【R18】メリー・せいふく・クリスマス

千咲

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メリークリスマス!(2)

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 シャワーを浴びたあと、脱衣所で用意していた服に着替える。膣内からどろりと溢れた白濁液がショーツを汚す。さすが、三日も溜め込んでいただけあって、拭いても拭いても溢れ出てきてしまう。
 生理が終わってすぐだから、そこまで妊娠の可能性があるわけではないけど、結婚をオッケーしたあとすぐに中出しかぁ。もう、えっちなんだから。

 スカートをはいて、プリーツにシワがないか確認する。ウエストが入るか気になっていたけど、何とか入った。無理やりではなかったし、スカートの上に肉が乗ったりはしていないので、嬉しい。若干、お尻が大きくなった気はするけど。
 久しぶりに袖を通し、ブラウスのボタンを留めていく。鏡を見て大きさがピッタリであることを確認する。太りもせず、痩せもせず、体型を維持してきたというわけだ。
 偉い、私!
 リボンをパチンとつけて、白いソックスをはいて、ベストとジャケットを羽織れば、完成。
 二十六歳の、女子高生が鏡に映る。
 うん、やっぱ、ちょっと無理があるかな。十年前と比べたら、やっぱり肌のハリも衰えたし、顔も相応になった。生足にソックスじゃ寒すぎて、タイツが欲しくて仕方ない。
 大ちゃんからのリクエストとはいえ、無性に恥ずかしい。

「大ちゃん?」

 リビングに行くと大ちゃんがいない。トイレにもいない。二階で物音がするので、二階かな。大ちゃんの部屋かな。

「大ちゃーん?」
「俺の部屋」
「はーい」

 階段を上り、奥にある大ちゃんの部屋の前に立つ。大ちゃんのリクエストなんだから、笑ったら絶対殴ってやる。ドキドキしながらドアノブに手を置いて、押し開ける。

「失礼しまーす……って、大ちゃん!?」

 机と本棚とベッドしかないシンプルな部屋のクローゼットの前に、大ちゃんがいた。真っ黒な、学ランを着て。

「わ、ちょっと太った?」
「みたいだな。ウエストがパンパン。絵里は大丈夫そうだな。かわいい」

 大ちゃんは目を細めて笑って、じいっと私を見つめる。あんまり見られると恥ずかしいです、はい。

「おいで」

 大ちゃんに近づくと、防虫剤の匂いの大ちゃんに抱きしめられる。私も学ラン姿の大ちゃんの背中に手を回して、抱きしめる。大ちゃんは嬉しそうに私の体を撫で回して、大きなため息を吐き出す。

「はぁー……かわいい。十年前にこうしたかった」
「でも、十年前の大ちゃんは涼子に夢中だったじゃん」
「そういう時期もあったけどさ……一番は絵里だったよ。大事だったから、手を出すのが怖かった。そしたら、安藤に横から攫われた」

 大ちゃんの顔を見上げて、笑う。私はいつ手を出されても大丈夫だったのに、思春期のすれ違いって怖いなぁ。

「大ちゃん、好き……キスして」

 大ちゃんは額にキスをして、遠慮がちに唇に触れる。さっきの舌を求め合うような激しいキスのあとに、高校生がするようなぎこちないキスをして。
 けれど、それじゃ満足できない。思考も体も、大人になってしまった。

「絵里、かわいい。かわいいよ」
「大ちゃんもかっこいい。学ラン、似合うねぇ」
「今似合うって言われても、なぁ。複雑だな」

 下唇を甘く食み、指を絡める。大ちゃんが左手薬指の指輪を撫で、笑みを浮かべる。

「やっと、手に入れた。これからはずっと俺のものなんだよな?」
「うん」
「絵里、好きだ」

 ぐっと唇を割って口内へ侵入してくる舌に、私の舌を絡ませる。大きく口を開けないと、大ちゃんがぜんぶ入らない。ぜんぶ、欲しい。大ちゃんが、ぜんぶ。
 下腹部が疼く。熱を欲して、甘く疼く。
 高校生じゃ絶対こんなキスはできなかった。今で、良かった。

「だい、ちゃ、わたし、もう……」
「駄目。まだあげない。高校生の絵里を堪能してからね」
「やだ、焦らさ、ないで」

 ジャケットとベストのボタンは既に外れている。リボンがぼとりと落ちる。ブラウスのボタンを上三つだけ外して、大ちゃんは首筋と鎖骨に舌を這わせる。
 あ、胸触られたら、我慢できなくなっちゃう。
 大ちゃんの太くて硬いものをズボンの上から触りながら、ベルトを緩める。トランクスの中に指を入れ、先端の先走りを指に絡め取る。もう、ぬるぬる。

