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第二話 クラスメイトも飛んできた
しおりを挟む雲の上の天国のような場所で、私はともかく深呼吸をした。
お父さんがよく言ってた言葉を思い出したからだ。
「困ったことがあったら、ともかく深呼吸して落ち着け」
胸いっぱいに息を吸い込んで、全部吐き出す。
……ああ、私、普通に息してる。生きてるよね?死んでないよね?
ちょっと落ち着いて周りを見ていると、遠くから何かが近付いてくるのが見えた。
えっ?ちょっと待って……
竜巻じゃないの、あれ!?
逃げなくちゃ!
でも雲の上には隠れる場所なんて、どこにもない。
走って逃げ出そうとしたとたん、急にその竜巻がスーッと消えて、人が二人落ちてきた。
「ヒ~、目が回るよぉ~」
一人はレミナだ。
土井レミナ、同じクラスの私の友達。
背がちっちゃくて、天然パーマでフワフワの髪の毛をツインテールにしてる。
「ああ……何が起こったの?」
もう一人は栗原さんだね。
栗原アヤセさん、クラスメイトだ。
美少女でスタイルも良くて、家もお金持ちらしい。
目を回してフラフラの二人に声をかけた。
「ねえ、大丈夫?」
ケガはないようだけど、あまり大丈夫でもなさそうだ。
「……もしかして、二人も鹿のお化けを見た?」
栗原さんがガバッと起き上がった。
「神田川さんも、アレを見たの!?」
「うん。そしたら竜巻に巻き込まれて、気が付いたらここに来てたんだ」
私がそう答えると、まだ倒れたままのレミナも言う。
「あたしも見たよぉ」
どうやら私達はあのお化けに、ここまで飛ばされてしまったらしい。
でも一人ぼっちじゃなくなって、私はちょっとだけ心細さが薄らいだ。
✳︎✳︎✳︎
「ともかく家に帰らないと。今日は家庭教師が来る日なの」
しばらく休んで、めまいから復活した栗原さんが立ち上がる。
「確かにこの周囲には空と雲しかないけど……
でも本当の雲だったら、こんなふうに上に立てたりしないよね?
多分、ここは空の上じゃないんだと思う」
「なるほど!そっかぁ。
さすがクラス一番の秀才だねぇ」
レミナが感心したように目を見開いた。
「じゃあ、どこかに出口があるかもしれないね。一緒に探そう!」
そう言いながら私も立ち上がったその瞬間……
空から何かがヒューッと音をたてて、私とレミナと栗原さんが立っている場所のちょうど真ん中に落ちてきた。
それは、一冊の本。
表紙にはデカデカと『悪魔フルフルを封じる方法』と書かれていた。
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