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第二十話 アニーの故郷
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(奥様、下は見ないで、真っ直ぐ前を見て歩いてくださいね)
吊り橋は以前の物よりも、床板やロープが増やされて、丈夫なものに作り替えられていた。足元を見なくても、踏み外すことはなさそうだ。岸に近い部分のロープには針金が巻かれて、刃物では切れなくなっている。
それでも吊り橋である以上、揺れからは逃れられない。
「はあ……」
恐る恐る進んで、ようやく渡り切った。これじゃ足手まといと言われても仕方がない。シェアリアと対峙した時は、ロープ一本を手で伝って渡ろうとしたのだから、自分でもどうかしていたと思う。完全に怒りで我を忘れていた。
「最初に宿を取って荷物を置いたら何か軽く食べて、そのあと情報集めね」
私がバッグを持ち直すと、アニーが顔を輝かせて答える。
(だったら、五分くらい歩くんですけど……『夕陽亭』といって、良心的な宿屋で、おすすめです)
「そうなの? じゃあ、そこにするわ。ねえ、アニー、実体化して、一緒に泊まる? 子どもの頃から働き詰めで、旅行もしたことないんでしょう? たまにはお客さんとして過ごすのはどう?」
(いえいえいえ、とんでもありません! 私はもう眠る必要もない存在ですし、お金も勿体ないです)
「そんなの気にしなくていいのに……」
恐縮して姿を現さないアニーと一緒に川沿いをしばらく歩くと、赤い屋根の小綺麗な宿屋が見えてきた。
アニーおすすめの宿は夫婦経営のようで、主人の人当たりも良く、宿代も手頃だ。
着替えなどの荷物を置くと、私達は部屋の鍵を奥さんに預け、宿を後にした。
「お腹が空いてきたわね……」
(それなら、変わってなければ、あっちに屋台通りがあるはずです。
『ラッカ焼き』っていう、ナッツの粉を練って、砕いたナッツを足して焼いて、クリームを包んだお菓子が美味しいですよ)
「わかったわ、そこにしましょ。
……それより、アニー。随分詳しいのね。ここの土地勘があるみたいだけど」
ハッとしたアニーは、視線を落とす。
(ええと、その、私はグレア街の出身なんです……)
「なんだ、言ってくれれば良かったのに」
(だって……その、貧民街出身なので……あまり人には言いたくなくて)
話を聞けば、スレア家で使用人の間で苛められたのも、それが原因だったという。
今さらながら話を聞いて、私も憤慨した。あの家で虐げられていた私は、人のことを言える立場でもないけれど、でも理不尽な話には、やはり腹が立つ。
そんな話をしながら歩いていると、だんだん人の賑わう声が聞こえてきた。
角を曲がると、そこには屋台がずらりと並んでいる。
(あ、よかった、まだありました、あの屋台!)
普通の人間には見えないけれど、ニコニコ笑顔で案内するアニーについていって、さっき聞いたばかりの『ラッカ焼き』を二つ購入する。こんがり焼けた生地は温かくて、少しずつクリームが溶け始める。
そのまま私が人気のない建物と建物の間にこそっと入ると、今度はアニーが不思議そうについてきた。
(あの、こっちにお店はありませんよ?)
「はい、これ。せっかくなんだから、食べてみない? この街にはそう何度も来れないと思うから」
私は買ったばかりのラッカ焼きを彼女の目の前に差し出した。
アニーは戸惑っていたけれど、差し出したラッカ焼きを素直に受け取る。
そのまま透き通っていた彼女の姿が、徐々に色を持ち、その輪郭をハッキリさせた。
「一人のご飯って、寂しいものよ。私が寂しいの。一緒に食べて」
「はい……」
私がかぶりつくと、アニーも遅れて食べ始める。すぐにクリームがポトポト零れ始めた。
「はっ、これ、買ったらすぐ食べないとダメな奴なんれす、急いれ……!」
口一杯に頬張るアニーの言葉に、私達は大急ぎでラッカ焼きを食べ進めた。
「ふう……美味しかったわ」
「私、これ、すごく久々に食べました」
アニーは食べ終わった後も、姿を消さなかった。
私達は一緒に建物の隙間から出て街に戻って、辺りを見回す。
こういう人で賑わっている場所には、意外と霊がいたりするのだ。
何食わぬ顔で、生きている人間に混ざって、徘徊している。もちろん普通の人は気が付かないけれど、元スレア領で市場に食料の買い出しに行くときにも、しばしば見かけた。
こうした場所にいるのはほとんどが浮遊霊だが、自我が薄れて、会話が成り立たない者も多い。
何人か見かけた霊の中で、まだ自我がしっかりしていそうな、四十代くらいの女性。
私は、生きた人間には聞こえない、声なき声を彼女に掛けた。
(ねえ、あなた、聞きたいことがあるの。少し、いいかしら?)
