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事件簿011 『お神酒徳利』その17
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江戸に戻った善六。
何度も断ったが、鴻池の沽券にかかわると、善右衛門からたっぷり謝礼を押し付けられた。
これも神様の思し召しだろうと、それを資金に善六は馬喰町に立派な旅籠屋を建てた。
もちろん、庭には立派なお稲荷様の社を作った。
善六の旅籠屋は、鴻池とその取引先の江戸での宿泊を一手に引き受けた。
善六は、あっという間に大金持ちになった。
「まさか、こんなことになるとはなぁ。」
妻のお酌で酒を飲みながら、善六は感慨深くつぶやいた。
「だから何とかなるって言ったでしょう。」
妻は元々根っからの楽天家。
これまでもどれだけその笑顔に救われたかわからない。
ましてや今回は、その父親譲りの占いの知恵で得た幸運だった。
「そうだ。お前にも何かお礼をしないとねぇ。ソロバンの玉をもじって真珠のかんざしなどはどうかね?」
「かんざし?ちょっとあんた。桁を間違えてないかい?京から高級な反物の百本や二百本は取り寄せてくれても罰は当たらないでしょう。」
「ま、待て待て。まずソロバンで占ってからだ・・・。」
何度も断ったが、鴻池の沽券にかかわると、善右衛門からたっぷり謝礼を押し付けられた。
これも神様の思し召しだろうと、それを資金に善六は馬喰町に立派な旅籠屋を建てた。
もちろん、庭には立派なお稲荷様の社を作った。
善六の旅籠屋は、鴻池とその取引先の江戸での宿泊を一手に引き受けた。
善六は、あっという間に大金持ちになった。
「まさか、こんなことになるとはなぁ。」
妻のお酌で酒を飲みながら、善六は感慨深くつぶやいた。
「だから何とかなるって言ったでしょう。」
妻は元々根っからの楽天家。
これまでもどれだけその笑顔に救われたかわからない。
ましてや今回は、その父親譲りの占いの知恵で得た幸運だった。
「そうだ。お前にも何かお礼をしないとねぇ。ソロバンの玉をもじって真珠のかんざしなどはどうかね?」
「かんざし?ちょっとあんた。桁を間違えてないかい?京から高級な反物の百本や二百本は取り寄せてくれても罰は当たらないでしょう。」
「ま、待て待て。まずソロバンで占ってからだ・・・。」
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