もサリタはいつの間にか王都に到着していたし、今回もブロテ領にやってきてしまった。
しかし、モタビリーはエリアスの聖獣でも、サリタの聖獣でもない。聖獣を使役することができるのは、神託を授かった勇者か聖女だけ。勇者と聖女のそばに侍らず、国内で気ままに過ごす聖獣もいるが、聖なる生き物に対してただの人間が命令することはできない。
あのモタビリーは一体何なのか。誰の聖獣なのか。サリタにはまだわからないことがある。
「……そういえば、誰か、私を尋ねてきた人はいる?」
「いいえ。今日は侯爵様もいらしていませんよ」
ピアの返答に、サリタは小首を傾げる。逃げても追いかける、と豪語していた勇者エリアスがやって来ないのは不思議なことだ。聖獣プルケルに乗ってあの広大な庭にでも降り立つものと思っていた。
助けに来てもらいたいとは微塵も思わないが、勇者が来ないのもそれはそれで不安だ。
「あなた様のご家族の方が心配していらっしゃっても、通すなと言われておりますので……どちらにしてもお会いすることはできませんよ。ですから、早く病気を治さねば」
「ええ。病気の子は増えているの?」
「実は、かなり」
既婚メイドたちが娘を看病をしているので、人手が足りないのだとピアが嘆く。ピアには息子しかいないため、休んだメイドたちの代わりにずっと働いているのだという。
邸の庭にあるブロテキビの量では、流通させるほどの飴玉を作ることはできない。だとすると、ブロテ領のどこかに農園があるのだろうと想像できる。その農園の土の中には、恨みを抱いたまま死んでいった人たちが眠っていると考えると、背筋が冷たくなる。
「……酷いわね」
「そうなんです、かわいそうなものですよ。原因がわからないために、薬も作りようがないと聞いています」
原因はわかっている。だが、ラウラのように昏い痣を直接祓わなければ、体内に入り込んだ『瘴気の澱』を消すことはできない。必要なのは、サリタとエアリスの聖なる力なのだ。
「さすがに疫病は勇者様にも祓うことはできないみたいね」
「そのようですね。最近はあちこちに『瘴気の澱』が現れているので、随分お疲れのようだと聞いておりますし」
先日の聖母会のことだろう。あの酷いクマを信徒たちに見られてしまったと言っていた。
「勇者様はあまりこちらにはいらっしゃらないのかしら?」
「そういえば、いらっしゃいませんね。ブロテ領では『瘴気の澱』があまり出てきませんもの。穏やかな気候のせいなのでしょうかね」
それはおかしい、とサリタはスープを飲む。
亡くなった人はすぐに教会や神殿の聖水で清めて弔いの祈りを捧げなければならない。そうしなければ、『瘴気の澱』が発生してしまうというのがエリアスの考えだ。不慮の事故で亡くなり、何日も遺体が発見されないまま『瘴気の澱』を発生させてしまう人は少なくないはずだ。事故死が特別少ない領地だというわけではないだろう。
ただ、ブロテ侯爵の娘ビクトリアが聖女の資質を授かっているのであれば、その謎も解ける。ビクトリアがブロテ領を守っているのであれば、納得できる。
「ブロテ侯爵のご令嬢、ビクトリア嬢は侯爵に似ていらっしゃるの?」
「それが、全く似ていらっしゃらないんです。ビクトリア様は奥様と同じで、穏やかで優しいお嬢様でいらっしゃいますよ」
ブロテ侯爵が聖職議会の実権を握ることには反対だが、ビクトリアが強い聖なる力を持っているのであれば、できれば聖女の座を譲りたいサリタである。さっさと再婚して、ビクトリアを次の聖女に据え置きたいものだ。
「似なくて良かったわね」
「本当に」
鉄格子を挟み、二人は頷くのだった。
サリタは祈る。ブロテ領では必要がなくとも、地中の『瘴気の澱』まで消すことができるかどうかはわからなくとも、聖母神に国の平和を祈る。牢屋の中から音痴な歌声を捧げる。
この監禁状態がいつまで続くかはわからない。だが、待っていればいずれはどこかに綻びが生まれるはずだ。その隙をついて逃げ出すことはできるはずだ。
サリタは諦めない。
勇者の力を借りずとも、自力で逃げ出そうと心に決めている。エリアスにだけは頼りたくないのだ。エリアスにだけは弱みを見せたくない、その一心だ。
求婚を断り続けるにも力が必要だ。サリタだって心苦しいのだ。求婚を断るということは、エリアスを否定するということなのだから。
「早く諦めてくれたらいいのに」
