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54話、弟。
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恋人になりたいとか、彼氏ができたって言いたいとか、夢見がちな姉ちゃんに「寝ている間にキスをしたことがある」なんて告白したら、まぁ、怒るだろうなとは思っていたけれど。
顔を真っ赤にして、姉ちゃんは俺をにらんでくる。
まぁ、怒るよなぁ。姉ちゃんは、記念日には興味なくても、「初めて」を大事にするタイプだもんなぁ。
「……いつ?」
「最近だと、先週。ソファで寝入っていたでしょ。あの時」
「……最近、だと? もしや、ショウ、常習犯!?」
「あー、まぁ、ねぇ。でも、気分が落ちているときに姉ちゃんにキスしたら、だいぶ落ち着くようになるから、どうしてもやめられなくて」
俺の体から、美郷店長の痕跡を消したかった。それは本当。
姉ちゃんにキスしたら落ち着く。それも本当。
やめられなかったのは、嘘。やめる気なんて、全くなかった。
ただ、この先を話したら絶対怒られる。たぶん、今夜はもうセックスさせてもらえないだろうなぁ。せっかく硬くなってきたのに、残念だ。
「い、いつから!?」
「知りたい?」
「……二人で暮らし始めてから?」
「俺の姉ちゃんへの片想い歴を舐めちゃダメだよ」
「いやいやいや、そこは誇らしげに言うところじゃないから」
「そっか、知りたいのかー」
姉ちゃんは不機嫌だ。キスもさせてくれない。避けられる。悲しい。
姉ちゃんにはあまり話したくないことから話題を逸らすためだとはいえ、思った以上の食いつきだ。
観念して、言うかなぁ。
「俺が小六だから、姉ちゃんは中三?」
「はあっ!?」
聞いた瞬間、姉ちゃんはぎゅうぎゅうと俺の首を絞めてくる。苦しい。
「どういうこと!? 知らなかったよ!」
「言うわけないじゃん。隠していたんだから」
「実家にいたときからの常習犯ってことは、余罪めちゃくちゃあるでしょ!?」
「……かれこれ週一くらいのペースでキスしていました、ごめんなさい」
姉ちゃんの力が抜ける。脱力、と言ったほうが正しいかもしれない。俺の肩に頭をおいて、ぐったりしている。表情は見えないが、きっと、めちゃくちゃ怒っているんだろう。
俺はささやくように謝罪の言葉を口にする。
「もっと懺悔すると、親がいるリビングで隠れて姉ちゃんにキスしたり、姉ちゃんのベッドでゴロゴロしたり、姉ちゃんの制服とか体操服の匂い嗅いだり、寝ている姉ちゃんの胸を揉んだり……まぁ、だいぶオカズにさせてもらいました。ごめんなさい」
俺も若かったし、仕方ない。昨日までキスまでで思いとどまってきたんだから、よく我慢した、よく頑張ったと褒めて欲しいくらいだ。
「だから、言ったじゃん。ずっと好きだったって。本当に好きなんだよ。気持ち悪いかもしれないけど、俺はずっと姉ちゃん一筋なんだよ」
「……ショウ、あの、悪いんだけど」
姉ちゃんの低い声。
嫌われたかな?
それは、ちょっとイヤだな。
せっかく両想いだってわかったんだから、このままずっと一緒にいたいんだけどな、俺。
「ごめん」
俺は、ダメな弟だから、受け入れてもらえない?
