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第五話 神様の左手
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目を押さえていると、だんだん眩しさが消えていった。
おそるおそる顔から手を離して、周囲を見渡すと、フルフルはいなくなっている。逃げてしまったのだろうか。
そうだ、レミナと栗原さんは…?
二人がそれぞれ、公園の角でうずくまっているのが見えた。
だけど……?あれ……?
二人とも、なぜか白い服を着てるんだけど……
それに髪の毛の色が、レミナは緑に、栗原さんは青になってる。
しかも、頭の上には丸い輪っかが……
あっ!
よく見たら、背中に鳥のような白い翼まで生えてるんだけど!
一体どういう……
すると、私の視線に気付いたレミナが声をひっくり返して叫んだ。
「えええええ!?
マユちゃんと栗原さんが天使になっちゃったー!!」
思わず自分の服を見る。白い、ミニのワンピースっぽい服だ。天使が着ててもおかしくない。今朝着てきた服はどこ?
顔の横の髪の毛を目の前に持ってくると、真っ赤っ赤。
ウソ……!
そこで初めて、私は自分達が天使に変身してしまったのに気が付いたのだった。
「何これ!?まさかコスプレ……」
と私が思わずつぶやくと、栗原さんが
「どうやら、そうじゃないみたいなのよね」
と言いながら、羽根を羽ばたかせて、五十センチほど浮かびながら、ゆっくりこちらに飛んできた。
本当の翼なの?これ……
背中に力を入れるとちゃんと翼を動かせる。
「すまなかったのう……」
混乱している頭の中に、穏やかな声が響いた。
暖かく、柔らかで、こちらを気づかうような、おじいさんっぽい声。
「フルフルの封印に失敗した際に、あやつに送っていた天使の力が、そなた達に逆流してしまったのじゃな」
「もしかして、神様…ですか?」
私が声を掛けると、目の前に二メートルほどもある、大きな左手が現れた。
「そうじゃよ」
「どうして手だけなのぉ?」
レミナが聞くと、神様の手は人差し指を立てて、チッチッチッと振りながら
「ワシは、大きいからの。こんなところに全身を現わしたら、大騒ぎになってしまうじゃろ?牛久大仏じゃあるまいに」
「神様、牛久大仏知ってるんだぁ。だけど手だけでも、見つかったら大騒ぎになっちゃうよねぇ」
と笑うレミナの横で、栗原さんが
「なんで本とかスイッチとか、あんな回りくどいコトをしたんですか?」
と真面目な顔で問いかける。すると神様の手は
「神は人間と直接会話することができぬ。それは遥か昔から定められた掟なのじゃ。だがそのせいで、そなた達にはずいぶんと迷惑をかけたのう。申し訳ない」
そう言うと、軽くこぶしを握った。私も気になっていたことを聞く。
「あの、フルフルは逃げて行ったけど、神様が捕まえてくれるんですか?」
「それ!その件じゃ!」
神様が握っていた手をパッと開く。
「ワシは雲の上の世界……人間が言うところの『天国』から出ることができないのじゃ。神が地上に介入するときは必ず天使を遣わすことになっている。
それでじゃな……オホン、そなた達三人でフルフルを封印する役目を負ってはもらえないじゃろうか?強い悪魔を封じるための超強力なパワーが体内に宿っている今のそなた達は、普通の天使よりも遥かに強い。あやつに対抗することも可能なはずじゃ」
「そんな……」
と、言いかけたところで、神様がかぶせるように言葉を繋ぐ。
「もちろん、タダで、とは言わんよ。
そなた達に、専用の天国を使わせてあげよう。特典もたくさんあるぞ?」
『特典も』のところで、グッと親指を立てる神様の手。
だけど悪魔と戦うなんて、やっぱり怖い。
……どうしたらいいんだろう?
おそるおそる顔から手を離して、周囲を見渡すと、フルフルはいなくなっている。逃げてしまったのだろうか。
そうだ、レミナと栗原さんは…?
二人がそれぞれ、公園の角でうずくまっているのが見えた。
だけど……?あれ……?
二人とも、なぜか白い服を着てるんだけど……
それに髪の毛の色が、レミナは緑に、栗原さんは青になってる。
しかも、頭の上には丸い輪っかが……
あっ!
よく見たら、背中に鳥のような白い翼まで生えてるんだけど!
一体どういう……
すると、私の視線に気付いたレミナが声をひっくり返して叫んだ。
「えええええ!?
マユちゃんと栗原さんが天使になっちゃったー!!」
思わず自分の服を見る。白い、ミニのワンピースっぽい服だ。天使が着ててもおかしくない。今朝着てきた服はどこ?
顔の横の髪の毛を目の前に持ってくると、真っ赤っ赤。
ウソ……!
そこで初めて、私は自分達が天使に変身してしまったのに気が付いたのだった。
「何これ!?まさかコスプレ……」
と私が思わずつぶやくと、栗原さんが
「どうやら、そうじゃないみたいなのよね」
と言いながら、羽根を羽ばたかせて、五十センチほど浮かびながら、ゆっくりこちらに飛んできた。
本当の翼なの?これ……
背中に力を入れるとちゃんと翼を動かせる。
「すまなかったのう……」
混乱している頭の中に、穏やかな声が響いた。
暖かく、柔らかで、こちらを気づかうような、おじいさんっぽい声。
「フルフルの封印に失敗した際に、あやつに送っていた天使の力が、そなた達に逆流してしまったのじゃな」
「もしかして、神様…ですか?」
私が声を掛けると、目の前に二メートルほどもある、大きな左手が現れた。
「そうじゃよ」
「どうして手だけなのぉ?」
レミナが聞くと、神様の手は人差し指を立てて、チッチッチッと振りながら
「ワシは、大きいからの。こんなところに全身を現わしたら、大騒ぎになってしまうじゃろ?牛久大仏じゃあるまいに」
「神様、牛久大仏知ってるんだぁ。だけど手だけでも、見つかったら大騒ぎになっちゃうよねぇ」
と笑うレミナの横で、栗原さんが
「なんで本とかスイッチとか、あんな回りくどいコトをしたんですか?」
と真面目な顔で問いかける。すると神様の手は
「神は人間と直接会話することができぬ。それは遥か昔から定められた掟なのじゃ。だがそのせいで、そなた達にはずいぶんと迷惑をかけたのう。申し訳ない」
そう言うと、軽くこぶしを握った。私も気になっていたことを聞く。
「あの、フルフルは逃げて行ったけど、神様が捕まえてくれるんですか?」
「それ!その件じゃ!」
神様が握っていた手をパッと開く。
「ワシは雲の上の世界……人間が言うところの『天国』から出ることができないのじゃ。神が地上に介入するときは必ず天使を遣わすことになっている。
それでじゃな……オホン、そなた達三人でフルフルを封印する役目を負ってはもらえないじゃろうか?強い悪魔を封じるための超強力なパワーが体内に宿っている今のそなた達は、普通の天使よりも遥かに強い。あやつに対抗することも可能なはずじゃ」
「そんな……」
と、言いかけたところで、神様がかぶせるように言葉を繋ぐ。
「もちろん、タダで、とは言わんよ。
そなた達に、専用の天国を使わせてあげよう。特典もたくさんあるぞ?」
『特典も』のところで、グッと親指を立てる神様の手。
だけど悪魔と戦うなんて、やっぱり怖い。
……どうしたらいいんだろう?
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