サリタの溜め息混じりの呟きを、誰も聞いていない。
何年も、何百回もフラれ続けているエリアスも、おそらく同じことを思っているはずだ。早く諦めて俺と結婚してくれたらいいのに――そんなふうに思っているに違いない。
「……それは無理かな」
サリタは毛布に包まる。ところどころがキラキラと光る壁をぼんやりと眺めながら、目を閉じた。
しかし、一度心を許した中年メイドは、サリタによく話しかけてくる。それを悪いことだとは思っていない様子なので、利用しない手はない。
「ロランド様ですか? しばらくお見かけしておりませんねぇ」
どうやらロランドはメイドたちに見つかる前に、この邸から追い出されたようだ。あのあと、おそらくブロテ領に連れ戻されたのだろう。サリタのように牢屋に閉じ込められてはいないのだろう。
「侯爵はよくお出でになられるようね」
「ええ。侯爵様とエドガルド様は義理の兄弟ですし、邸も近いですから」
サリタはパンを口に運ぶ手を止める。
侯爵の邸はブロテ領にあるはずだ。ここは王都に近い場所ではなかったのか。サリタはピアに動揺を悟られないように、必要な情報を引き出す。
「ここは、王都に近い場所ではないの?」
「あら。あなた、流行病で頭がおかしくなってしまったのですか? ここはブロテ領、エドガルド様の邸ですよ。元々は先代侯爵様の別荘ではございますけれど」
木箱の中に閉じ込められていた間に、何日も過ぎていたのだろうか。「違うわね」とサリタは呟く。おそらく、あの聖獣モタビリーの力なのだろう。馬車ごと移動させることなど容易い聖獣なのだ。だから、以前もサリタはいつの間にか王都に到着していたし、今回もブロテ領にやってきてしまった。
しかし、モタビリーはエリアスの聖獣でも、サリタの聖獣でもない。聖獣を使役することができるのは、神託を授かった勇者か聖女だけ。勇者と聖女のそばに侍らず、国内で気ままに過ごす聖獣もいるが、聖なる生き物に対してただの人間が命令することはできない。
あのモタビリーは一体何なのか。誰の聖獣なのか。サリタにはまだわからないことがある。
「……そういえば、誰か、私を尋ねてきた人はいる?」
「いいえ。今日は侯爵様もいらしていませんよ」
ピアの返答に、サリタは小首を傾げる。逃げても追いかける、と豪語していた勇者エリアスがやって来ないのは不思議なことだ。聖獣プルケルに乗ってあの広大な庭にでも降り立つものと思っていた。
助けに来てもらいたいとは微塵も思わないが、勇者が来ないのもそれはそれで不安だ。
「あなた様のご家族の方が心配していらっしゃっても、通すなと言われておりますので……どちらにしてもお会いすることはできませんよ。ですから、早く病気を治さねば」
「ええ。病気の子は増えているの?」
「実は、かなり」
既婚メイドたちが娘を看病をしているので、人手が足りないのだとピアが嘆く。ピアには息子しかいないため、休んだメイドたちの代わりにずっと働いているのだという。
邸の庭にあるブロテキビの量では、流通させるほどの飴玉を作ることはできない。だとすると、ブロテ領のどこかに農園があるのだろうと想像できる。その農園の土の中には、恨みを抱いたまま死んでいった人たちが眠っていると考えると、背筋が冷たくなる。
「……酷いわね」
「そうなんです、かわいそうなものですよ。原因がわからないために、薬も作りようがないと聞いています」
原因はわかっている。だが、ラウラのように昏い痣を直接祓わなければ、体内に入り込んだ『瘴気の澱』を消すことはできない。必要なのは、サリタとエアリスの聖なる力なのだ。
「さすがに疫病は勇者様にも祓うことはできないみたいね」
「そのようですね。最近はあちこちに『瘴気の澱』が現れているので、随分お疲れのようだと聞いておりますし」
先日の聖母会のことだろう。あの酷いクマを信徒たちに見られてしまったと言っていた。
「勇者様はあまりこちらにはいらっしゃらないのかしら?」
「そういえば、いらっしゃいませんね。ブロテ領では『瘴気の澱』があまり出てきませんもの。穏やかな気候のせいなのでしょうかね」
それはおかしい、とサリタはスープを飲む。