「……嬉しくて、腰抜けた」
「……ばか」
嫌われたかと思ってちょっと絶望しかけていたのに、姉ちゃんは、本当に、想定外の行動をしてくれるなぁ。
両手ではさんで顔を上げさせて、真っ赤な姉ちゃんにキスをする。ぐったりしたまま、姉ちゃんは応じてくれる。
「俺のファーストキスは姉ちゃんだよ」
「……うん」
「本当に、長かった……昨日から、俺はずっと幸せな気分なんだよ」
「……うん」
「姉ちゃん」
もう一度キスをして。俺の我がままを聞いて。
「今夜は寝かせたくない」
顔を真っ赤にして、姉ちゃんは俺をにらんでくる。
まぁ、怒るよなぁ。姉ちゃんは、記念日には興味なくても、「初めて」を大事にするタイプだもんなぁ。
「……いつ?」
「最近だと、先週。ソファで寝入っていたでしょ。あの時」
「……最近、だと? もしや、ショウ、常習犯!?」
「あー、まぁ、ねぇ。でも、気分が落ちているときに姉ちゃんにキスしたら、だいぶ落ち着くようになるから、どうしてもやめられなくて」
俺の体から、美郷店長の痕跡を消したかった。それは本当。
姉ちゃんにキスしたら落ち着く。それも本当。
やめられなかったのは、嘘。やめる気なんて、全くなかった。
ただ、この先を話したら絶対怒られる。たぶん、今夜はもうセックスさせてもらえないだろうなぁ。せっかく硬くなってきたのに、残念だ。
「い、いつから!?」
「知りたい?」
「……二人で暮らし始めてから?」
「俺の姉ちゃんへの片想い歴を舐めちゃダメだよ」
「いやいやいや、そこは誇らしげに言うところじゃないから」
「そっか、知りたいのかー」
姉ちゃんは不機嫌だ。キスもさせてくれない。避けられる。悲しい。
姉ちゃんにはあまり話したくないことから話題を逸らすためだとはいえ、思った以上の食いつきだ。
観念して、言うかなぁ。
「俺が小六だから、姉ちゃんは中三?」
「はあっ!?」
聞いた瞬間、姉ちゃんはぎゅうぎゅうと俺の首を絞めてくる。苦しい。
「どういうこと!? 知らなかったよ!」
「言うわけないじゃん。隠していたんだから」
「実家にいたときからの常習犯ってことは、余罪めちゃくちゃあるでしょ!?」
「……かれこれ週一くらいのペースでキスしていました、ごめんなさい」
姉ちゃんの力が抜ける。脱力、と言ったほうが正しいかもしれない。俺の肩に頭をおいて、ぐったりしている。表情は見えないが、きっと、めちゃくちゃ怒っているんだろう。
俺はささやくように謝罪の言葉を口にする。
「もっと懺悔すると、親がいるリビングで隠れて姉ちゃんにキスしたり、姉ちゃんのベッドでゴロゴロしたり、姉ちゃんの制服とか体操服の匂い嗅いだり、寝ている姉ちゃんの胸を揉んだり……まぁ、だいぶオカズにさせてもらいました。ごめんなさい」
俺も若かったし、仕方ない。昨日までキスまでで思いとどまってきたんだから、よく我慢した、よく頑張ったと褒めて欲しいくらいだ。
「だから、言ったじゃん。ずっと好きだったって。本当に好きなんだよ。気持ち悪いかもしれないけど、俺はずっと姉ちゃん一筋なんだよ」
「……ショウ、あの、悪いんだけど」
姉ちゃんの低い声。
嫌われたかな?
それは、ちょっとイヤだな。
せっかく両想いだってわかったんだから、このままずっと一緒にいたいんだけどな、俺。
「ごめん」
俺は、ダメな弟だから、受け入れてもらえない?
「……嬉しくて、腰抜けた」
「……ばか」
嫌われたかと思ってちょっと絶望しかけていたのに、姉ちゃんは、本当に、想定外の行動をしてくれるなぁ。
両手ではさんで顔を上げさせて、真っ赤な姉ちゃんにキスをする。ぐったりしたまま、姉ちゃんは応じてくれる。
「俺のファーストキスは姉ちゃんだよ」
「……うん」
「本当に、長かった……昨日から、俺はずっと幸せな気分なんだよ」
「……うん」
「姉ちゃん」
もう一度キスをして。俺の我がままを聞いて。
「今夜は寝かせたくない」
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