【R18】スパイス~高梨姉弟の背徳~

千咲

文字の大きさ
上 下
8 / 101

8話、弟。

しおりを挟む
 思わぬ伏兵に、俺自身驚いている。
 姉ちゃんも、きっと驚いている。何を食べたのか、どうやって帰ってきたのか、覚えていないようだ。

「会社行きたくない……」
「気持ちはわかるけど」
「知らなければ良かった……いい友達だと思っていたのに」
「付き合うの?」
「まさか!」

 姉ちゃんの中には「断る」という選択肢しかないようで、正直、俺はほっとしている。

 そう、ほっとしている。
 得体の知れない同僚なんかに、俺の姉ちゃんはあげられない。
 そんな強い独占欲が俺を支配している。

「ダメだよ、まだ」

 姉ちゃんには聞こえないように小さくつぶやく。

 ダメだよ、まだ、俺の腕の中にいなきゃ。
 姉ちゃんは、俺のものなんだから。

 タンクトップの上からするりと姉ちゃんの背中をなでる。ぴくりと体が震えて、小さく溜め息がもれる。
 ぽんぽんと背中をたたいて、するするとなでる。慰めているようで、そうではない。姉ちゃんの背中が弱いのは昔からだ。

 姉ちゃんに気づかれないようにじわじわと体勢を変え、ソファに自分の体を沈ませていく。背中から腰に手を伸ばして、抱きしめる。姉ちゃんを俺の体の上に乗せるような格好になる。

 そんなに無防備だから、他の男から好意を持たれてしまうんだよ。

 佐藤先輩の前では緊張感を持って接していたようだけど、仕事中はそこまで緊張しないのだろう。困ったもんだ。

「あ、あの、ショウ?」
「うん?」
「落ち着いたから、もう大丈夫」
「そう」
「だから、その」

 姉ちゃんから抱きついてきたくせに、落ち着いたから離れたいだなんて、都合がいい話じゃないか。

 だから、俺は手を離さない。姉ちゃんを抱きしめたままにする。

「姉ちゃんあったかいから、眠くなってきちゃった」
「ダメだよ、ちゃんとベッドで寝ないと」
「姉ちゃんにだけは言われたくないなぁ」

 もう少しこのまま密着していたい。

 鼻腔をくすぐるシャンプーとボディソープの香り。顔の近くに置かれた柔らかな二の腕。同じくらい柔らかな姉ちゃんの胸の感触。俺の腕にすっぽりとおさまってしまう華奢な体。短パンから伸びるすらりとした足が、もどかしそうに動く。

 あ、ダメだよ、それ以上足を動かしたら、俺が困る。

「ねぇ、ショウ。お願い」
「布団はじっとしててくださーい」
「布団じゃないもん」

 姉ちゃんは観念したのか、しばらく大人しくなって。
 そして、あろうことか、反撃してきたのだった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

処理中です...