亡くなった人はすぐに教会や神殿の聖水で清めて弔いの祈りを捧げなければならない。そうしなければ、『瘴気の澱』が発生してしまうというのがエリアスの考えだ。不慮の事故で亡くなり、何日も遺体が発見されないまま『瘴気の澱』を発生させてしまう人は少なくないはずだ。事故死が特別少ない領地だというわけではないだろう。
ただ、ブロテ侯爵の娘ビクトリアが聖女の資質を授かっているのであれば、その謎も解ける。ビクトリアがブロテ領を守っているのであれば、納得できる。
「ブロテ侯爵のご令嬢、ビクトリア嬢は侯爵に似ていらっしゃるの?」
「それが、全く似ていらっしゃらないんです。ビクトリア様は奥様と同じで、穏やかで優しいお嬢様でいらっしゃいますよ」
ブロテ侯爵が聖職議会の実権を握ることには反対だが、ビクトリアが強い聖なる力を持っているのであれば、できれば聖女の座を譲りたいサリタである。さっさと再婚して、ビクトリアを次の聖女に据え置きたいものだ。
「似なくて良かったわね」
「本当に」
鉄格子を挟み、二人は頷くのだった。
サリタは祈る。ブロテ領では必要がなくとも、地中の『瘴気の澱』まで消すことができるかどうかはわからなくとも、聖母神に国の平和を祈る。牢屋の中から音痴な歌声を捧げる。
この監禁状態がいつまで続くかはわからない。だが、待っていればいずれはどこかに綻びが生まれるはずだ。その隙をついて逃げ出すことはできるはずだ。
サリタは諦めない。
勇者の力を借りずとも、自力で逃げ出そうと心に決めている。エリアスにだけは頼りたくないのだ。エリアスにだけは弱みを見せたくない、その一心だ。
求婚を断り続けるにも力が必要だ。サリタだって心苦しいのだ。求婚を断るということは、エリアスを否定するということなのだから。
「早く諦めてくれたらいいのに」
サリタの溜め息混じりの呟きを、誰も聞いていない。
何年も、何百回もフラれ続けているエリアスも、おそらく同じことを思っているはずだ。早く諦めて俺と結婚してくれたらいいのに――そんなふうに思っているに違いない。
「……それは無理かな」
サリタは毛布に包まる。ところどころがキラキラと光る壁をぼんやりと眺めながら、目を閉じた。
10
お気に入りに追加
104
あなたにおすすめの小説
一目ぼれした小3美少女が、ゲテモノ好き変態思考者だと、僕はまだ知らない
草笛あたる(乱暴)
恋愛
《視点・山柿》
大学入試を目前にしていた山柿が、一目惚れしたのは黒髪ロングの美少女、岩田愛里。
その子はよりにもよって親友岩田の妹で、しかも小学3年生!!
《視点・愛里》
兄さんの親友だと思っていた人は、恐ろしい顔をしていた。
だけどその怖顔が、なんだろう素敵! そして偶然が重なってしまい禁断の合体!
あーれーっ、それだめ、いやいや、でもくせになりそうっ!
身体が恋したってことなのかしら……っ?
男女双方の視点から読むラブコメ。
タイトル変更しました!!
前タイトル《 恐怖顔男が惚れたのは、変態思考美少女でした 》
幸福な初恋の終わり方~王子は傷もの令嬢を寵愛す~
二階堂まや
恋愛
令嬢ヨアンナは、顔にある痘痕が理由で婚約が決まらないでいた。そんな折、父親から次の誕生日を迎える前に結婚相手が見つからなければ、修道院送りにすると宣告される。
彼女は結婚相手を探すために渋々夜会に参加するが、引っ込み思案が故上手くいかない。しかしある夜会で、ヨアンナは大国ラフタシュの王女テレサに気に入られる。そして彼女は王室の宮殿に招かれ、テレサの兄ヘンリクと出会う。やがて三人は事ある毎に行動を共にするようになる。
奔放な兄妹と過ごす日々は、いつしかヨアンナの生活を彩っていく。そしてヘンリクとの仲も深まっていくが、別れの日は刻一刻と迫っていて……?
【完結】転生令嬢はハッピーエンドを目指します!
かまり
恋愛
〜転生令嬢 2 〜 連載中です!
「私、絶対幸せになる!」
不幸な気持ちで死を迎えた少女ティアは
精霊界へいざなわれ、誰に、何度、転生しても良いと案内人に教えられると
ティアは、自分を愛してくれなかった家族に転生してその意味を知り、
最後に、あの不幸だったティアを幸せにしてあげたいと願って、もう一度ティアの姿へ転生する。
そんなティアを見つけた公子は、自分が幸せにすると強く思うが、その公子には大きな秘密があって…
いろんな事件に巻き込まれながら、愛し愛される喜びを知っていく。そんな幸せな物語。
ちょっと悲しいこともあるけれど、ハッピーエンドを目指してがんばります!