「大ちゃん、舐めたい」

 キスマークをつけるのに熱中していた大ちゃんが、一瞬驚いた表情を浮かべたあと、ベッドに腰かける。
 足の間に座って、大ちゃんを見上げる。ズボンもトランクスも脱ぎ去って、学ランのカラーも取り去って、上だけ学ランの大ちゃん。すごい格好だけど――いい眺め。

「声、我慢しなくていいから」

 鈴口に軽くキスを落として、さらに下のほうへ唇を進ませる。そそり立っているものの側面に舌を這わして、唾液を落とす。鈴口から蜜が溢れてきているのをチラリと見て、竿の付け根に舌を押し当てる。

「……っ」

 付け根から強く舌を押し当てて、上へと滑らせる。筋のところは丁寧に、執拗に。その間に、手で扱く。大ちゃんの腰が揺れるのを見て、嬉しく思う。
 もっと気持ちよくなっていいよ、大ちゃん。
 鈴口から溢れた蜜が筋までゆっくり下りてくる。蜜を舐め取り、出処に舌を這わす。咥える前に大ちゃんを見上げると、目を閉じて快感を享受している姿が目に入る。
 かわいいのは、どっちよ、ほんと。

「……っあ」

 亀頭ごと口に含むと、大ちゃんの甘い声が落ちてくる。腰も震える。ん、かわいい。咥えたまま舌を動かして鈴口を刺激すると、大ちゃんが腰を引く。逃がさないけど。
 ぐっと大ちゃんのものをできる限り奥まで咥える。口の中いっぱいに、大ちゃん。熱くて太くて硬くて、美味しい。歯を当てないように気をつけて上下に動かすと、短く甘い吐息が聞こえる。声、我慢しなくていいのに。
 じゅぷじゅぷとわざと音を立てて大ちゃんを煽る。チラと大ちゃんを見上げると、顔を真っ赤にして、とろんとした表情で私を見下ろしている。一瞬視線がかち合って、「交替しろ」と無言で脅される。
 え、嫌だよ。主導権を渡すつもりは、ない。

「絵里」
「ん、もう欲しいの? えっちなのはどっちなの、大ちゃん」
「……っ、あ、手はやめろって」

 扱く手をやんわりと止められる。大ちゃんは、手ではイキたくないタイプだ。口の中か、私の中、どちらかで果てたいタイプ。イキそうなんだね。

「じゃ、望みを叶えてあげよう」
「ちょっ、ま」

 拒否をしようとする大ちゃんをベッドに押し倒し、太ももの上に腰を置く。スカートが汚れないように、ふわりと広げておく。学ランを着たままの大ちゃんの体の上に、スカートが花びらみたいに咲いている。
 あぁ、なんて、蠱惑的な光景なの。
 大ちゃんの太くて硬い熱を私の花弁にあてがい、ゆっくりと腰を落としていく。膣内に大ちゃんの熱を埋め込んで。その圧迫感が気持ちいい。

「あ、っ……ん、ん」

 大ちゃんがさっき出した精液のせいで、私の中はぐちょぐちょでぬるぬるだ。愛撫なんか必要ない。大ちゃんが私に快楽を与えようと胸に手を伸ばしてくるのを止め、腰へ誘導する。

「まだ、イッちゃ駄目だよ」

 最初は膝を立て、ゆっくり、腰を上下に動かす。浅く、深く、浅く、浅く。大ちゃんは浅いところで亀頭をいじめられるのが好き。私は深いところで繋がるのが好き。今は大ちゃんに気持ちよくなってもらう時間だから、足を立てて、速く浅めに動かす。

「あ、っ、絵里っ」
「駄目。イカないで」
「でも、も、イキそ」

 ぐ、と奥まで大ちゃんのものを咥え込んで、動きを止める。大ちゃんの切なそうな目が、癖になる。ぐにぐにと腰を前後に揺らして、奥に大ちゃんの先っぽが当たる感触を楽しむ。
 大ちゃんが苦しそうに「イキたい」と喘ぐ。その目の中に私だけ映して欲しくて、切ない喘ぎ声を唇でふさぐ。
 学ランのボタンを一つずつ外していき、その下のTシャツをまくり上げる。高校時代から、少し肉がついて柔らかくなった体が愛しい。汗ばんだ指でたどると、びくりと腰が跳ねる。
 淡い茶色の乳首を舌で押しつぶすと、大ちゃんは「ああっ」と嬌声をあげる。乳首が弱くて、ほんとかわいい。

 こんなセックス、絶対高校生じゃできなかった。
 大ちゃんの乳首が弱いなんて知らなかったし、私がこんなに騎乗位が好きだなんてわからなかった。もし、十年前に二人が恋人同士になっていたとしても、果たしてこんなふうにお互いを楽しませ悦ばせることができたか、わからない。
 酸いも甘いも噛み分けたあとの二人だからできるセックスだと思う。

「大ちゃん、イキたい?」

 大ちゃんがうんうんと首を振る。

「高校生の私の中で、気持ちよくなりたい?」

 舌で大ちゃんの乳首を捏ね回しながら、私は笑う。

「高校生の絵里に犯されて、イカされて――孕ませたい?」

 びくりと大ちゃんの体が震えた。
 それを合図に、足を立てて、深く、速く、締めつけながら腰を動かす。左の乳首は舌で舐め続け、右は指で捏ね回したまま。大ちゃんは、これが好きだから。

「……っ、く、あ……絵里、駄目、いく」
「いいよ、おいで」
 
 直後、中で大ちゃんのものが膨張して、大ちゃんの体がびくんと跳ねる。甘い吐息が漏れる。大ちゃんが気持ちよさそうな顔をして何度もびくびくと痙攣する間、私は同じ速度で腰を動かし続ける。

「わあああ、駄目、もう駄目、絵里っ!」
「ギブ?」
「ギブ、ギブ! ギブアップ!」

 大ちゃんが私の動きを止めようとする。イッたあとにまだ腰を動かされることがどれだけの刺激になるのか、私にはわからないけれど、悲鳴をあげるくらいにくすぐったいらしい。
 んもう、しょうがないなぁと腰の動きを止め、大ちゃんを見下ろす。大ちゃんは顔を両手で覆ってしくしくと肩を震わせる。

「こんな激しくされて……もうお嫁に行けない……」
「いや、私が嫁に来るんでしょ」
「そうだけど……も、無理……搾り取られちゃった……」

 ベッド脇の箱ティッシュをつかんで、私は笑う。

「毎晩上になってあげるから、期待してて」
「……俺、死んじゃうよ……」

 死なない程度に搾り取るテクを身につけないとなぁ。


◆◇◆◇◆


 制服を着たまま、大ちゃんのベッドで眠る。シワになっても、構わない。クリーニングに出す予定だし。

「大ちゃん?」
「なに、絵里?」

 腕枕をしてくれた大ちゃんの顔が目の前にある。暖かい。大ちゃんにそっとキスをして、微笑む。

「今、大ちゃんにこうしてもらえて、幸せ」
「俺も。十年前の絵里じゃなくて、良かった」
「でも、なんで制服?」

 大ちゃんは、照れくさそうに笑う。

「十年前は絵里を彼女にできなかったから、何となく悔しくて」
「悔しい?」
「安藤が絵里の初めてをぜんぶ奪っていっただろ。キスも、セックスも。高校時代の絵里との思い出が、あまり思い浮かばなかったから……ちょっと上書きしておこうと思って」

 なるほど。私の初めての彼氏にヤキモチを焼いてくれたんだね、大ちゃんは。
 かわいいなぁ。本当にかわいい。
 でも、訂正。

「何言ってるの。私のファーストキスは大ちゃんだよ。覚えてないの?」
「え?」
「小学三年生のときだっけ? 台所にあったサンタの置物を一緒に買いに行ったときに、したでしょ?」
「……え?」

 小学三年生、は覚えていたのに、キスは覚えていないとか、どんな記憶力なの、まったく。
 大ちゃんをじろりと睨むと、思案して、そのあとすぐに赤面する。

「……ごめん、してた。しておりました」
「忘れるなんて酷いなぁ。あのサンタを二人で持ったまま、ツリーの下でかわいくキスしたのに」
「したね、うん、した! ……ごめん。忘れていたみたいで」
「まぁ、いいよ。大ちゃんと車の中でキスしたのが、今のところ一番だから」

 半年前に、大ちゃんに告白されてからのキス。たぶんそれは、一生忘れないキスになる。初めて心が通じたときのキスだから。

「絵里」
「うん?」
「入籍は、正月でいい?」
「え、早くない?」
「早いほうがいい。絵里を誰かに取られたくないし」
「いや、取られないし」

 ずぼら女を嫁にもらってやるなんて奇特な人、大ちゃん以外に知らないよ、私。
 まぁ、でも、正月でいいか。親戚も集まるし、顔合わせとしてはちょうどいいかも。

「ね、絵里」
「んー?」
「今日はいっぱい愛し合おう?」

 耳元で囁かれた言葉に、ぞくりとする。膣内が疼き、どろりと大ちゃんの精液が出ちゃった気配がある。

「もー、がっつきすぎ、大ちゃん」
「征服したいの、絵里を」
「制服を着たまま?」
「うん」

 その割には私に征服されていませんでしたか、大輔さん?
 意地悪な言葉を飲み込んで、ぎゅうと大ちゃんを抱きしめる。

「いいよ、何度でも、来て。受けとめてあげるから」
「愛してるよ、絵里」
「私も」

 チラリと見えた窓の外。暗い曇り空から、白いものが降り始めている。
 ホワイトクリスマスだ。

「やっぱり、雪、降ったなぁ」
「こら、絵里、俺だけ見て」

 嫉妬深い大ちゃんの笑顔だけ、視界の中におさめて。

 メリー・クリスマス!

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