女性は一瞬ビクッとすると、周囲を見回す。
(私、ですか?)
(ええ、そうよ。私達、人を探しているの。ライナス・ハンター先生と言って、優秀なお医者様よ。スレア領との間の吊り橋から落ちて行方不明なの。何か、知っていることはないかしら?)
(ごめんなさい、先生には生前お世話になったけど、今どこにいるかは知らないわ……今朝、川沿いで男の人にも聞かれたけれど)
(アールだわ。もうここに来ていたのね)
(その人怖くて……私、消されてしまうのかと思って、必死で逃げてきたの)
(そうだったの、ごめんなさい)
私が謝罪する義理でもないが、何となく謝ってしまう。すると女性の霊が、ふと何かを思い出したように話し始めた。
(あの、私は知らないけれど、あの川にはずいぶん長く残っている主みたいな幽霊がいるから、その人が何か知ってるかも。渓流から小さな滝があって、広い川になる辺りにいる、御老人です)
(そうなの。怖い男の人には、そのことを教えたかしら?)
(いえ、すぐに逃げてきたから……)
(教えてくれてありがとう。いつか、あなたをこの世に縛る心残りが晴れるといいわね)
彼女は驚いた様子だったが、すぐ微笑んで(ありがとう)と返してくれた。
「アニー、聞いた? 滝に行ってみましょう」
「はい、マリーゼ様!」
屋台通りを離れ、私達は川沿いの道に戻って、緩い坂を下り始めた。
吊り橋は以前の物よりも、床板やロープが増やされて、丈夫なものに作り替えられていた。足元を見なくても、踏み外すことはなさそうだ。岸に近い部分のロープには針金が巻かれて、刃物では切れなくなっている。
それでも吊り橋である以上、揺れからは逃れられない。
「はあ……」
恐る恐る進んで、ようやく渡り切った。これじゃ足手まといと言われても仕方がない。シェアリアと対峙した時は、ロープ一本を手で伝って渡ろうとしたのだから、自分でもどうかしていたと思う。完全に怒りで我を忘れていた。
「最初に宿を取って荷物を置いたら何か軽く食べて、そのあと情報集めね」
私がバッグを持ち直すと、アニーが顔を輝かせて答える。
(だったら、五分くらい歩くんですけど……『夕陽亭』といって、良心的な宿屋で、おすすめです)
「そうなの? じゃあ、そこにするわ。ねえ、アニー、実体化して、一緒に泊まる? 子どもの頃から働き詰めで、旅行もしたことないんでしょう? たまにはお客さんとして過ごすのはどう?」
(いえいえいえ、とんでもありません! 私はもう眠る必要もない存在ですし、お金も勿体ないです)
「そんなの気にしなくていいのに……」
恐縮して姿を現さないアニーと一緒に川沿いをしばらく歩くと、赤い屋根の小綺麗な宿屋が見えてきた。
アニーおすすめの宿は夫婦経営のようで、主人の人当たりも良く、宿代も手頃だ。
着替えなどの荷物を置くと、私達は部屋の鍵を奥さんに預け、宿を後にした。
「お腹が空いてきたわね……」
(それなら、変わってなければ、あっちに屋台通りがあるはずです。
『ラッカ焼き』っていう、ナッツの粉を練って、砕いたナッツを足して焼いて、クリームを包んだお菓子が美味しいですよ)
「わかったわ、そこにしましょ。
……それより、アニー。随分詳しいのね。ここの土地勘があるみたいだけど」
ハッとしたアニーは、視線を落とす。
(ええと、その、私はグレア街の出身なんです……)
「なんだ、言ってくれれば良かったのに」
(だって……その、貧民街出身なので……あまり人には言いたくなくて)
話を聞けば、スレア家で使用人の間で苛められたのも、それが原因だったという。
今さらながら話を聞いて、私も憤慨した。あの家で虐げられていた私は、人のことを言える立場でもないけれど、でも理不尽な話には、やはり腹が立つ。
そんな話をしながら歩いていると、だんだん人の賑わう声が聞こえてきた。
角を曲がると、そこには屋台がずらりと並んでいる。
(あ、よかった、まだありました、あの屋台!)