〜転生令嬢 2〜
「転生令嬢は宰相になってハッピーエンドを目指します!」では、
この物語の登場人物の別の物語が現在始動中!
【R18完結】男装令嬢と呪われた王子の不健全な婚約
千咲
恋愛
【ハピエン完結、「男装令嬢と呪われた王子の×××な婚約」の改稿・R18版。不健全なR部分を大幅に加筆しています!】
伯爵令嬢ルーチェは、長身かつ中性的な顔立ちから、可愛いドレスが似合わず幼少期から男装をして過ごしてきた。
ある日、姉の結婚式で、貴族の息子たちから執拗に追いかけられている絶世の美女に出会い、彼女の窮地を助ける。
その縁で絶世の美女ことアデリーナ第三王女から「兄と結婚してもらいたい」とお願いされたものの、その相手とは、病弱で社交界にも公務にも出られない第五王子フィオリーノのことだった。
でも、アデリーナとフィオリーノ――王家の兄妹には何やら秘密がありそうで……。
「おとぎ話ではないから、この呪いは真実の愛なんかでは解くことができないんだ」
「どんな姿のフィオでも、私は構わないよ」
可愛いもの大好きな男装令嬢と、呪いを解きたくて仕方ない王子様の、すれ違い婚姻譚。
【要注意】
昼夜逆転TSF、似非百合(盛大なネタバレゆえに、好物な方・気にならない方はそのままお読みください。苦手な方は回れ右)
獣化する人間あり(もふもふしていますがメインではないです)
他でも更新しています。
溺愛の始まりは魔眼でした。騎士団事務員の貧乏令嬢、片想いの騎士団長と婚約?!
参
恋愛
男爵令嬢ミナは実家が貧乏で騎士団の事務員と騎士団寮の炊事洗濯を掛け持ちして働いていた。ミナは騎士団長オレンに片想いしている。バレないようにしつつ長年真面目に働きオレンの信頼も得、休憩のお茶まで一緒にするようになった。
ある日、謎の香料を口にしてミナは魔法が宿る眼、魔眼に目覚める。魔眼のスキルは、筋肉のステータスが見え、良い筋肉が目の前にあると相手の服が破けてしまうものだった。ミナは無類の筋肉好きで、筋肉が近くで見られる騎士団は彼女にとっては天職だ。魔眼のせいでクビにされるわけにはいかない。なのにオレンの服をびりびりに破いてしまい魔眼のスキルを話さなければいけない状況になった。
全てを話すと、オレンはミナと協力して魔眼を治そうと提案する。対処法で筋肉を見たり触ったりすることから始まった。ミナが長い間封印していた絵描きの趣味も魔眼対策で復活し、よりオレンとの時間が増えていく。片想いがバレないようにするも何故か魔眼がバレてからオレンが好意的で距離も近くなり甘やかされてばかりでミナは戸惑う。別の日には我慢しすぎて自分の服を魔眼で破り真っ裸になった所をオレンに見られ彼は責任を取るとまで言いだして?!
※結構ふざけたラブコメです。
恋愛が苦手な女性シリーズ、前作と同じ世界線で描かれた2作品目です(続きものではなく単品で読めます)。今回は無自覚系恋愛苦手女性。
ヒロインによる一人称視点。全56話、一話あたり概ね1000~2000字程度で公開。
前々作「訳あり女装夫は契約結婚した副業男装妻の推し」前作「身体強化魔法で拳交える外交令嬢の拗らせ恋愛~隣国の悪役令嬢を妻にと連れてきた王子に本来の婚約者がいないとでも?~」と同じ時代・世界です。
※小説家になろう、ノベルアップ+にも投稿しています。※R15は保険です。
辺境伯へ嫁ぎます。
アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。
隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。
私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。
辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。
本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。
辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。
辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。
それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか?
そんな望みを抱いてしまいます。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 設定はゆるいです。
(言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)
❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。
(出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
お兄様の指輪が壊れたら、溺愛が始まりまして
みこと。
恋愛
お兄様は女王陛下からいただいた指輪を、ずっと大切にしている。
きっと苦しい片恋をなさっているお兄様。
私はただ、お兄様の家に引き取られただけの存在。血の繋がってない妹。
だから、早々に屋敷を出なくては。私がお兄様の恋路を邪魔するわけにはいかないの。私の想いは、ずっと秘めて生きていく──。
なのに、ある日、お兄様の指輪が壊れて?
全7話、ご都合主義のハピエンです! 楽しんでいただけると嬉しいです!
※「小説家になろう」様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる