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73話、姉。

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 私は流しにカップやお皿をおき、スポンジを泡立てて洗うところだった。ショウが後ろから抱きついてきて、うなじにキスを落とす。柔らかな唇の感触に、体が震える。

「どうしたの、ショウ」
「うん……ちょっとこのままでいさせて」
「いいけど、動きづらいなぁ」

 ショウが後ろからむにむにと胸を揉みしだく。気にしないふりをして、カップ、皿、フォーク、それぞれ泡立てていく。

「姉ちゃん」
「んー?」
「ちょっと相談なんだけど」

 水で泡を落としながら、食器乾燥機へカップたちを入れていく。食洗機より乾燥機が欲しいと言って、買ったもの。すぐ乾くので重宝している。

「なぁに?」
「あのさ」
「……こら、どこ触ってるの」

 前についたワンピースのボタンを器用に外し、ショウはさらにTシャツの下に手を差し込んできたのだ。素肌の上を熱い指が滑る。
 フォークを乾燥機の箸立ての中におさめ、水を止める。

「どこって、姉ちゃんの感じやすいとこ」

 ブラの中をやわやわと指が這う。探しものはすぐに見つかったようで、指が突起を優しくつまみあげる。

「ショ……」

 振り向いた先にショウの顔がある。目を細め、薄く笑みを浮かべている。
 ぎゅっと強く乳首をつままれ、痛みで声が漏れる。じんじんと熱を持ち始めた突起は、弟の指の中で快感を与えられるたびにだんだん硬くなっていく。

「あっ……ショウ、何を」
「何を、って、前戯」
「っつ、あっ」
「今夜は一緒にはいられないから、今のうちに堪能しとかなきゃ」

 今夜は?
 驚いていると、ショウが下唇を軽く食む。少し上を向いてキスをすると、コーヒーの味のする舌が歯の間を割って入ってくる。

「姉ちゃん」
「んっ、あっ、え?」
「今日からしばらくはホテルに泊まってね。美郷店長にはここの住所がわかっているから」

 でも。
 言葉を発する前に唇がふさがれてしまう。
 たぶん、ショウは私に危害が及ぶのではないかと考えているのだろう。篠原さんが「失敗」した以上、美郷店長本人が次の手を打ってくるのではないか、そう考えるのは自然なこと。
 だから、今は私に家にいてもらいたくないのだろう。
 乳首を手のひらと指先で弄びながら、ショウは後ろから私の腰あたりに硬いものを押し付けてくる。
 ショウは私が疑問や他の考えを抱く前に思考を奪ってしまうつもりのようだ。
 もう、本当に、仕方がない弟だ。

「ちょっ、ショ、あ、ん」
「ホテルに連泊かぁ。篠原さんからの示談金の使い道が決まったね」
「んもっ、私にも、言わ、せてっ」

 尚も私の言葉を聞かずに割り入ってくるショウの舌を噛む。ちょっと強めに。ショウは慌てて顔を離す。もちろん、ブラから手は抜かないけれど。

「もー、何するの、姉ちゃん」
「それは私の台詞でしょ。ちょっと落ち着いて。家にいるよりホテルにいたほうがショウが安心するなら、そうするから」
「……物わかりが良くて本当に助かるよ」
「でも、ショウは一緒じゃないの?」
「俺は行かない。美郷店長がここに来たら、俺一人で対処するから」

 その可能性はどれだけあるのだろう。私を襲う可能性と、ショウを襲う可能性。
 私には、美郷店長の考えがわからないから、今は考えるだけ無駄になりそうだ。
 ブラからショウの手を取り出す。抵抗はない。するりと腰を捻って、ショウに向き直り、立ったまま後ろから貫かれることを回避する。

「会社の近くにビジネスホテルある? 一週間くらい連泊できればいいけど。スーツケースはあったよね。今日中にチェックインしなきゃ」
「私のことを考えてくれるのはありがたいけど、ショウの安全も確保しておいてよ?」
「大丈夫。俺は男だから」

 そう過信したから、一度失敗したくせに。女であっても、腕力がなくても、男には勝てると美郷店長が証明したというのに。
 本当に、仕方がないなぁ。
 そっと頬に触れる。ショウの手が重ねられる。

