近未来判事「タクヤ」

yellowgg

文字の大きさ
上 下
192 / 214

事件簿011 『お神酒徳利』その17

しおりを挟む
江戸に戻った善六。
何度も断ったが、鴻池の沽券にかかわると、善右衛門からたっぷり謝礼を押し付けられた。

これも神様の思し召しだろうと、それを資金に善六は馬喰町に立派な旅籠屋を建てた。
もちろん、庭には立派なお稲荷様の社を作った。

善六の旅籠屋は、鴻池とその取引先の江戸での宿泊を一手に引き受けた。
善六は、あっという間に大金持ちになった。

「まさか、こんなことになるとはなぁ。」

妻のお酌で酒を飲みながら、善六は感慨深くつぶやいた。

「だから何とかなるって言ったでしょう。」

妻は元々根っからの楽天家。
これまでもどれだけその笑顔に救われたかわからない。
ましてや今回は、その父親譲りの占いの知恵で得た幸運だった。

「そうだ。お前にも何かお礼をしないとねぇ。ソロバンの玉をもじって真珠のかんざしなどはどうかね?」

「かんざし?ちょっとあんた。桁を間違えてないかい?京から高級な反物の百本や二百本は取り寄せてくれても罰は当たらないでしょう。」

「ま、待て待て。まずソロバンで占ってからだ・・・。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魔王陛下の無罪証明

はじめアキラ
ファンタジー
「トリアス=マリーゴールドは無罪だ。俺がそれを、証明してやるよ」  全ての人間は、生まれついてのジョブの才能を持つ世界、フラワーメイル。  そこで今、魔王のジョブを持つ一人の青年が、世界征服を目論んだとして討伐され、逮捕された。  ロータス連邦所属の、刑事事件ばかりに携わる変わり者の弁護士、フレイア=ブロッサム。フレイアは、魔王・トリアス=マリーゴールドの冤罪を確信していた。  剣と魔法の異世界にて、異世界の弁護士が魔王を救うべく奔走する。これは、異色の、異世界ファンタジー×弁護士ミステリー。 ※この物語で出てくる裁判制度は、現実の裁判をベースに世界観にあわせて大幅に改変したものです。現実の裁判とは異なる点が多々あります。

シロと会計士悟のほんわか日常怪奇譚

菅原みやび
ライト文芸
短編完結済 第6回ほっこり・じんわり大賞【149位】作品! 公認会計士である栗原悟(くりはらさとる)は叔父の会計事務所から独立し、東京の高尾に借家にて、事務所を構えることに。会計士であるが故か、費用を抑える為に安い良物件を選んでしまう悟だったが、実はこの借家訳あり物件であった。 が、そんな事は気にもしない悟。 しばらくして初夏のある日、最寄りの公園で白い子猫を拾ってきてしまう悟。 1年間後、その愛猫のシロは突然行方不明になってしまう。 その心の穴を埋めるように、異性の白井心愛(しらいここあ)と付き合うことになった悟だが……。 実はその白井、愛猫のシロが人化した姿で……⁈ 更にはこの貸家には他にも色々秘密が……⁈ 優しく真面目な好青年である公認会計士の悟と、天真爛漫で理屈なく一瞬で答えを探すチェック能力を持つ猫娘の白井が送る、ほっこり癒し系の怪奇譚! 今ここにゆるーく開幕! ※この作品は投稿サイト【ノベルデイズ・なろう・エブリスタ】様にも投稿している短編【ありがとうを君に……】を改良したものになります。 この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

ピアノの家のふたりの姉妹

九重智
ライト文芸
【ふたりの親愛はピアノの連弾のように奏でられた。いざもう一人の弾き手を失うと、幸福の音色も、物足りない、隙間だらけのわびしさばかり残ってしまう。】 ピアノの響く家には、ふたりの姉妹がいた。仲睦ましい姉妹は互いに深い親愛を抱えていたが、姉の雪子の変化により、ふたりの関係は徐々に変わっていく。 (縦書き読み推奨です)

最強ご主人様はスローライフを送りたい

卯月しろ
ファンタジー
↑※お気に入り登録お願い致します! 前世で幼女を守って死んだ主人公、夢咲真白は、目覚めると不思議な空間にいた。そこで出会ったのは、なんと全ての神の長たる創造神ノエル。唐突な神様の出現に驚く真白だったが、何事かと身構える彼にノエルが放ったのはプロポーズの言葉だった。 なんやかんやでその告白を受け取った真白は、ノエルと共に異世界へと旅立つ。 全てはスローライフを送るために! ……………しかし、現実はそんなに甘くない!? 五人の奴隷少女との出会いによって運命の歯車は動き出し、やがて世界を飲み込む闇と成る! スローライフ願望を持つ最強主人公と奴隷少女、さらには神様や魔王までもが織りなすハーレムストーリー…………………みたいな感じです。 スローライフ願望と言いながらも、結構戦うんですよ、この主人公。 テンプレ過多で好きな人は好きだと思います ちなみに、ちょっとえっちぃシーンもあります( ˙-˙) 1話1話が短いので、隙間時間に気軽に読んでいただけるかと!!

御手洗さんの言うことには…

daisysacky
ライト文芸
ちょっと風変わりな女子高校生のお話です。 オムニバスストーリーなので、淡々としていますが、気楽な気分で読んでいただけると ありがたいです。

その後の愛すべき不思議な家族

桐条京介
ライト文芸
血の繋がらない3人が様々な困難を乗り越え、家族としての絆を紡いだ本編【愛すべき不思議な家族】の続編となります。【小説家になろうで200万PV】 ひとつの家族となった3人に、引き続き様々な出来事や苦悩、幸せな日常が訪れ、それらを経て、より確かな家族へと至っていく過程を書いています。 少女が大人になり、大人も年齢を重ね、世代を交代していく中で変わっていくもの、変わらないものを見ていただければと思います。 ※この作品は小説家になろう及び他のサイトとの重複投稿作品です。

安楽椅子から立ち上がれ

Marty
ライト文芸
 女生徒≪小沢さん≫は、学校の不思議な変わり者。あらゆる行動が常識外れでエキセントリックなお方である。五月三十日。主人公、山田島辰吉(やまだじまたつよし)は不運なことに、学校の課外活動を彼女と二人きりで行うことになってしまった。噂に違わぬ摩訶不思議な行動に面食らう山田島であったが、次第に心が変化していく。  人に理解され、人を理解するとはどういうことなのか。思い込みや偏見は、心の深淵へ踏み込む足の障害となる。すべてを捨てなければ、湧き上がったこの謎は解けはしない。  始まりは≪一本の傘≫。人の心の糸を紡ぎ、そして安らかにほどいていく。  これは人が死なないミステリー。しかし、日常の中に潜む謎はときとして非常に残酷なのである。    その一歩を踏み出せ。山田島は背を預けていた『安楽椅子』から、いま立ち上がる。

それでも日は昇る

阿部梅吉
ライト文芸
目つきが悪く、高校に入ってから友人もできずに本ばかり読んですごしていた「日向」はある日、クラスの優等生にとある原稿用紙を渡される。それは同年代の「鈴木」が書いた、一冊の小説だった。物語を読むとは何か、物語を書くとは何か、物語とは何か、全ての物語が好きな人に捧げる文芸部エンタメ小説。

処理中です...