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事件簿009 『鹿政談』その27
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ターゲットを変更し、矢剥は珠子を尾行した。
そして、マンションの珠子の部屋を確認して帰ろうとすると、近くをウロウロしている男の姿が目に入った。
「はっ!神様は俺に復讐しろって言ってるぜ!あいつは裁判の時に、正論を振りかざし、うざったい精神論で俺を追いつめた裁判員の一人だ。」
矢剥は、今度は本戸間を尾行して、彼の家も見つけた。
「芋づる式って奴だね。てかさ、きっかけは孔明さんの女好きじゃん!」
サエ、鋭い!
でも孔明さんは何食わぬ顔で話を続けた。
「まず矢剥は、珠子さんの部屋に忍び込み、パソコンから携帯のメールアドレスを調べ上げた。そして本戸間さんが忙しくなる新茶の時期を見計らって、彼の携帯を盗み出したんだな。」
「なんかすごく計画的ね。」
「矢剥は珠子に、本戸間の携帯からイタズラメールを送り続けた。」
「それで珠子さんが孔明さんに相談したのね。」
「そうじゃ。そして事件当日。矢剥は珠子さんの旦那のふりをして本戸間さんに電話をかけた。『妻にちょっかいを出してるだろう!警察に通報されたくなかったら家に来い。』ってな。」
「ストーカーのように通ってたからね。そりゃ言うこと聞くでしょ。」
「それから矢剥は珠子の家に行き、今度は本戸間の知り合いのふりをした。『本戸間のことで相談したい』と言ってな。」
「でも、珠子さんは本戸間さんがメールしてないこと知ってたんでしょ?」
「ああ。だが、彼が時々家の近くに来ていることは気づいていたんじゃろうな。女の勘は侮れん。」
「孔明さんが言うと、なんか生々しいわね・・・。」
「そして矢剥は珠子さんを殺し、呼び出されてやってきた本戸間さんが珠子の家に入ったのを確認して、近所の住民のふりをして110番に通報した。悲鳴が聞こえたって言ってな。」
「本戸間さん、なぜすぐに警察に連絡するとか、逃げ出さそうとかしなかったのかな?」
「そしたら、矢剥も容疑者として捜査されてたかもしれないのにねぇ。」
ボクとサエは理解出来なかった。
「咄嗟に、自分のせいでケンカになって、ご主人に殺された、と思ったらしい。本戸間さんは自分が罪を被ろうと思ったのかもしれんな。」
そして、マンションの珠子の部屋を確認して帰ろうとすると、近くをウロウロしている男の姿が目に入った。
「はっ!神様は俺に復讐しろって言ってるぜ!あいつは裁判の時に、正論を振りかざし、うざったい精神論で俺を追いつめた裁判員の一人だ。」
矢剥は、今度は本戸間を尾行して、彼の家も見つけた。
「芋づる式って奴だね。てかさ、きっかけは孔明さんの女好きじゃん!」
サエ、鋭い!
でも孔明さんは何食わぬ顔で話を続けた。
「まず矢剥は、珠子さんの部屋に忍び込み、パソコンから携帯のメールアドレスを調べ上げた。そして本戸間さんが忙しくなる新茶の時期を見計らって、彼の携帯を盗み出したんだな。」
「なんかすごく計画的ね。」
「矢剥は珠子に、本戸間の携帯からイタズラメールを送り続けた。」
「それで珠子さんが孔明さんに相談したのね。」
「そうじゃ。そして事件当日。矢剥は珠子さんの旦那のふりをして本戸間さんに電話をかけた。『妻にちょっかいを出してるだろう!警察に通報されたくなかったら家に来い。』ってな。」
「ストーカーのように通ってたからね。そりゃ言うこと聞くでしょ。」
「それから矢剥は珠子の家に行き、今度は本戸間の知り合いのふりをした。『本戸間のことで相談したい』と言ってな。」
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「ああ。だが、彼が時々家の近くに来ていることは気づいていたんじゃろうな。女の勘は侮れん。」
「孔明さんが言うと、なんか生々しいわね・・・。」
「そして矢剥は珠子さんを殺し、呼び出されてやってきた本戸間さんが珠子の家に入ったのを確認して、近所の住民のふりをして110番に通報した。悲鳴が聞こえたって言ってな。」
「本戸間さん、なぜすぐに警察に連絡するとか、逃げ出さそうとかしなかったのかな?」
「そしたら、矢剥も容疑者として捜査されてたかもしれないのにねぇ。」
ボクとサエは理解出来なかった。
「咄嗟に、自分のせいでケンカになって、ご主人に殺された、と思ったらしい。本戸間さんは自分が罪を被ろうと思ったのかもしれんな。」
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