「合鍵作られてるかもしれないから、家にいるときはチェーンかけるんだよ?」

 少し背伸びをして、ショウの唇に触れるだけのキスをする。

「わかってる。姉ちゃんも、ロック忘れちゃダメだよ」

 ショウが私の腰に優しく手を回して、舌を割り入れてくる。私の舌は素直に応じる。ショウの首の後ろに手を回し、ぎゅうと抱きしめ合う。

「うん。気をつける」

 ショウが調理台に私の体を押し付けて、乱暴に腰を抱く。硬いままのモノをぐりぐりと私の太ももに押し当てて、ワンピースの上から、股の間に侵入してくる。

「会社に行くときと帰るときは周りに気をつけて」

 熱を直接感じたくて、ショウのTシャツの中に手を入れ、指の腹でショウのラインをたどる。汗がしっとりと指に張り付いてくる。そういえば、冷房はリビングしか効いていない。
 ボクサーパンツと肌の間に手を滑り込ませると、熱のこもった中に、硬く、鈴口から液を滴らせる陰茎が、私の手のひらに密着してくる。

「ショウも、ね……あっ」

 ワンピースの下から手を差し込まれ、ショーツを撫でられると、中に指を入れて確認するまでもなく、湿っているのがわかる。ショウはショーツの上から、蜜が溢れ出すところと、既にぷくりと隆起している蕾とを撫で始めた。
 恥ずかしいのに、もっと触って欲しい。

「姉ちゃん……っ」

 ぬるぬるとした液が指にまとわりついてくる。それをできるだけ指と手のひらに塗り、竿を優しく上下に扱く。気持ちいいと言っていた尿の通り道、裏筋は指で扱くと、ショウは甘い吐息を漏らす。
 ……かわいい。

「うん?」

 ショーツの隙間から指が差し込まれ、やわやわと動く。ようやく直接触れてもらえたことに悦んだのか、下腹部が甘く疼いて蜜を溢れ出させる。ぐちゅぐちゅと聞こえる音が羞恥心を煽る。
 短く呼吸をするたび、まだ唇に、舌に触れていたくなる。
 指が気持ちいいところを往復するたび、もっと、もっと欲しい、と腰が動く。

「……脱がして」

 んもう、しょうがないなぁ。
 ショウの指が私の秘所から名残惜しそうに離れる。
 ボクサーパンツごとジャージを引き下げて、ショウの足の間に跪く。目の前に現れた、赤黒く怒張し、ぬるぬると光るモノのにおいを嗅ぐと、汗臭く、酸っぱい、むせ返るような雄のにおいがする。ショウのものだからだろう、嫌いではない。
 竿を両手で持ち、鈴口に舌を這わせる。ぬるりとした液が舌の滑りを良くしてくれる。液を舐め取り、唾液を代わりに落としていく。

「……はっ、あ」

 口を開け、亀頭からゆっくり咥えていく。太くて硬いショウのモノは、私の唇が進むたびにぴくぴくと動く。ショウが意識して動かしているのか、無意識なのか、よくはわからない。
 足の間からショウを見上げると、流しのふちに手をついて、目を閉じて快感を貪っている顔が見える。口の中でショウのモノを往復させると、さらに眉間に皺がよる。
 気持ちいいの、かな?

「……姉ちゃん」

 ショウを見つめながら、口と手を動かしていると、ショウが目を開けて微笑んだ。

「上目遣いは反則だよ。かわいい」
「ほう?」
「うん、そう。かわいい……このままだとイッちゃうから、交代ね」

 え、別にイッてもいいよ?
 立たされると、ショウのモノが遠くに見える。あぁ、残念。

「じゃ、次は俺の番、ね」

 ショウは私を調理台にもたれさせて、足を開かせる。少しだけキスをしたあと、ショウの頭がするりと下に降り、舌が乳首を軽く食む。指が割れ目をたどり、ナカに侵入を試み始める。
 いや、これ、恥ずかしい……っ!

「大人しくしててね、姉ちゃん」

 ショウは私の胸に、歯を立てた。

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