普通の人間には見えないけれど、ニコニコ笑顔で案内するアニーについていって、さっき聞いたばかりの『ラッカ焼き』を二つ購入する。こんがり焼けた生地は温かくて、少しずつクリームが溶け始める。
そのまま私が人気のない建物と建物の間にこそっと入ると、今度はアニーが不思議そうについてきた。
(あの、こっちにお店はありませんよ?)
「はい、これ。せっかくなんだから、食べてみない? この街にはそう何度も来れないと思うから」
私は買ったばかりのラッカ焼きを彼女の目の前に差し出した。
アニーは戸惑っていたけれど、差し出したラッカ焼きを素直に受け取る。
そのまま透き通っていた彼女の姿が、徐々に色を持ち、その輪郭をハッキリさせた。
「一人のご飯って、寂しいものよ。私が寂しいの。一緒に食べて」
「はい……」
私がかぶりつくと、アニーも遅れて食べ始める。すぐにクリームがポトポト零れ始めた。
「はっ、これ、買ったらすぐ食べないとダメな奴なんれす、急いれ……!」
口一杯に頬張るアニーの言葉に、私達は大急ぎでラッカ焼きを食べ進めた。
「ふう……美味しかったわ」
「私、これ、すごく久々に食べました」
アニーは食べ終わった後も、姿を消さなかった。
私達は一緒に建物の隙間から出て街に戻って、辺りを見回す。
こういう人で賑わっている場所には、意外と霊がいたりするのだ。
何食わぬ顔で、生きている人間に混ざって、徘徊している。もちろん普通の人は気が付かないけれど、元スレア領で市場に食料の買い出しに行くときにも、しばしば見かけた。
こうした場所にいるのはほとんどが浮遊霊だが、自我が薄れて、会話が成り立たない者も多い。
何人か見かけた霊の中で、まだ自我がしっかりしていそうな、四十代くらいの女性。
私は、生きた人間には聞こえない、声なき声を彼女に掛けた。
(ねえ、あなた、聞きたいことがあるの。少し、いいかしら?)
女性は一瞬ビクッとすると、周囲を見回す。
(私、ですか?)
(ええ、そうよ。私達、人を探しているの。ライナス・ハンター先生と言って、優秀なお医者様よ。スレア領との間の吊り橋から落ちて行方不明なの。何か、知っていることはないかしら?)
(ごめんなさい、先生には生前お世話になったけど、今どこにいるかは知らないわ……今朝、川沿いで男の人にも聞かれたけれど)
(アールだわ。もうここに来ていたのね)
(その人怖くて……私、消されてしまうのかと思って、必死で逃げてきたの)
(そうだったの、ごめんなさい)
私が謝罪する義理でもないが、何となく謝ってしまう。すると女性の霊が、ふと何かを思い出したように話し始めた。
(あの、私は知らないけれど、あの川にはずいぶん長く残っている主みたいな幽霊がいるから、その人が何か知ってるかも。渓流から小さな滝があって、広い川になる辺りにいる、御老人です)
(そうなの。怖い男の人には、そのことを教えたかしら?)
(いえ、すぐに逃げてきたから……)
(教えてくれてありがとう。いつか、あなたをこの世に縛る心残りが晴れるといいわね)
彼女は驚いた様子だったが、すぐ微笑んで(ありがとう)と返してくれた。
「アニー、聞いた? 滝に行ってみましょう」
「はい、マリーゼ様!」
屋台通りを離れ、私達は川沿いの道に戻って、緩い坂を下り始めた。
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